人と繋がり、可能性を広げる場

公開日:2023/04/26

修了考査対策記事第1弾 「修了考査の概要編」

CPASS運営スタッフの記事

    イントロダクション

    こんにちは!公認会計士・税理士の恩田です。
    公認会計士登録をするためには、公認会計士論文式試験に合格した後、①業務補助要件②実務補習要件③修了考査合格の3つの要件を達成する必要があります。中でも最後の登竜門として修了考査に合格する必要があります。
    私自身の体験談をふまえて修了考査の概要と勉強方法についてまとめました。今回は第1弾として修了考査の概要について記載しています。第2弾として科目ごとの勉強法についてもまとめますのでぜひそちらも併せてご覧ください(第2弾の記事はこちら)。

    01. 修了考査の日程・概要

    修了考査は毎年12月の中旬に2日間にわたって実施されます。
    令和5年度のスケジュールも先日発表され、令和5年12月16(土)・12月17日(日)に実施されることになりました。(詳細はこちらをご確認ください

    【参考】昨年度の修了考査の日程
    令和4年(2022 年)12 月 10 日(土)
    ○会計に関する理論及び実務 10:00~13:00
    ○監査に関する理論及び実務 14:30~17:30

    令和4年(2022 年)12 月 11 日(日)
    ○税に関する理論及び実務    10:00~13:00
    ○経営に関する理論及び実務  14:30~16:30
    (コンピュータに関する理論を含む。)
    ○公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理 17:30~18:30

    上記日程をご覧いただけると分かる通り、修了考査は会計・監査・税務・経営・公認会計士法及び職業倫理といった幅広い科目を2日間、合計12時間にわたって行われます。通常、監査法人などで働きながら勉強を進める必要があるため、余裕を持った早いタイミングからの勉強計画が必要になります。

    また、合格率の推移は直近6年間で下記の変動となっています。平成30年度から令和2年度にかけて50%を切るような大幅な減少傾向が続いておりましたが、令和3年度は59.3%、令和4年度は63.8%に上昇し、直近2年間を見ると平成30年度以前の水準に回復しています。しかしまた低迷期の水準まで戻る可能性もあるので油断はしないでしっかりとした対策を取っておくことをお勧めします。

    02. 受験までのスケジュール

    次に、実際どのように試験当日に向けて勉強を進めていくのかについて私の実体験を交えながら解説していきます。

    STEP1 各種予備校の修了考査対策講座を申し込む

    先述の通り、昨年度の修了考査において対受験願書提出者数の合格率は59.3%でした。仕事をこなしながら効率的な学習を進めることが求められる修了考査において、予備校の講座を利用することをお勧めします。実際に私の周りの同期も全員予備校の講座に申し込みを行っていました。予備校にもよりますが、早いところですと12月頃から講座申し込みを開始しているため、後々大変な思いをしないようなるべく早いタイミングで申し込むことをお勧めします。費用としては13万円~17万円程度ですが、監査法人勤務の方は法人からの費用負担制度等が用意されている場合もあるためそれらもしっかりと確認し活用していきましょう。また、法人によっては補助の支給回数や支給金額に制限を設けているところもありますので、なるべく1発で合格することを目指していきたいですね。

    STEP2 修了考査までのスケジュールを立てる

    監査法人によっては試験前の2週間~1か月間、試験休みを取得することができますが、幅が広くボリュームのある試験範囲をこなすために早い段階から勉強スケジュールを立て、仕事をこなしながら学習を進めていく必要があります。私の周りで早い方は受験する年の1月頃から、多くの方は繁忙期が落ち着いた6月頃から勉強を開始し8月の夏休みを使って勉強を進めていました。論文式試験までの成績や自分の性格、担当クライアントの繁忙期等も踏まえて早いタイミングから自分に合った勉強計画を立てて取り組むことが必要です。また、各チームの主査やコアメンバーには自分が修了考査受験生であるということは早めに伝えておくことをお勧めします。監査はチームでの行動が大切になってくるで、主査の方に事前にスケジュール感を伝えておくことで現場になるべく迷惑をかけずに勉強を進めていくことが大切です。

