公開日:2021/11/24
【南青山×CPASS】CPAキャリアセッション第2回第1部 〜成功者への道 経理/財務のプロフェッショナルへ〜
イベント概要
――CPAキャリアセッションとは?
南青山アドバイザリーグループ・CPA会計学院共催の無料オンラインセミナーです。
大変ご好評頂いた7月17日(土)開催の第1回に続き、今回は第2回として、インハウス(組織内)で活躍されている豪華なゲスト陣をお迎えしました。
前回同様に、ベンチャー企業で働く若手から上場企業の取締役に至るまで、多種多様なタイプの公認会計士をお招きし、それぞれの立場から今までの経験やお考えについて、存分に語っていただいております。
【第2回(本イベント)】
第1部:経理・財務の猛者達が現場から眺める景色
第2部:経営陣の視点から考える経理・財務 LINK
第3部:仙石氏×国見による特別対談 LINK
【第1回(前回イベント)】
第1部:時代を担う若手会計士が選択した道(合格後10年以内の会計士) LINK
第2部:成功者達が見るこれからの未来へと続く道 LINK
第3部:仙石氏×国見による特別対談 LINK
――【第1部】経理・財務の猛者達が現場から眺める景色
第1部では、リクルートHDやウォルマートジャパン(西友)といった大手企業での経験を積まれている白井さんや高橋さん、スタートアップで経験を積まれている森本さん、長瀬さんをお招きし、両側面から組織内会計士について掘り下げていきました。
当イベントレポートでは、第1部の内容についてダイジェスト版をお伝えします。詳細については、ぜひ動画をご覧ください。
INDEX
①登壇者サマリー
②トークテーマ
――なぜ事業会社を選んだのか
――事業会社での業務内容ややりがい
――公認会計士だからこそ事業会社で出せるバリュー
――今後のキャリアの展望
――変化が加速する現代の環境のなかで、価値を出し続けるためには?
③最後に
① 登壇者サマリー
白井敬祐公認会計士事務所 代表 白井 敬祐 氏
株式会社エアークローゼット 執行役員 経営管理グループ長 森本 奈央人 氏
株式会社 wevnal 執行役員管理部長 長瀬 健 氏
合同会社西友 財務本部 経理部 部長 高橋 賢人 氏
② トークテーマ(ダイジェスト)
――なぜ事業会社を選んだのか
まず、登壇者の皆さんから、なぜ事業会社を選んだのかを語っていただきました。
より詳しいお話が気になる方はぜひ動画をご覧ください。
真のコンサルタントになるために(白井 敬祐)
コンサルティング会社からリクルートHDへ出向した際に、事業会社側に入ってみて初めて、コンサルタントが言っている内容は“人に喜んでもらえるものではなかった”ということに気付き、事業会社の中に入ることで真のコンサルタントを目指そうと考えた白井さん。
夢があるスタートアップに面白さを感じて(森本 奈央人)
友人が働いていたスタートアップに遊びに行った際に、「世界を変える」と40代の社長が本気で言っており、かつ、実際に手を動かして頑張っている方々に出会い、面白さを感じてスタートアップにジョインした森本さん。
当事者意識と成長産業へ飛び込みたいという思いから(長瀬 健)
コンサルタント会社では、どんなに当事者意識を持っていても、薄皮一枚当事者じゃないという壁への違和感が拭いきれずに、真の当事者意識を持ちたかったことと、再生案件ばかりをやっていたので、成長産業を見たいという思いからスタートアップにジョインした長瀬さん。
自分で頑張ったことが自分の所属する組織に返ってくる環境へ(高橋 賢人)
監査やアドバイザリーでは、プロジェクトが終わると頑張って積み上げたものが離れていってしまうことに寂しさを感じ、“自分の頑張ったことが自分の会社に積み上がっていく”ことが面白いなと考え、事業会社への転職を決めた高橋さん。
――事業会社での業務内容ややりがい
(1)業務内容
スタートアップの管理部は、いわゆる何でも屋なため、領域を閉じずに基本何でもやるなかで、プロフェッショナルさはもちろん重要だけれど、ファイティングポーズをいかに取り続けられるかが大事になるとのことでした。
