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公開日:2022/01/25

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【学生非常勤企画】社会人になる前から監査を学ぶ、監査法人学生非常勤のリアル!

CPASS運営スタッフの記事

    イントロダクション

    今回は、大学3年生で公認会計士試験に合格した学生非常勤の方々から、監査法人での学生非常勤に関するエピソードを伺いました。大学4年時の1年間を有意義に過ごす選択肢の1つになると思いますので、ぜひご覧ください。

    ◆学生非常勤とは
    ◆監査でよく使われる言葉
    ◆学生非常勤の業務
    ◆アサイン回数
    ◆学生非常勤を通じて得たもの
    ◆学生非常勤のメリット
    ◆学生非常勤のデメリット
    ◆会計士受験生の方へのメッセージ

    ◆学生非常勤とは

    学生非常勤とは、大学や大学院在学中に公認会計士試験論文式試験に合格した方が在学中に監査法人に勤務できる制度のことです。主に、大学3年生や大学院1年生で合格した方々が学生非常勤という制度を利用して監査法人で勤務しています。

    学生非常勤として働く方々は大学や大学院の授業と並行して監査経験を積むことができるため、一足先に社会人としての基礎を学ぶことができます。

    ◆監査でよく使われる言葉

    (1)アサイン

    仕事の分担のことを指します。監査法人では、監査チームの配属を指すことが多いです。
    例)今日は○○社にアサインされています。 

    (2)PBC

    Prepared By Clientの略称です。売上証憑や固定資産台帳など、クライアントから頂いた資料のことを指します。

    (3)Ref

    リファレンスのことを指します。監査調書に示した数値がどの根拠資料に基づいているのかを示すために使用します。

    (4)インチャージ

    「現場責任者」のことを指します。その他にも「主査」または「主任」と呼ぶこともあります。

     

    ◆学生非常勤の業務

    学生非常勤の業務は、監査チームによって大きく異なります。ここでは、学生非常勤に任されることが多い業務について解説していきます。

    基本的に(1)分析的手続の実施、(2)内部統制監査の補助、(3)実証手続の補助、といった3つの業務を担うことが多いです。

    (1)分析的手続の実施

    学生非常勤は、四半期ごとに実施される分析的手続を任されることが多いです。分析的手続では、勘定科目や取引ごとの数値の増減を検討してコメントを残します。

    (2)内部統制監査の補助

    内部統制監査では、経営者が作成した内部統制の評価の結果について検討します。内部統制監査の一環として、母集団の中からサンプルを抽出し、そのサンプルについて検討することが多くあります。学生非常勤は、監査法人のシステムを利用したサンプル抽出や抽出されたサンプルについての検討を任されることが多いです。その検討の過程で取引先の担当者へヒアリングを行うこともあります。

    (3)実証手続の補助

    主に勘定科目における重要な虚偽表示を検出する目的で行う検証手続です。学生非常勤で任される業務として多いのは、①抽出されたサンプルの証憑突合や、②預金や借入金、売掛金などの残高と確認状との突合や差異調整、③確認状の回収状況のコントロールや確認状に不備があった場合の再発送、④実査、棚卸立会などが挙げられます。

    (4)その他の業務

    上記で挙げた業務の他にも、①調書の整理、②有価証券報告書や四半期報告書などの開示書類や計算書類などに誤りがないかのチェック、③リクルート業務といった業務もあります。

    今回、CPASSが実施した「学生非常勤に関する調査」にて、学生非常勤大学生に対して自由な意見を募ったところ、様々な意見が寄せられました。以降のインデックスでは、アンケートの質問内容とその回答をご紹介していきます。

    ◆アサインの回数

    ――アサインの回数は?

    上述した通り、監査法人では、いわゆるシフトのようなものをアサインと呼んでいますが、上記アンケートの回答で最も多かったのは「週2〜3回」でした。

    今回アンケートに協力してくれた学生非常勤大学生のうち、週2〜3回と答える人が全体の67%と多くを占めていました。

    学生非常勤は正社員と同様に、監査法人の始業時間に出勤し、就業時間に退勤することになるため、1日7時間程度の勤務時間です。
    週2〜3回のアサイン回数では、大体14〜21時間勤務となります。

    大学生のアルバイト時間が平均で週9.3時間(文部科学省調べ)であることと比較すると、学生非常勤大学生は勤勉な学生が多いと考えられます。

      

    ◆学生非常勤を通じて得たもの

    ――学生非常勤を通じて何を得ることができましたか? 

    上記アンケートでの回答で最も多かったのは「質問力」でした。

    学生非常勤の皆さんは、初めての監査で分からないことが多く、質問する機会が多かったようです。

    リモート環境であることや上司が多忙のため申し訳なさを感じてしまう、などの理由から質問する際に工夫が要され、質問力が鍛えられたようです。

     (以下、自由回答から抜粋)

    学生非常勤を通じて得たことは、質問力です。在宅ワークで何度も上司の方に質問をするのは申し訳ないですし、時間がかかるため、とりあえず最初は自分で色々調べることにしています。いくら調べても分からないこともあるので、その時はいくつか分からないことをまとめて質問するようにしました。”

    なお、その他、「監査の経験」や「タスク管理」を得ることができたと回答してくれた方も多くいました。

    (以下、自由回答から抜粋)

    “学生非常勤として働くことで、一足先に監査の一連の流れに触れることができたことだと思います。”
    “繁忙期で仕事が多く期日も短いため、エクセルを用いてタスクを包括的に管理するなど、タスク管理をできるようになりました。”

     

    ◆学生非常勤のメリット

    ――学生非常勤として働いて良かったと思うことはありますか?

