
公開日:2021/05/31
独立開業を目指している会計士は必見!独立会計士のロールモデル、仙石実( 南青山アドバイザリーグループ 代表取締役CEO)のキャリア!
独立して僅か8年、日本を代表する会計事務所に称えられるBest Professional Firmを受賞するまでに至った南青山アドバイザリーグループの仙石実さんに、短期間で急成長を遂げた秘訣を、包み隠さずお話していただきました!
仙石実さんのプロフィール
仙石 実
南青山アドバイザリーグループ 代表取締役CEO
公認会計士・税理士
仙石実さんの略歴
2002年監査法人トーマツにおいて、約9年間にわたり東証一部上場企業の監査業務及びIPO支援業務並びに当法人初となるIFRS任意適用会社の監査にメンバーとして従事。
監査法人時代の上司の会計事務所を経て、2013年、南青山税理士法人、南青山FAS株式会社の代表に就任。その後急拡大を続け、現在は南青山アドバイザリーグループの代表として、大手金融機関を始めとした数多くの企業に会計・税務専門サービスを提供。2019、2020年連続してBest Professional Firmを受賞。
2021年に執筆した著書「人生を変えるお金の話」が楽天ブックスランキング1位に輝く。
01. キャリアの変遷、展望
ーー監査法人時代はアクティブに活動されていたと伺いましたが、どのように過ごされていたのでしょうか?
監査法人では一般監査部門に入り、東証一部上場企業の監査業務からIPO支援業務まで幅広く経験させていただきました。当時は1年目からリクルート代表を務めたり、スタッフからシニアに上がるときには東証一部上場企業の現場主任を任せていただいたり、同期の中でもかなりアクティブに活動していたと思います。マネジャーにも早い段階で昇進できましたし、いわゆる監査大好き人間でした。
また、トーマツで初めてとなるIFRS(国際財務報告基準)任意適用会社の監査意見を出すプロジェクトに任命され、約3年間のIFRSプロジェクトにも携わりました。その当時は月曜日から金曜日まで国内監査、土日にIFRSプロジェクトという環境で仕事をしていました。
今の時代ですとなかなか難しい働き方ですが、監査法人では非常に濃い経験を積ませていただきました。先輩方からも可愛がっていただきましたし、あっという間の9年間でしたね。
ーーとても充実した働き方ですね。監査法人に9年勤めた後に、なぜ外に出る決断をしたのでしょうか?
私の父が会社経営をしておりまして、「経営には会計、税務が必要」というアドバイスから会計士の勉強を始めたのがそもそものきっかけでした。将来経営者になりたいという強い思いがありましたので、区切りのいいタイミングで監査法人から出る決意をしました。
また、トーマツという大きな組織から出たときに、自分の力がどこまで通用するのか、試してみたかったという気持ちもありました。
その後、トーマツの先輩の会計事務所であるAKJパートナーズで1年半程働きました。トーマツではずっと監査部門に居たのですが、独立するためには監査以外の経験も必要だと思い、税務やFASといわれるM&A仲介、FA(Financial Advisory)、IPOコンサル等を学びました。監査法人を辞めていきなり独立するのは難しいと思いましたので、色々な経験を通じて学ばせていただきました。
ーー独立して8年、事務所が成長できた秘訣について教えてください。
開業するに際して、トーマツ時代の後輩と南青山グループを立ち上げることになったのですが、正直初めは本当に不安しかなかったですね。特に金銭的な面では、監査法人時代に毎月25日に振り込まれていたものが、振り込まれなくなるという恐怖がありました。
そのような不安の中でもなんとかやってこれたのは、監査法人時代から独立を意識して過ごしていたからだと思っています。私は、独立で成功するか否かは、独立前に既に決まっていると考えています。私は立ち上げた段階でお客様からお仕事を頂けたので、独立開業でいいスタートを切ることができました。特に今監査法人に在籍していて独立を考えている方は、「今の環境下でお仕事がもらえるかどうか?」を常に自問自答するべきです。
私が当時からクライアントとの仕事において心掛けていたのは、今の南青山の経営理念になっている「誠実性、専門性、迅速性」の3つです。これを突き詰めたからこそ、お客様から信頼を得ることができたのだと思います。
ーーなるほど、いかにお客様から信頼されるかを大切にされていたのですね。
トーマツ時代もそうでしたが、働いていて嬉しいと感じた瞬間は、お客様が応援してくださったときですね。
一つ、開業前の面白いエピソードがあるのですが、子供と図書カードを作りに行ったときに、身分証明で免許証を提出したのですが、受付の方に更新が切れていると言われてしまいまして。更新のために教習所に講習を受けに行ったところ、講習が私ともうお一方だけでした。折角なのでランチに行きませんかと声をかけたところ、実はIT企業の社長だったんです。その後色々あり、なんと南青山の一番目のお客様になってくださったのです。
そう考えるとご縁ってどこにでもあるものだと思いますし、お客様とのご縁が私たちの推進力になっているのだなと実感します。
ーーご縁って大事ですね。その他にも大切にしているものはありますか?