一方で、大手企業では分野が絞られ、プロフェッショナルとしてやりきる領域、守備範囲を定義して、成果物の期待値をコントロールしたなかで、その期待値を超える成果物を出すことが大事とのことでした。その他にも、大手企業は、ダイバーシティで色々な方々がいるため、皆さんをとりまとめ、最終的にはサンドバッグになることも重要とも語られています。
双方会計士が務める経理部、管理部という意味で同じ条件とはいえども、会社の規模で業務の内容は全く異なるということが分かりますね。
より具体的な業務内容としては、スタートアップの場合、経理業務はもちろんのこと、採用活動や資金調達、その他法務、労務、総務、税務など全てを対応する可能性があるとのことでした。
一方で、大企業の経理部の場合、開示書類の作成や連結仕訳の入力など、自身に割り振られた経理業務の分野をこなすことになるとのことでした。
実際の動画ではより詳しく解説していますので、気になる方はぜひ動画をご覧ください。
(2)やりがい
スタートアップ:
自分のやっていることが直接会社に跳ね返ってくる感覚がやりがいとして挙げられました。
新しい経験が多いため、大変なことが多いけれど、色々なことを自分がやればやるほど、会社の成長に繋がり、会社のためになっていることを実感できるとのことでした。
その他には、資金調達の際に自分の会社の未来を語り、信じてもらって投資をしてもらうことが必要になるため、未来を語る際の自分の一言に社運がかかっているかもしれない重みが大変ではあるものの、やりがいでもあると語られていました。
大手企業:
会計士だからこそ出せるバリューを発揮できるのがやりがいとして挙げられました。
具体的には、この後の『――公認会計士だからこそ事業会社で出せるバリュー』でも記載している通り、“基準に書いていないような内容で意見をできること”や、 “会計基準としてのあるべき論を理解した上で、会計処理をいかに簡便的なものに落とし込んで、監査法人と交渉・納得させるか”などです。
――公認会計士だからこそ事業会社で出せるバリュー
簿記だけではなく、会社法などの幅広い知識を持っているからこそ会計士として発揮できるバリューがあることや、監査法人を経ることによって得られる誠実性やタフさ、すぐに調べることなどの仕事へのスタンスなどが秀でていると話題になりました。
また、大企業となると組織内には頭の良い人、頭の回転が早い人が沢山いるため、ただただ基準に書いてあることが分かっているだけでは意味がないということでも盛り上がりました。基準に書いていないような内容で意見をできること、監査法人に相談する前に“お前はどう思う?”を答えられる会計士、つまり、監査法人との間に入って考えを持てるからこそバリューを発揮できるというお話も盛り上がりました。
――今後のキャリアの展望
組織内会計士と言っても、ポジションや役割は様々で今回ご登壇いただいた皆さんも経理部長だったり、管理部長だったり、はたまた現在は独立したり、とバラエティに富んだ皆さまでした。
バラエティに富んだ皆さまだからこそ、今後のキャリアの展望もまた様々でした。
具体的には、「社内でサンドバッグにならなきゃいけないようなことは全て捨てて、プロとして真のコンサルタントを目指し、同時に会計士の魅力も伝えていく」ことを目標にしている独立会計士の白井さん。
経理部長を務める高橋さんは「今まで培ってきた守りの会計監査から、予算やIRなど、より将来のストーリーや未来の数字作りを経験して、CFOの類を目指していきたい」と語っていました。
一方で、経営管理グループ長を務める森本さんは「どこかのタイミングで起業して、社員を抱えて会社を動かすといった、自分の一言で方針が決まるような環境を創り出すこと」を実現してみたいと語っていました。
スタートアップで執行役員を務める長瀬さんは「長期のキャリアの解像度は高くないけれど、将来的に面白いことをやっていると思う」と会計士のキャリアの多様性をもとに語ってくださいました。
――変化が加速する現代の環境のなかで、価値を出し続けるためには?