    03. 具体的な勉強方法の概要

    次に修了考査の具体的な勉強方法の概要について説明します。科目ごとの詳細は第2弾の記事で解説していますのでそちらも併せてご確認ください。

    予備校の修了考査対策講座は大きく分けて講義と答案練習の2つから成り立っています。講義は修了考査の各科目について講師がテキストベースで解説を行います。科目数も多いため講義回数はかなりのボリュームになります。講義もしっかり消化したいという方は講座の申し込みが始まった12月頃から受講を始めることをお勧めします。答案練習は各科目に対して本番の試験を想定した模擬試験になります。仕事でなかなか時間をとれない多くの方はこの答案練習をベースにし、わからない部分はテキストに戻る形といった形で勉強を進めます。しかし、税務における相続税や国際課税の分野、経営におけるITの分野、会計学におけるIFRSの分野など論文式試験では重点的に勉強していなかった分野については多くの方が講義を受講されるようです。

    修了考査の受験案内には「満点の40%に満たない科目が1科目でもある者は、不合格となることがあります」と足切りについての記載があります。そのため、不得意な科目があっても40%のラインは超えるようにしていかなければいけません。私の周りでも不得意な科目が40%のラインを超えず不合格になってしまった方が複数いましたので、得意な科目の得点を伸ばすのはもちろんですが、苦手な科目も手を抜かないでしっかり取り組んでいきましょう。中でも職業倫理は試験時間が1時間で満点が100点のため、ヤマを張って苦手な分野が出題されてしまうと足切りになってしまうリスクが高いです。出題範囲については幅広く対策を取っておくことをお勧めします。

    04. 修了考査当日の心構え

    修了考査当日は2日間で計12時間の記述式試験といった体力的にも精神的にもハードなスケジュールで進めていくことになります。だからこそ、体調管理が非常に大切になります。修了考査は限られた勉強時間の中で膨大な試験範囲をこなさなければならないため、試験前になるとやり残したことがたくさん見つかり気になってしまいます。できる範囲でやり残したことをなくしていくのはとても大切ですが、本番に体調を崩してしまっては元も子もありません。1週間程度前から睡眠などはしっかり取り、体調管理をしておきましょう。本番はかなりの体力を消耗することになるので前日もしっかりと睡眠をとっておくことが大切です。

    また、試験当日は最後まで解きぬく心意気と問題の取捨選択能力が非常に大切です。勉強した分野も出題されますが、実務試験ということもあり初見の問題も数多く出題されます。そんな時にあきらめず、今ある知識で何とか粘って記述していくことが大切です。修了考査は実務試験だからこそ自分の考えをしっかり答案用紙に反映することで評価してもらえるケースも多々あります。部分点でもしっかり狙って取りに行きましょう。修了考査は試験時間が長くても問題量がかなり多く、あっという間に終わってしまいます。だからこそ、最初にしっかり時間配分と問題の選択を行って解いていく取捨選択能力が必要となってきます。どれだけ考えても分からないような問題も出題されるので、そこに時間をかけすぎて取れる問題を取りこぼさないように注意しましょう。また符号や記号選択等のケアレスミスも大敵です。予備校の模擬試験等を通して戦略を立てておき、本番前にしっかりと確認しましょう。

    05. 最後に

    多くの方が補習所や実務要件を満たしたうえで修了考査を受験するため、修了考査に合格したタイミングで公認会計士登録ができるようになります。公認会計士に登録すると、社会的な信用力を得られることにより、さらにキャリアの幅が広がります。ぜひ公認会計士の最後の登竜門である修了考査を突破され、皆様が思い描く素晴らしいキャリアを歩んでいっていただければ幸いです。

    この記事を書いた人

    「人と繋がり、可能性を広げる場」CPASSを運営するスタッフ達です。CPASSメンバーは、20~40代まで幅広い年齢層の公認会計士達を中心に、キャリア支援のプロフェッショナルなど様々なバックグランドを持つメンバー達で構成されています。「絶対に会計人達の役に立つ情報発信する」、「CPASSにしか出せない価値を提供する」をミッションとして集まった熱いメンバー達です。CPASS独自の視点からの見解を是非、楽しんでください。

    新着記事

    LBOとは

    2023/01/10

    LBOとは
    モヤカチ

    2021/07/05

    モヤカチ
    問題解決

    2021/07/05

    問題解決
    PEとVCの違い

    2021/05/10

    PEとVCの違い

    新着記事をもっと見る