「どうやったらファンになってもらうか?」ということを設立当初からフォーカスしていました。私は“Business to Fan”と呼んでいますが、信頼をどのようにして積み上げるかを、常に考えています。そのため、名刺からお客様との接し方まで、非常にこだわっていました。
会食にほぼ毎日行ったり、コミュニティに参加したりと、ファンを作るためにひたすら動き回っていました。コアなファンがファンを繋いで、扇状に徐々に広がっていく様な、好循環が生まれていくと考えています。
その他にも「お客様から依頼された仕事は絶対に断らない。」ということもこだわっていました。やったことがないことでも、まずは一旦引き受ける姿勢で、次の仕事に繋げられるように頑張っていました。
あと、特に営業をするときなどは、自分で自分を褒めるのが本当に難しいんですよね。ただ、第三者の方が「仙石さんの事務所すごく良いよ」と一言言ってくださるだけでも、話を聞いていただける姿勢が全然違うんです。”信頼資産”と言っても良いと思いますが、このお客様からの信頼が、事務所を大きくすることができた一番の理由だと思っています。
ーー南青山グループにはどのようなお客様がいるのでしょうか?
大きく分けて三つあります。一つ目が、東証一部やマザーズ、TOKYO PRO Market等に上場している大企業です。上場企業のM&Aサポートや仲介、デューデリジェンス、株価算定、内部統制改善支援等をしています。
二つ目が、これからIPOを目指していく企業です。IPOの経験がない税理士の方から税務サポートのバトンを引き継いだり、IPOコンサルティングをやったりと、全般的なIPO支援をしております。
三つ目が、非上場のオーナー企業で、事業承継や相続、節税など、“隣にいる何でも屋さん”として支援をしております。我々南青山としては、専門的分野に関するサービスを提供しておりますが、そうでない範囲のものについては提携パートナーと協力することで、トータルサービスでお客様の課題解決を図っています。
ーー直近では大手金融機関との提携もあったと伺っています。
当初からの夢でもありましたね。最初は家賃10万円の雑居ビルに事務所を構えて、コードが出っぱなしで、シャワーがついているようなオフィスから始めたのですが、そこから大手金融機関との提携が実現するなんて、もう夢のまた夢でした。2年前にお話を頂いて、大手証券会社や大手金融機関との提携から始まり、紹介が増えたのが今でも新たなチャンスに繋がっています。
こうして金融機関からアライアンスを頂けているのも、Win-Winの関係を作れているからだと思っています。私たちからは主幹事証券会社へIPO候補企業を紹介し、金融機関からは会計税務で困っているお客様を紹介してもらう、そのようなWin-Winの関係を作ることができている点がポイントだと思います。
ーーこれからの仙石さんのビジョンは何でしょうか?
