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公開日:2023/08/01

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FAS業務に従事している会計士へインタビュー①

古川拳土さんの記事

こんにちは。

本日はFASにてデューデリジェンス(以後「DD」)業務に従事している(したことのある)現役会計士4名に、下記の内容についてインタビューして参りましたので、今後の業務のイメージを沸かせるのに参考になれば幸いです。

① FAS入社前に実施した事前準備
② 入社して最初に担当した業務
③ 入社して最初に苦労したところ
④ ③を乗り越えるためにどのような工夫をしたか

今回から2回に分けて内容を発信できればと考えています、まずは、

① FAS入社前に実施した事前準備
② 入社して最初に担当した業務

の2点について、インタビューさせていただいた内容を紹介できればと考えています。

    4名の簡単なバックグラウンド

    なお、インタビューさせていただいた4名について、簡単にバックグラウンドを紹介しますと、下記の通りとなります。

    Aさん:監査法人にてシニアスタッフまで上がった後、同ファーム内のFAS DD部門に異動。1年7ヶ月勤務後、FASを退職。

    Bさん:監査法人にてシニアスタッフまで上がった後、他ファームのFAS DD部門に転職。FASでの勤務開始後約半年、現在もFASに在籍中。

    Cさん:監査法人にてシニアスタッフまで上がった後、他ファームのFAS DD部門に転職。FASでの勤務開始後約8ヶ月、現在もFASに在籍中。

    Dさん:監査法人にてシニアスタッフまで上がった後、他ファームのFAS バリュエーション&FA部門に転職。約1年後更に他ファームのFASへ転職し、DD、バリュエーション、FA業務に従事中。

    それでは早速内容に入っていきます。

    01. FAS入社前に実施した事前準備

    Aさん

    ・専門書の通読を通してM&AやDDについて体系的な理解をする

    実際は案件に携わらないと理解できない部分も多く、効果的とは言えない部分もありますが、最低限の基礎知識が無いとそもそも話についていけませんので、実施しておいて良かったとは思います(監査ではあまり出てこない概念などは特に理解が必要です。例えばネットデットって何ですか?というレベルですと、見限られてしまうかもしれません)。

    ・既にFASで勤務している会計士の上司に業務事情をヒアリングする

    (知り合いの知り合いでも良いから紹介してもらう、同ファームだと、なお良い)

    業務のイメージが出来てない部分も多かったため、先に色々とお伺い出来たのは有意義でした。

    Bさん

    以下の課題図書を読む+英語の勉強をしました(苦手意識があったので)。

    ・PwCのDDの書籍(下記リンクの書籍)

    M&Aを成功に導く 財務デューデリジェンスの実務〈第4版〉 | プライスウォーターハウスクーパース株式会社 |本 | 通販 | Amazon

    ・M&Aの全般的な簡単な書籍

    ・バリュエーションの簡単な書籍

    Cさん

    財務DD関連の本を読みました。

    Dさん

    入社前は知識のキャッチアップは最低限行うべきと考えて、下記を書籍少しだけ読みました。

    改訂5版 M&A実務のすべて | 北地 達明, 北爪 雅彦, 松下 欣親, 伊藤 憲次 |本 | 通販 | Amazon

    M&Aを成功に導く 財務デューデリジェンスの実務〈第4版〉 | プライスウォーターハウスクーパース株式会社 |本 | 通販 | Amazon

    ただ、結局は実務に触れないとイメージがしにくい項目が大半だと思いますので、用語(ネットデット、ミニマムキャッシュ等々)や調査項目の全体像(PLなら売上のトレンド分析とか原価率、人件費構造の分析など、BSなら回転期間分析とか設備投資実績・予定など)を把握できれば良いかと考えています。

    上記の通り、大きな方針としては、

    ・関連書籍の通読

    ・実際にFASのDD部門にて勤務している知り合いに話を聞く

    辺りがメインになってくるかと思います。

    関連書籍については、PwCの書籍が主流になってくるかと思います。

    一方で、実際に業務に関与してみないと見えてこない部分もあるかと思いますので、その点については実際の業務にてキャッチアップするしかないのかなと考えています。

    また、関連書籍については、下記リンクに記載していますので、ご確認下さい。

    FAS部門及び関連書籍の紹介(その1)

    FAS部門及び関連書籍の紹介(その2)

    02. 入社して最初に担当した業務

    Aさん

    はじめての科目はBS全部でした。

    DDに限りますが、科目で分担を分けることは少ないイメージです。

    全般・PL・BSの3種類に分けることが多く、PL1人、BS1人、全般は手が空いた人またはそれぞれの担当に分割することが多い印象です(小さいディールだと、割当は全部1人で、上位者のレビューのみだったりします)。

    DD初心者は、まずはBSをやる事が多いです。

    理由としては、BSは他の案件とも共通して同様の調整を行う部分もあり、成果物の型が少しだけ存在していますので取りかかりやすいし、上位者からしてもマネジメントしやすいためです(とはいえ、案件のスコープによります。BSだから簡単というわけではないです)。

    例外的に前職が監査法人の管理職クラスの場合は、初めからPL担当になることもあります。その場合、チャンスである一方、上司からの期待値は高めなので、プレッシャーはかかるかと思います。

    Bさん

    BS科目、具体的には要約BS.CF分析、ネットデット分析、運転資本分析、CAPEX分析を担当していました。案件によってはデータ加工のみを任されてしまうこともありますが、一般的には一年目はBS科目中心になるかと思います。

    Cさん

    BS科目を最初に任されるケースが多いです。最初はBSの一部分(運転資本、ネットデット、CAPEXのうちいくつか)を担当することになるかと思います。

    Dさん

    私の場合ですと、前職がFASで、バリュエーション業務に従事していましたので、チーム内でバリュエーション目線での分析のニーズがあったため、運転資本やミニマムキャッシュの分析が中心でしたが、裏を返せばそのあたりの分析は一年目の方は実施しないのかもしれません。

    最初は、債権債務の回転期間分析など、機械的に実施可能な分析が任せられることが多いのではないでしょうか。PL科目は案件によりますが、収益力調整は重要な作業となるため、慣れた方による実施が多い印象です。

    私はDD業務に従事したことがないため、良いコメントはできないのですが、まずはBS科目を任されることが主流となってくるようです。

    そのため、まずは運転資本、ネットデット、CAPEX(資本的支出)あたりについて、事前に書籍を読みつつ理解を深めておくのが良いかなと思います。

    まとめ

    本日は、

    ・FAS入社前に実施した事前準備

    ・入社して最初に担当した業務

    の2点について、インタビューした内容の方を紹介させていただきました。

    特に2点目については、中々実際に業務に従事している方に具体的な内容をヒアリングする機会はないですので、参考になる方も多いのではないかと考えています(DDに従事したことがない私も、お聞きしていて新鮮でしたし、業務のイメージがよりリアルに沸いてきました)。

    次回は、

    ③ 入社して最初に苦労した部分

    ④ 上記を乗り越えるためにどのような工夫を実施したか

    の2点について、インタビューさせていただいた内容を紹介できればと考えていますので、乞うご期待下さい。

    最後までお読み下さりありがとうございました。

     

    この記事を書いた人

    慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士試験に合格後、2017年2月より有限責任監査法人トーマツへ入所し、会計監査業務、内部統制監査業務、定期採用関連業務に従事。その後2020年7月より、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社にて企業価値評価業務や会計監査支援業務、財務分析業務等に従事。
    2022年4月より株式会社Clearにて経営企画業務、その他コーポレート業務全般(経理、労務、財務、法務)に従事。

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