
公開日:2021/11/13
自分のやりたいことを自由にやって生きる「ギャル会計士おりさ」こと栗林利紗のキャリア!
今回の動画は、「ギャル会計士おりさ」として、多方面で活躍する栗林利紗さんをお招きいたしました。アドバイザリー業務を経て、独立し、会計士を軸に自由に活躍している栗林さんのキャリアをぜひ参考にしてみてください!
栗林利紗さんのプロフィール
栗林 利紗
栗林利紗公認会計士事務所所長
株式会社Ri-speKt代表取締役
福島工業高等専門学校非常勤講師
福島高専を卒業後、早稲田大学に3年次編入。その後会計大学院に進学し、2014年に公認会計士二次試験に合格。
カリフォルニア、マルタの短期留学を経て監査法人トーマツのアドバイザリー事業部に入所。主に上場企業のリスクマネジメントコンサルティングに従事しながら、兼業で国内監査を経験。
2018年の独立後は税理士法人で税務経験を積みながら、念願のアパレル事業を創業。
現在はスタートアップ企業のバックオフィス支援やインフルエンサー、アパレル会社の会計・経営顧問をメインに行っている。
SNSでは会計士の魅力について発信中!
栗林利紗さんの略歴
2014年:公認会計士試験論文式試験合格。
2014年:監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)アドバイザリー事業部 入社。
2018年:栗林利紗公認会計士事務所 開業。
2018年:アパレル事業「Grumpy Princess」立ち上げ。
2018年:株式会社Ri-speKt創業。代表取締役就任。
2020年:アパレル事業「Grumpy Princess」売却。
01. キャリアの変遷、展望
――栗林さんが会計士を目指したきっかけを教えてください。
元々、将来は独立したいという気持ちがありました。
高校生ぐらいからギャルをやっていたのですが、“どうやったら今の自由な状態のまま生きていけるかな?”と考えていた結果、会社員を続けるイメージが湧きませんでした。
とはいえ、自分が起業して大成功するような優れたアイデアも無かったため、“固く手に職をつけよう”と考え、“とりあえず会計士!”という軽いノリで目指しました(笑)。
――公認会計士論文式試験後の合格発表まで留学していたと伺っています。
試験後は何もかも忘れたいと思っていたものの、日本にいると勉強や試験のことを考えてしまうので、海外へ行きました。
ネイルもまつエクも髪の手入れもお休みをして、引きこもって勉強していた受験時代が本当に辛かったです。正にギャル休暇中という感じでした(笑)。
皆さんからするとそれらがお休み状態になっても、別にたいしたことないという感覚かもしれませんが、私みたいなギャルにとってはそれが命で、当時は、“ギャルの出来損ないになってしまった…。”と本当に苦しんでいたんです(笑)。
そのため、試験が終わったら何か楽しみを作りたいと考えていて、勉強中の時からアメリカのVISAを取って準備を進めていました。試験終了後すぐに、美容院とネイルに行って、自分を整えてから2~3日後にはもう海外へ旅立ちましたね。
――監査ではなく、アドバイザリーを選んだ理由を教えてください。
まず、私自身は監査法人とアドバイザリーの選択に関する悩みは一切ありませんでした。というのも、“仮に落ちてしまっていたらもう仕方ない”と思えるくらい受験勉強で全てを出し尽くしていたので、落ちた場合は、勉強専念の受験生ではなく、就職先は決めておこうと考えていたところに、アドバイザリー事業部が内定をくれたからです。
そもそも独立志向だったため、監査にこだわりがなかったことも大きいかもしれません。
――内定をもらった経緯を教えてください。
ロサンゼルスに3か月程滞在していたのですが、その際に日本人の留学生向けキャリアイベントであるキャリアフォーラムに参加しました。このキャリアフォーラムは1日で一次面接~最終面接を行うようなイベントでした。
一緒に留学していた友人からキャリアフォーラムのことを聞いて急遽参加したため、就活の準備を全くしておらず、とりあえずアメリカのスーパーでスーツを買って、金髪で参加しました(笑)。
でも、そんな容姿ではあったものの、バイタリティなどが認めてもらえたのか、無事内定を頂くことができました。
――トーマツのアドバイザリー事業部で得られた経験について教えてください。
いわゆる閑散期がなかったため、本当に忙しかったです。監査の繁忙期は監査業務に従事し、監査の繁忙期が終わったらアドバイザリー業務に従事するという働き方でした。
監査法人では、閑散期である夏に長期休暇を取って海外旅行などをする方が多いかと思いますが、自分は年中ずっとフル稼働していました。ただ、そもそも会社に長く居る気はなかったことと、“どうせ会社に入るなら、その期間をめちゃくちゃ濃いものにする!”と決めていたので、無心で働きました。
――トーマツに勤めていた期間はギャルの活動はできていましたか?