私自身、これから南青山を100人、1,000人の会計事務所にしたい、という量的な拡大は考えておりません。量より質を重視し、事務所のファンを増やしたいと思っています。“縁ある人を幸せにしたい”という思いが一番大事だと考えていまして、課題解決を通じて一人でも多くの経営者をサポートしていきたい、というのが南青山の現在のビジョンです。

02. 仕事をするうえで大事にしていること(仕事論)
ーー仕事をするうえで大事にしていることを3つ教えてください。
1 人とのご縁
“人との繋がりを持てる”ことが私自身の一番の幸せだと考えております。私はディズニーランドが好きなのですが、あのようなお客様との関係性が理想形だと思います。ディズニーランドに行くといつも幸せな気持ちになるように、人とのご縁を結んでいくためにも、「仙石といると楽しいな、面白いな」と思っていただけるように日々仕事をしています。
2 誠実性、専門性、迅速性
これらの3つの柱は生きていく上で常に大事にしていることです。元々のルーツが、父が経営者ということにも起因しますが、父から、「モノはお金で買えるけど、お金で信頼は買えない」と小さい頃からずっと言われ続けていました。そのため、信頼を積み上げていくために「何が必要か?」を自分なりに考えた結果、この3つに行き着きました。
3 コミュニティ作り
小学生の頃、友達と仙石家によく集まってファミコンをしていました。「仙石家で新作やろうよ」みたいな、そんな感覚に近いような形で、現在は様々なコミュニティ運営に携わっております。会食やゴルフで多方面の方々にお会いしたり、事務所ではIPO・M&Aアカデミーを運営して、1,000人を超える経営者にご参加いただいたりしています。
『人生を変えるお金の話』でも書いているのですが、人は「1万円札はただの紙切れだが、それを1万円の価値があると信じているから価値がある」と思っています。我々会計士は目に見えない無形のサービスを提供していますから、これに対する対価は“価値”で、これを突き詰めていくことがこの仕事で重要だと考えています。そのためには、「何か価値のあるものを提供してもらえるのでは?」といった“ワクワクするもの”をお客様に提供することが、価値を上げていく一つの方法だと考えています。
03. 会計士になってよかったと思うこと
ーー今までキャリアを歩んできて会計士になって良かったと感じることを教えてください。
1 公認会計士という資格への信頼感
例えばコンサル業をやるといっても、何も資格がない人が「経営コンサルタントです」というと、どうしても怪しくなると思います。ですが、公認会計士という資格があると、ある意味“下駄を履く”ことができると思っています。信頼の価値とは本当に大きくて、普通、お客様との信頼を積み上げるのに大きな時間やコストがかかりますが、私たちは資格という特別なチケットを持っているので、一気に信頼を得ることができます。
南青山の立ち上げ当初から、東証一部上場企業からお仕事をいただけたのも、ひとえに私が会計士だったからだと感じています。
2 色々な人と知り合える
私が仕事としている税務や会計は、国民であれば誰でも納税の義務がありますし、会計はどの会社も使っているので、法人個人、誰でもお客様になり得る可能性があります。東証一部上場企業の社長から、スタートアップの経営者、はたまたYoutuberの方まで、色々な方たちに出会えるので、とても楽しいお仕事だと思っています。
3 何かあっても「公認会計士」があれば何とかなる
順風満帆なキャリアとよく言われますが、実は大変なことも色々ありました。創業期は二人で始めたのですが、”二人分の役員報酬を払う”というプレッシャーが常に圧し掛かっていました。「一人もお客様がとれなかったらどうしよう」という焦りがある一方、当時支えになったのは、会計士は“潰しが効く”ということでした。一般企業に勤めていて、資格のない方がいきなり独立するのは、文字通り“背水の陣”ですが、会計士はある程度の生活水準が保証されている点が、非常に大きいと思います。これは本当に大事で、資格という安心感があるからこそ、常にプラス思考でいられるので、成功する確率がグッと高まると思います。

南青山アドバイザリーグループのWEBサイトはこちら
https://minami-aoyama.jp/
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