
公開日:2023/02/14
内部統制大好き会計士!浅野雅文(株式会社Collegia International代表)のキャリア!
今回のロールモデルは、株式会社Collegia International代表、浅野雅文さんです。浅野さんは、監査法人でキャリアをスタートさせた後独立の道へ進み、代表社員や社外監査役を歴任されました。現在は「内部統制大好き会計士」として、日本を代表するグローバル企業を含む数々の企業の内部統制顧問のほか、社外役員、著書の出版、講演の開催を数多く行われています。今回浅野さんには、会計士を志したきっかけや独立に至った経緯、「内部統制大好き会計士」としての歩みなどをお聞きしましたので、ぜひご覧ください。
浅野雅文さんのプロフィール
浅野 雅文
株式会社Collegia International代表
公認会計士・税理士
KPMG(現有限責任あずさ監査法人 国際監査部)にて、国内大手上場企業のほか、アメリカ系大手製薬会社、ドイツ系自動車メーカーなど、JGAAP、USGAAP、IFRS(IAS)監査業務、アドバイザリー業務を中心に約6年間従事。
コンサルタントとして独立し株式会社Collegia International設立。「企業のグローバル化を会計・税務面から支援する」をミッションに、内部統制コンサルタント、会計税務顧問、社外役員として関与し、現在に至る。これまで東証一部上場企業からオーナー系・ベンチャー企業、外資系企業まで数100社の支援実績。
とくに内部統制実務においてはUS-SOX・J-SOX導入期から国内屈指の経験を有する。現在も顧問として国内のみならずアメリカ(NASDAQ)上場企業や上場準備企業に対する導入支援や効率化を支援。
株式会社アクセア社外監査役(2013年~)、公益財団法人日本ユースリーダー監事(2022年~)、みかさ監査法人(上場会社監査登録)代表社員(2012年~2016年)を歴任。
2023年よりCPAラーニングにて内部統制講師を担当(予定)
浅野雅文さんの略歴
1978年 神奈川県出身
2001年 公認会計士2次試験合格、KPMG(現有限責任あずさ監査法人 国際部)入所。
2006年 株式会社Collegia International設立、代表取締役就任(現任)。
2010年 税理士登録。
2012年 みかさ監査法人 代表社員就任(~2016年)。
2013年 株式会社アクセア 社外監査役就任(現任)。
2022年 公益財団法人日本ユースリーダー協会 監事就任(現任)。
著書
『決算・監査コストの最適化マニュアル(中央経済社)』 ※重版21刷(2023年1月現在)
『今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務が分かる本(中央経済社)』
『セミナーDVD付きでよくわかる!日本版SOX法実務完全バイブル(実業之日本社)』
メディア
『週刊ダイヤモンド』、『日経トップリーダー』、『旬刊 経理情報』、『週刊経営財務』、『月刊企業会計』など
セミナー・講師実績
2023年よりCPAラーニングにて内部統制講師を担当
YouTubeチャンネル『魁!内部統制道場』でオンラインセミナー配信中
その他TAC、アビタス、DIVA、OBC、税務研究会、宝印刷などセミナー実績多数
01. 会計士を目指すきっかけから独立に至るまで
――浅野さんが会計士を目指したきっかけを教えてください。
きっかけは、大学時代に山一証券や北海道拓殖銀行の倒産を目の当たりにしたことです。大企業の破綻を目の当たりにし、就職氷河期の到来を予感しました。たとえ一流大学を出て一流企業に入ったとしてもどうなるかわからない時代が来るのではと不安が募る一方で、逆に手に職をつけることで、一流大学・一流企業の人にも負けない、一発逆転が可能な時代にもなるのでは、と前向きに考え、難関国家資格である公認会計士に挑戦しようと思いました。
――受験生時代の苦悩や挫折を教えてください。
付属校から大学まで進学したため、受験経験ほぼゼロの状態からいきなり会計士の勉強をスタートすることになりました。当時は年に1回、100人中6名程度しか合格できない超難関試験。勉強を始めたての頃は、気合だけでも大学受験を勝ち抜いてきたエリート学生達に負けまいと1日15~16時間ほど勉強していましたが、どれだけ勉強しても簿記の答練は200点満点中8点が続く状況で、愕然とする日々を過ごしていました。
数か月ほどがむしゃらに勉強するも成績が伸びない日々を送っていたのですが、そんな中、たまたま同じ時期に勉強をはじめたのに飛び切り成績が良い、同世代の友人と知り合うことになりました。早速翌日からその友人に弟子入りし、朝から夜まで彼にぴったりとくっついて彼の勉強法を真似したり、問題の解き方のコツを教わったりしました。するとこれまでがむしゃらに勉強して貯めていた“点”と“点”が、一気に“線”となり、さらには“面”となる感覚を得たのです。おかげで勉強時間は半減した一方で、成績は一気にアップしました。ついには全国模試でも全科目A判定を取れるほどになりました。比較的得意だった理論科目は試験直前まで勉強せず、代わりに苦手だった計算科目を克服すべく、計算答練を1日最低5、6問は解くことで、合格の絶対条件である計算科目でのアドバンテージもとれるようになり、2001年になんとか合格することができました。
――その後KPMGに入所されますが、KPMGではどのような業務に従事していましたか?
