
公開日:2022/12/16
世界第6位RSMに加盟した前川研吾(RSM汐留パートナーズ株式会社代表取締役社長CEO)の挑戦を続ける姿勢と今後の展望!!
今回の記事は記念すべき「くにみんチャンネル特別編」の第1弾として、RSM汐留パートナーズ株式会社の代表取締役社長CEOの前川研吾さんにお話しを伺いました。前川さんは独立会計士として大きな成功を収めており、以前にも100人のロールモデルの取材をさせていただきました(その時の記事はこちらです)。今回は世界第6位のグローバルネットワークであるRSMへの加盟を実現されたので、改めてその当時の想いや今後の展望についてお話を伺いました!
前川研吾さんのプロフィール
EYメンバーファームである新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)監査部門にて製造業、小売業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、M&A関連支援、デューデリジェンス等のFAS業務等の案件に数多く従事。
汐留パートナーズグループ設立後は、公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士・司法書士等のプロフェッショナルによるワンストップサービスを行っている。2021年4月より慶應義塾大学大学院(EMBA)在学。2022年11月、世界第6位にランクインするグローバルネットワークであるRSMインターナショナルへの加盟を実現。
前川研吾さんの略歴
1981年 北海道釧路市生まれ
2003年 北海道大学経済学部卒業
公認会計士試験二次試験合格
新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所
2007年 公認会計士登録、税理士登録
2008年 汐留パートナーズ株式会社(現RSM汐留パートナーズ株式会社)設立
代表取締役社長に就任
2009年 汐留パートナーズグループCEO就任
2012年 汐留パートナーズ税理士法人(現RSM汐留パートナーズ税理士法人)設立
代表社員に就任
2018年 汐留パートナーズグループのPKF加盟を実現(加盟時世界第15位)
2022年 汐留パートナーズグループのRSM加盟を実現(加盟時世界第6位)
01. RSMに加盟した経緯と当時の心境
――RSMに加盟することになった経緯を教えてください。
2021年の1月に当時よりRSMに加盟していたRSM清和監査法人理事長の戸谷さんと税理士法人クロスボーダーズ代表の村山さんが汐留パートナーズに来てくださったことから話は始まりました。その後村山さんから「汐留パートナーズさんは将来性がありそうだから是非もっと大きな世界でやってみませんか」とお誘いをいただいたのです。当時所属していたPKFが世界第15位、お誘いをいただいたRSMが世界第6位ということもあり、大きなチャンスが来たと感じました。
――そのような大きなチャンスの話に前川さんは率直にどのように感じましたか。
パッと聞いた時にはすごいチャンスだなと思ったのですが、その一方でこれはPKFに対して不義理にならないだろうかということを少し心配しました。というのも当時PKFに加盟してから3年弱経っておりPKFのネットワークの中で良い関係を築いていたところでした。そのような中で、PKFを抜けて新たにRSMに加盟することは結構大きなことだなと思いました。
――どのくらいの期間悩まれてRSMへの加盟を決断されたのですか。
1ヶ月弱くらいは悩んだと思います。それまではいろいろな物事をその時の直感で結構パッと決めてきたので意思決定のスピードは速いと思っていたのですが、今回ばかりはかなり悩みましたね(笑)。
――社内のメンバーへの共有はどういったタイミングでされたのですか。
普段は私以外のボードメンバー6名に結構すぐになんでも共有するのですが、この件に関しては数か月は自分1人で進めてから話をしました。本当に加盟できるという自分の中での確信が持てないままメンバーに話して、やっぱり加盟できなかったとなった時にがっかりさせてしまうだろうと思ったからです。
――1人で進めるのはかなり負担が大きかったのではないですか。
そうですね、かなり負担が大きかったです。大変だった理由は2つあります。
(1)慣れない英語を使って進める必要があったこと
実は2018年にPKFに加盟する時は、英語が堪能な国際事業のパートナーがほとんど交渉や審査対応をやってくれて私は面談してサインをする程度でした。今回はその彼にも内緒で誰にも相談せず1人でやっていたので、慣れない英語を使いながら進めることになりとても大変でした。
(2)日本ならではの組織体制を理解してもらう必要があったこと
今回、汐留パートナーズは株式会社、税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人、司法書士法人、さらに沖縄とフィリピンにあるアウトソーシングセンターを入れて7法人がRSMに加盟しましたが、これはかなり異例なことだと思います。海外では会計士と弁護士の2つは国家資格として認識されているのですが、それ以外の資格に対して、「社会保険労務士とは?」「行政書士とは?」といった質問に答えていくプロセスにかなり時間がかかりました。
02. グローバルファームに属するメリット
――そもそもグローバルファームに属するメリットを教えてください。
大きく3つあると考えています。
(1) 海外ファームから顧客を紹介してもらえること
例えばアメリカの会社が日本に進出するとなった場合に、その会社の日本法人の設立やビザ、会計税務、人事労務に関する業務をまるっと依頼されるといった形でお客様が増えることがあります。私たちの日本のお客様が海外に進出する際にその進出先の国のネットワークファームの力を借りてご支援ができることもありサービスの幅も広がります。