平日は、仕事に注力していたため、土日の休みはすべて美容室とネイルに時間を費やしていました(笑)。
ギャルの稼働はそこまで落としていなかったかなと思いますが、髪型や髪色は今のように自由にはできなかったので、平日と休日で切り替えていました。
――独立したきっかけについて教えてください。
“20代最後に自分の力でどれだけ稼げるか?”を試したくなり、独立しました。
トーマツに在籍した3年半の間にたくさんの経験を積むことができ、次第に、自分の力のみで頑張るような新たな挑戦をしたいという気持ちが強くなりました。
また、トーマツに残ってシニアになるまで業務を続けた場合、“いわゆる会社員になってしまうかも?”という不安もあり、独立を決意しました。
――独立後、軌道に乗るまで苦労しましたか?
独立した時は見切り発車で、貰えるお仕事の当てがあった訳ではなかったため、前職の時の上司や既に独立していた知人、大学・高校の先生など、とにかく色々な方に会いまくりました(笑)。その結果、基本的に皆さんと連絡をとり続けていたおかげもあって、お仕事を紹介していただきました。
また、税務の知識が全く無いものの、将来的には税務での仕事も捌いていきたいと考えていたため、週2、3日業務委託で働かせてもらえるところを探し、下積みさせてもらっています。
――高専での経営学の講義はいつから始めたのでしょうか?
独立して2、3か月後には教壇に立つことができていました。今年で4年目になります。
母校の高専の先生に「独立して時間あるのでお仕事ください!何でもやります!」と伝えた結果、すぐに経営学の授業を担当させて貰えました。会計士がこういう形で話をしに行くと、いくらでも仕事を貰えるのは魅力的ですよね!
――アパレル事業を起業したと伺っています。
“アパレル事業をやりたい!”という思いがずっとあり、準備はトーマツ時代から進めていました。学生の頃から“SHIBUYA109の店員になりたい!”という漠然とした憧れがあり、何かしらの形でアパレルに関わりたいと思っていたんです。
それこそ学生だった当時は、週に1回SHIBUYA109に行って、ショップのお姉さんたちを見るのが本当に楽しみでした。憧れがあったにもかかわらず、ショップ店員にはなれなかった悔しさがあり、とはいえ、今さらSHIBUYA109の店員や会社員になるのは難しかったため、“自分でやってみよう!”と一念発起しました。
やると決めてからは、海外のブランドなどにメールを送るなどして、仕入先を自分で見つけて、ネット販売で小さく始めました。
――経営はうまくいきましたか?
起業したての頃はやはり辛かったです。
起業した当時かなり自信があって、“これ絶対に売れる”と思って、オーストラリアから大量のサングラスを仕入れました。これが全く売れなくて…(笑)。
今になれば変だったのは絶対に自分と思えますが、当時は“皆、感覚おかしくない?”、“こんなにイケてるサングラスなのになんで分かってくれないんだろう?”と本気で思っていました。なお、そのサングラスの在庫はまだあります(笑)。
――アパレルの中でも水着がかなり流行ったと伺っています。
当時、広告としてインフルエンサーが商品を紹介するというスキームが伸び盛りでした。そのタイミングで良いインフルエンサーと商品の水着が上手くマッチして流行らせることができたんです。
アパレル事業を始めて最初の半年は売り上げが全然立たなかったなかで、受験生活を思い出して奮闘していました。思い返せば、会計士試験の勉強を始めたばかりの時も思うように成績が揮わなかったけれど、努力を続けたことで徐々に成果が出始めて、最終的に合格することができたからです。
この経験のおかげで、最初うまくいかなかったけれど、“受験始めた時もずっとD判定だったけど、合格できたじゃん!事業もぐんと伸びるタイミングがくるから、その時までひたすら努力して待つしかない”とポジティブに考えることができました。
――一般的には、一度の旅行で水着は何着持っていくものですか?