もともとは別の監査法人から内定を頂いていたのですが、友人からの誘いで最終的にはKPMGの国際部に“志願兵”として入所しました。というのも当時KPMGの国際部は激務で有名な部署で「他部署と比べて1.5倍働くが、その代わり5年で1人前になれる」と言われるほどでしたので、早く成長できるのではないか、と考えたのです。また会計のグローバリゼーションが進んでいた時代でもあったため、将来グローバルに活躍できる会計士になりたい、という想いもあり、国際部であるKPMGに入ることを決意しました。
ただ、KPMGは事前の説明通り、特殊部隊のような部署でそもそも人数も少なく、激務が常態化していました。たとえば入所から半年間はまともに休みもとれませんでしたし、夜中遅くまで働くこともままありました。3月決算の国内企業のみならず11月や12月といった外資系企業の担当も多かったため、常に決算期を渡り歩く必要もありました。そのうえ、ただでさえ、監査実務に関して右も左も分からない状態なのに、日本基準だけでなく米国会計基準、国際会計基準と、学ばなければならない会計ルールも多いうえ、使用言語も日本語だけでなく英語も必要でしたので、まさに目が回るような日々でした。
それでも結局、KPMGには約6年(スタッフとして3年・シニアとして3年※)お世話になり、そこで多くの経験を積ませて頂きました。
※最後の半年間強は独立準備のため非常勤として勤務
従事した業務内容は多岐にわたり、国内グローバル企業の監査はもちろん、外資系企業の監査や公会計などにも従事しました。入所して間もなくエンロン事件が発生したため、本場アメリカの内部統制報告制度(US-SOX)にも初年度から関与することができました。
――内部統制との出会い
KPMGでSOXに黎明期から携わることができたのは大きな経験だったと思いますし、何より“内部統制の仕事”に出会えたのは自分の人生にとって大きなターニングポイントであったと思います。
私が内部統制の仕事を魅力に思う理由は、基本的には誰が処理しても同じような結果にならなければならない無機質・没個性的な会計の世界にあって、内部統制の仕事だけは、企業やデザインする人によって業務の在り方やコントロールのポイントに差が生じること、つまりオリジナリティやクリエイティビティが認められることです。内部統制をデザインするということは、「会社の業務の在り方」自体をデザインすることに他なりません。監査に耐え得るリスクポイントを抑えるだけでなく、企業の理念や事業内容を深く理解することが求められます。誰がデザインするかも非常に重要で、むしろアートに近い領域かもしれません。
――独立のきっかけを教えてください。
いろいろありますが、最も大きかったきっかけは、日本でもいよいよ内部報告制度(J-SOX)が導入されることが決まり、まさに人生一大の内部統制の大きな波が来ていたことです。J-SOXはUS-SOXに倣って制定されたのですが、日本では初めての制度だったため対応に苦慮している企業が大勢いました。巷の書籍やセミナーを調査してみたところ、US-SOXに黎明期から携わっていた私には、圧倒的な実務経験の知識と有意性があると確信しました。まだ20代でしたし、なにより内部統制の仕事が好きでしたので、独立して内部統制の分野でどこまで戦えるのか、挑戦してみようと決意しました。
02. 独立後、「内部統制大好き会計士」になるまで
――独立後はどのように事業を拡大されたのですか?