「経理や会計士はAIに代替されて消えていくと言われてしまうことが多いですが、無くなる訳がない」という話題で盛り上がりました。
考える力はどの時代でも求められるため、最終的な意思決定や表現の仕方には人が絡む必要があることなどが理由として挙げられています。それこそ、単調な作業はAIやRPAに代替されるかもしれないけれど、“それらを活かして次に何を実現できるか?”を考えられる思考力が大事とのことでした。
その他にも、いずれ会計士は総合格闘家のようになっていくというお話も盛り上がっています。現在のように、会計監査のみに特化して領域を絞った状態ではなく、会計全般をカバーできる能力が必要になるとのことでした。
何故なら、見識を広げて色々な業界をみたり、色々なジャンルの話をできたりすると、何かしらの変化が生じた時に、その変化について自分の持っている知識の中で結びつきが容易になり、解決方法を模索することができるようになるからです。変化が加速する現代だからこそ、重要になりそうなスキルですね。
③最後に
いかがでしたでしょうか。
当イベントを視聴して、私が印象に残った内容、考えさせられた事項が2つあります。
1つ目は、知らないことは直ぐ調べるという仕事へのスタンスが、会計士が事業会社へ転職した際にもバリューになっているという点です。
そもそも会計士試験に合格している時点で優秀な皆さんが更に、知らないことがあった時に自分で調べて解決していく能力を持っていることは正に鬼に金棒だと思います。
監査法人では、クライアントに適当なことを答える訳にはいきませんし、かといって普段取り扱う論点や事象を全て知っているということの方が稀で知らないことばかりだからこそ、調べる癖・考える癖がつきますし、加えて自分で意見を出さなければならない責任もあるという状況が良い環境だったのだなと再認識しました。
このような環境で育つことができたからこそ、仕事に対するスタンスや誠実性、タフさなど他の会社にいっても会計士としてのバリューを発揮できる根源になったのではないでしょうか。
2つ目は、考える力と当事者意識が無いと会計士資格があったとしても力を発揮することができないという点です。
特に、監査法人から事業会社への転職で失敗するケースは基本的に、当事者意識が圧倒的に足りないことに起因するとのことでした。
「基準で○○と定められているからあとはよろしく」というパターンは、指摘してクライアントに修正させればよい立場で済む第三者の監査法人にいる間は成り立つかもしれません。しかし、事業会社に入り込んだ場合は、自分達が成果物を作り上げなければならない当事者だからこそ、「基準で○○と定められているものの、自身の会社の境遇にあわせて、実務では△△という処理に落とし込む」という思考力と対応力が大事になるのだと思います。
あるべき論を知りながらも、状況と場合に応じて最善策を練ること。考える力あっての当事者意識であり、当事者意識を踏まえた意思決定によって、組織に対してより良い方向性を示せるからこそ、組織のメンバーもついていきたいと思えるのではないでしょうか。
最後に、自分の領域を絞らず幅広い知見を得て、常に思考を続けることで、変化の激しい現代においても、価値を出し続ける会計士として活躍できるのだなと改めて感じさせてもらえました。これからますますご活躍されていく登壇者の皆さんが、等しくこれらを大事にするべきだという指針を示してくださるのは、とてもありがたいことですし、やる気が湧いてきますね。
CPASSでは、上記のような魅力的なイベントを随時開催してまいります。この記事を読んで、興味関心を持たれた方はぜひ次回イベントにご参加ください。
また、キャリアについてのご相談等についても随時承っておりますので、ぜひご登録してみてください。
https://cpa-career.jp/
当記事の実際のイベント動画はこちら!
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