    上記アンケートでの回答で最も多かったのは、学生非常勤を通じて得たものでも挙げられていた「監査法人で働く具体的なイメージを持てたこと」でした。

    常勤として働く前に監査や監査チームの雰囲気を感じられることは学生非常勤として働くことの大きな魅力ですね。

    法人によっては、常勤切り替えの際に正式なアサイン希望を出すことができるため、常勤として働くときのミスマッチが生じにくいということもあるようです。

     (以下、自由回答から抜粋)

    “まずは監査法人で働くという具体的なイメージを持てるという点が良かったと思います。また、チームの方と面識を持つことができるという点で、常勤として入る際に非常にスムーズにジョインできるのではないかと感じました。”
    “単発のアサインもしてもらえるので、色々なチームに入ることができ、各チームの雰囲気や忙しさを正社員になる前に知ることができます。なので、正式なチームのアサイン希望を出す際に自分に合うチームを選ぶことができるのかなと思います。”

     

    なお、その他、「社会人としての経験やマナーを先取りできたこと」や「コロナ禍で時間を有効活用できたこと」を回答している方も多くいました。

    (以下、自由回答から抜粋)

    社会人としての経験とマナーを大学生のうちに先取りすることができたので、来年心配なく楽しい社会人の生活を送れると思います。”
    コロナ禍であまり遊ぶことが難しい状況ですが、自己研鑽のために何をすれば良いかが明確になり充実した日々を送れています。”

     

    ◆学生非常勤のデメリット

    ――学生非常勤として働いて良くなかったと思うことはありますか?

     上記アンケートの回答で最も多かったのは「学生生活の一部を失ってしまうこと」でした。

    学生非常勤をしている方々は、在学中に公認会計士試験論文式試験に合格するために、入学後すぐに勉強を始めることが多いと思います。

    そのため、学生非常勤をすることで、大学生活の大半を会計士としての勉強や実務に捧げることになります。

    キャリアを早く積みたい、友人と遊びたい、海外に留学したい、など価値観はさまざまですが、「人生の夏休み」とも揶揄される大学生活をどのように過ごすかは、よく考える必要がありますね。

    (以下、自由回答から抜粋)

    “強いて言うならば、平日の時間を自由に使うことができるという学生ならではのメリットが少なくなってしまう点です。”
    “働きながらも、大学の生活を充実したいと思っていましたが、繁忙期で大学生活を充実できなかった時期がありました。”

     

    なお、その他、「流動的にアサイン日程を動かせないこと」や「自己肯定感が低下してしまうこと」と回答している方もいました。

    (以下、自由回答から抜粋)

    “シフトの申請が3ヶ月単位(※法人によって異なります)ということもあり、友達と遊ぶ予定が決まっても流動的に非常勤の日程を動かせないということがありました。”
    “繁忙期では先輩も忙しいためなかなか質問する機会がありません。そのため、タスクが期日までに終わらないことにより自己肯定感が低下してしまうことがありました。”

     

     

    ◆会計士受験生の方へのメッセージ

    ――会計士受験生の方へ学生非常勤を勧めますか?

    上記アンケートの回答で最も多かったのは「はい」でした。

    学生のうちから社会人に近い経験をすることができるため、時間的余裕のあるうちに将来のキャリアを考え始めることができるようです。

    学生非常勤は働き方の自由度が高いため、勉強や遊びといった学生生活との比重を自分でコントロールできることや、他のアルバイトと比べて時給が高いため、社会人並みにお金を得ることができることから勧める人が多いようでした。

    卒業旅行や飲み会など、遊ぶためには当然お金が必要になると思うので、貴重な1年をより充実させるためにも学生非常勤を選択すると良いという意見もありました。

    (以下、自由回答から抜粋)

    “学生のうちから社会人に近い経験をすることで、視野が広がり、早い段階から今後のキャリアプランをイメージしやすくなるのではないかと思います。”
    何より時給が高いのでお金が貯まります。やりたいこと、欲しいもの、旅行等々なんでもできるようになると思います。融通も利くので遊びも仕事も両立は可能です。1年間を充実させるためにもぜひ非常勤を検討してみて下さい。”

    なお、その他、「どちらとも言えない」「いいえ」と回答している方もいました。

    (以下、自由回答から抜粋)

    “私は学生非常勤として働くことをお勧めしません。新卒で監査法人に入らないなどの例外を除き、監査法人に入ると監査をやることになるため学生時代には監査以外の経験をするべきだと思います。”
    “残りの貴重な学生生活をどのように過ごすかというのは、人生の中でもとても大きな決断だと思います。とにかく自分にとって悔いの残らないような選択をできるようにしてください!”

    いかがでしたか。
    学生非常勤として得られる経験、学生非常勤のメリット・デメリット、そして学生非常勤を勧めるかどうか、リアルな声をご紹介しました。
    在学中合格で残りの1年をどのように過ごすか迷われている方は、決して少なくないと思いますので、どのような1年にしたいかをしっかり自分に問いかけて、ご自身に合った選択をしてください。
    後悔の残らない選択をされることを願っております。


    こちらの記事に関連して、【学生非常勤企画】学生非常勤として働く大学生にインタビュー ! にて、学生非常勤勤務のリアルを更に掘り下げています。ぜひ、ご覧ください!

    この記事を書いた人

    「人と繋がり、可能性を広げる場」CPASSを運営するスタッフ達です。CPASSメンバーは、20~40代まで幅広い年齢層の公認会計士達を中心に、キャリア支援のプロフェッショナルなど様々なバックグランドを持つメンバー達で構成されています。「絶対に会計人達の役に立つ情報発信する」、「CPASSにしか出せない価値を提供する」をミッションとして集まった熱いメンバー達です。CPASS独自の視点からの見解を是非、楽しんでください。

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