独立直後はJ-SOXの波が来ていたこともあり、大企業を含む多くの企業から導入支援の問い合わせを頂き、仕事はいっきに増加しました。また独立して後ろ盾を失った不安も手伝い、貪欲に仕事をとっていたため、気づけばもともと超多忙と言われていたKPMG時代のさらに1.5倍くらいは働いていたように思います。J-SOXの波と前職以上の激務の結果、30歳頃には監査法人時代の数十年分を稼ぐことができ、組織のメンバーも増やしていけるようになりました。
しかしようやく落ち着いてきたと思われた頃、リーマンショックや東日本大震災によって、ほぼ全てのプロジェクトがいっきにストップする事態になります。売上は前年比30%未満に落ち込み、これまでせっかく集めたメンバーも次々に手放すことになってしましました。これきっかけに、事業ポートフォリオも見直し、比較的規模の大きい中小企業に対して、税務顧問業務も行うようになりました。
J-SOXバブル崩壊後も、幸いなことに継続して様々な企業へ内部統制の支援をさせて頂いていたのですが、あるとき元同期の武田雄治氏に中央経済社を紹介いただき、内部統制の本を出版しないかという依頼を受けました。じつはJ-SOX導入期にすでに別の出版社から内部統制の実務書を出版していたので、「今更?」という思いはあったものの、内部統制の実務経験や熱い想いなら誰にも負けないという自負もあったため執筆しました。結果、拙著「今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務がわかる本」は、予想も出来ないほど多くの方々の手にとって頂けています(23年2月現在21版増版)。この本を通じて出合えた人や仕事も多く、「内部統制の浅野」というポジションが確立されていったのだと思います。
浅野さんの著書「今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務が分かる本(中央経済社)」はこちら

03. 浅野雅文さんから将来独立を考える会計士へのメッセージ
――独立を考えている会計士へアドバイスをお願いします。
現在進行形で修行中の身ですので、偉そうなことは言えませんが、私が独立して16年以上サバイブできている理由をあえて一般化するならば、以下の2点だと考えています。
1点目は、「ポジショニング」です。というのも「何でもできる」というスタンスが一番他社に埋もれやすいと考えているからです。結局のところ差別化要因が価格のみになりがちで、いざリーマンショック直後のような価格競争に陥ると、最後は体力のある大規模法人に絶対に勝てないからです。現在私はコンサルタントとして多くの内部統制プロジェクトに関与させて頂いていますが、Big4と同程度かそれより高いフィーをいただけていると思います。そのため他社より価格が高いという理由で見送られるケースもありますが、“「ちょっと高い浅野」と「ちょっと安い浅野以外の会計士」どちらに依頼するか社内で検討したところ、浅野さんにお願いすることにしました”、と言って下さる企業も一定数あります。「自分はこれなら誰にも負けない!」という得意分野に特化したポジションを取ることで、リソースも集中できますし、クライアントにとって唯一無二の存在となり、高い価値を提供できるのだと思います。
2点目は、「やり切る力」です。設立来、弊社では、会計士を含め、これまでに何十人ものスタッフを雇って仕事をご一緒してきましたが、その経験から、途中で仕事を投げ出して辞めていく人が非常に多いことを知りました。逆に言えば、しっかりと仕事をやり切れる人間はとても少ないということです。私が今まで生き残れたのは、与えられた仕事をその時々の自分ができる最高のパフォーマンスで、最後までやり切ってきたためだと考えています。仕事をやり切ることができる人間にしか次の仕事は与えられないため、自分の仕事を最後までやり切ることを意識するのは、非常に重要だと思います。

こちらの記事はインタビュー動画の一部を抜粋して作成しております。ぜひインタビュー動画もご覧ください!
この記事を書いた人
「人と繋がり、可能性を広げる場」CPASSを運営するスタッフ達です。CPASSメンバーは、20~40代まで幅広い年齢層の公認会計士達を中心に、キャリア支援のプロフェッショナルなど様々なバックグランドを持つメンバー達で構成されています。「絶対に会計人達の役に立つ情報発信する」、「CPASSにしか出せない価値を提供する」をミッションとして集まった熱いメンバー達です。CPASS独自の視点からの見解を是非、楽しんでください。
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