インスタ映えを狙う女性たちは、1日2、3回着替えることがざらです。そのため、3泊なら6着とか持っていくかもしれません(笑)。
ちなみに、これらの水着の用途は魅せる用であって、泳ぐことには極端に向いていません(笑)。
――アパレル事業の現在の状況を教えてください。
実は、昨年売却していて、現在は全くアパレルに携わっておりません。
コロナ禍による海外旅行者数の激減時に、「アパレルの会社売ってくれない?」と声をかけられたことがきっかけでした。
そのため、今現在の私の活動としては、自身の会社であるRi-speKtで会計コンサルをしたり、業務委託でスタートアップの管理部門の全般のサポートをしたり、インフルエンサーの繋がりでお金周りを手伝ったり、など多様な活動をさせてもらっています。
――今後のビジョンについて教えてください。
ビッグになりたいという思いはあるものの、具体的な何かは定まっていないです。それこそ、その時のご縁とチャンスに任せて、掴み取っていきます。
そもそも私は、将来の計画を緻密に立てられるタイプではなく、その時のご縁を大切にしたいと考えています。やりたいことは常に変わっていくので、自分の気持ちに素直になって、その時に一緒に頑張りたいと思える人とやれることを、楽しく、やっていきたいです。
“こうするぞ!”って決めていても計画通りにいくなんてこと中々ないですもんね!
会計士じゃなかったら今の私のような生き方は絶対にできていないと思うので、本当に会計士でよかったなと日々感じています。

02. 仕事する上で大事にしていること(仕事論)
――仕事する上で大事にしていることを3つ教えてください。
(1)ご縁を大切にすること
今頂いているお仕事は全て、人とのご縁によって成り立っています。つまり、人との繋がりによって今の自分が生かされているといっても過言ではないです。
もちろん、誰とでも仲良くするわけではなく、尊敬できる人だったり、自分と考えが似た人だったり、”一緒に仕事したいな”と思えるような人たちとのご縁を大切にしています。流石に出会った人全員とは無理ですよね(笑)。
自分と合う人とのご縁を大切にすること、これをかなり大事にしています。
(2)期待値をコントロールすること
事前に相手との期待値をコントロールすることも大事にしています。
これは、過去の失敗から学んだTipsです。具体的には、相手が自分に期待している成果物と自分が提供できる成果物のイメージが一致しているかをお仕事の受注前に確認してすり合わせることです。
独立当初は、仕事欲しさに「何でもやります、超頑張ります!」といったニュアンスのことを言ってしまいがちですが、これは将来の自分の首を絞める行為になってしまう危険性があります。なぜなら、どれだけ誠意をもって取り組んだとしても、成果物が相手の期待値に満たなかった場合、「『何でもできる』と言っていたのにできていない」という評価になり、信頼を落としてしまうからです。
独立後は、会社ではなく自分の名前を看板にしているため、自分のブランド価値を上げられるか下げてしまうかは自分の行動次第になります。その中でも最初のすり合わせがやはり一番肝要で、相手に期待させ過ぎないということが大事になると考えています。
盛ってなんぼのギャルですが、仕事の期待値は絶対に盛らないようにしています(笑)。
もちろん、プラスアルファでできるときはやります。「この範囲はできません」と事前に言っていたにもかかわらず、「今回は、ここもやりました」というパターンはむしろ相手がすごく喜んでくれて、お互いハッピーだからです。
(3)少しでもやりたいと思ったことはすぐやること
やりたいと思ったことにトライアンドエラーして、できるようにしていくことが大事だと考えています。
何かをやりたいと思っている人は沢山いるはずですが、行動までに緻密に計画を立てて自分の中で100%の準備ができてから始めるという人が多いと思います。
実際は、やってみないとわからないことが多いからこそ、まずはやってみて、駄目だった場合は、ダメだった理由を分析して、また行動に移して、できるようにしていくことが大切だと思うんです。これを繰り返すと、行動した時の精度も上がっていきます。