(2)本部がナレッジやシステムを展開してくれること
昨今ビジネス環境が激変している中で、テクノロジーやESG、ダイバーシティに関してグローバルファームが本部で様々な調査研究や積極的な投資を行っています。それを世界のメンバーファームに対して広げてくださるので、私たちはその方針に従って日本でローカライズしていくといったことを行っています。上述したようなビジネスに関するメガトレンドに対して、すべて自社で対応していくのは大変なので、そのような情報が入ってくることは大きなメリットだと思います。
(3)グローバルファームの経営陣との交流や学びあいの機会があること
現在はコロナで少し中断していますが、来年からは年3回、世界での対面の会議が始まります。2023年は私たち汐留パートナーズが日本でRSMに加盟したので、おそらく私が直接参加して皆さんの前でスピーチをすることになると思います。世界会議の他にも若いメンバー向けに、世界中のジュニアパートナーやマネージャーが集まって2~3週間一緒に勉強するRSMアカデミーという学校のようなプログラムもあります。そこにメンバーを送り海外ビジネスの体験をしてもらう機会を得られることもグローバルファームに属するメリットだと思います。
03. RSM汐留パートナーズでの活躍の仕方
――会計士の方はRSM汐留パートナーズでどのような仕事ができるのか教えてください。
会計士の方ですと、やはりFAS関係ですね。たとえばデューデリやバリエーション、JSOX、内部監査、開示書類の作成といった会計寄りのコンサルティング業務に関して、RSMではクロスボーダーに対応していくことになります。より具体的には、日本の会社を買いたいという外国の会社のためにデューデリをして英語でレポートを提出するといったことや、日本企業の海外子会社の内部監査をRSMの現地のメンバーファームと一緒になって行うといったことが想定されます。
――税務ではどのような仕事があるか教えてください。
税務に関して私たちの会社の特色としては「IPO/上場会社向けサービス」と「外資向けサービス」という2本柱があるところです。前者は、上場を目指している会社や上場会社に対して高度な税務サービスを提供しています。そして後者について、今回RSMに加盟したこともあり今後は今まで以上に税理士の方々に国際業務、クロスボーダー案件をお願いしたいと考えています。
――会計士の方が会計士業務と税務業務を両方行うこともできるのですか。
はい、その点は汐留パートナーズが今後中堅として魅力を感じていただけるポイントになってくると思っています。現在アドバイザリー事業部、国際コンサルティング事業部、会計税務事業部、人事労務事業部など様々な事業部があるのですが、中には2つの事業部を兼務しているメンバーもいます。現在開発中ではあるのですが、例えば8:2で会計税務とFASの仕事や、FASと人事労務の仕事というような働き方を今後どんどん広げていきたいと考えています。
――有資格者ではない方も活躍しているのですか。
そうですね、私たちの会社は資格を持っている方よりも持っていない方が多く、その代わりにIT回りのバックグラウンドを持っていたり、語学が堪能であったり、皆さんそれぞれの領域で活躍していますね。

04. 今後の展望
――今後何を目指しているのか、どのようなビジョンで進んでいるのか教えてください。
もちろんこれからもRSM汐留パートナーズを自分の人生をかけて率いていこうと思っていますが、もう一つの人生の目標としてRSMのアジアパシフィックや本部のボードメンバーに名前を連ねたいと考えています。グローバルファームに加盟するとどうしても欧米人が強いと感じますが、日本人、アジア人として経営に参画するということも自分の目標として設定しています。
――現状に満足せず挑戦してみたいという情熱はどこからきているのですか。
難しい質問ですね(笑)。
私たちは企業理念に、「従業員とその家族のWell-beingを経営の根幹とし、ワンストップサービスを通じてクライアントが自信を持って前進できるように努め、豊かな地域・社会の実現に貢献する」、と掲げており、それをやっていくためにはずっと走り続けないといけない、止まるわけにはいかないと考えています。現状維持は衰退であり、どんなに頑張っても意外と伸びていない可能性があるので、これでいいやって思ったらもうそのあとは落ちていくだけという風に思っています。
――この1,2年の短期でどのようなところに注力していきたいと考えていますか。
短期では英語力を高めて、RSM汐留パートナーズの営業マンとして世界中のメンバーファームにアピールすることに注力したいと思っています。私はもともと人と話したりお酒を飲んだりするのが好きなので、早速2023年1月から世界中のRSMファームを行脚して「日本から来ましたRSM汐留パートナーズの前川です。よろしく!」ということをしたいです。
05. 前川研吾さんが若い会計士、税理士の方に伝えたいこと
――若い会計士、税理士の方に向けてメッセージをお願いします。
若い皆さんのキャリアがこれから広がっていく中で、Big4だけではなく中堅の事務所もあるということを知っていただけたらすごくうれしいなと思っています。もちろん日本でBig4はすごく大きいですが、会計士がFASと税務の両方を経験する働き方や、少し海外に行って学んでくるといった経験ができるのは中堅ならではのことだと思います。そのため、非常に柔軟性をもった中堅のファームがあるということを知っていただけると嬉しいです。
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