03. 会計士という資格を取って良かったこと
――会計士という資格を取って良かったことを教えてください。
良かったことばかりで、悪いことが思い浮かばないので3つに厳選します。
(1)自由に生きられること
正直、今を働いている時間でみるとかなり長いです。土日とかも関係なく夜遅くまで仕事をしていることも多いです。ですが、この仕事は自分でやりたくてやっている仕事だから気分的には全然良くて、仕事している感覚や苦痛といった類のものが一切ないです。
正に、ワークがライフでライフがワークな状態を作れているのだと思います。嬉しいことですね。
こうやって好きなことをやれているのは会計士の資格があったからですし、自由にやりたいことをやれるというのはとても良いことだと感じています。
(2)社会的信用が大きいこと
公認会計士という枕詞がついているだけで周りの人の対応が全然違います。
具体的には、人前で話す時に耳を傾けてくれる人が多くなったり、聞いている方が納得してくれやすくなったりです。
社会的信用があるからこそ仕事の幅も顕著に増えています。
例えば、金融機関に挨拶に行った際も会計士の先生だからという理由で新しい仕事を依頼してもらえています。
『ギャル会計士おりさ』と『ギャルおりさ』では信用力が雲泥の差になっていて、この3文字に何度救われたか分かりません(笑)。
(3)経済的に独立できること
経済的な独立と精神的な独立は連動していると考えていて、“経済的な状況を自分でどうにでもできる”という自信があることは、ストレスなく生きられて、自分にご褒美も与えることができて、幸せなことだと考えています。
子供の頃のことですが、母親が専業主婦で父親が財布を握っていたため、欲しいものがあるといちいち父親の許可が必要な体制がとても嫌でした。
それを今は自分で出せるということに喜びを感じますし、ことあるごとに自分にご褒美をあげられることが人生の楽しみになっています。
私は月にどれぐらい必要かわからないくらいお金がかかる女性なのですが、それを自分で全部出せるということ、本当に幸せです。
04. 栗林利紗さんから女性会計士に向けたメッセージ
――女性の受験生やキャリアに悩んでいる女性に向けたアドバイスをお願いします。
会計士受験生の女性とキャリアに悩んでいる女性それぞれに分けてお伝えします。
(1)会計士受験生の女性の皆さんへ
20代は旅行や合コンなど、どうしても楽しいことが多いし、若い内に経験しなきゃと思えてしまうイベントが多いかと思います。
ですが、私自身はその時間を我慢して、勉強したことで得られたものがとんでもないくらい大きくなっています。その期間があったからこそ、色々なことにチャレンジできて、幅が広がり、今の自分があります。
楽しい時期を犠牲にして、勉強をするのは嫌だなって思う皆さん、我慢していた数年なんて終わってみれば、意外と全然覚えていないものです。“あの時なんか辛かったな”という感想があるぐらいです。
人生100年時代の中で、会計士試験を例にとれば辛いのはたかが2、3年です。私も社会に出たのは25歳ですが、その期間社会に出るのが遅れても取るに足らない差だと言えます。なぜなら、その3年間は一瞬で取り返せるからです。焦る気持ちもわかりますが、人生長いことを踏まえると“会計士を軸にいくらでも挑戦できる”ようになったこの2、3年の投資の価値は無限大でした。勉強を頑張っている皆さんは諦めないでぜひやりきって欲しいです。
(2)キャリアで悩んでいる女性の皆さんへ
1つの会社に所属して働くのはもちろん重要ですが、もし、“色々な事に挑戦したい”という思いがある場合は、実現する方法はいくらでもあるので、挑戦すべきだと思います。
自分だけの発想にとらわれずに、発想を柔軟にして、“自分の生きたい生き方を諦めない”で頑張っていきましょう。

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