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公開日:2025/08/24

  • イベントレポート

【カンファレンス2025イベントレポート】様々なIPO関連企業の役割と活用時期

ファシリテーター

丸尾 浩一(株式会社Major7th 代表取締役)

 

スピーカー

池川忍(大和証券株式会社公開引受第一部/部長)

池村隆司(三井住友信託銀行理事イノベーション企業推進部長)

倉本敬治(株式会社SBI証券執行役員常務 公開引受部長)

堀江秀治(宝印刷株式会社企業成長支援部 執行役員)

 

はじめに──最終セッションを彩る豪華な顔ぶれ

「こんにちは、みなさん。今日は最終セッションにご参加いただき、ありがとうございます。テーマは“様々なIPO関連企業の役割と活用時期”。教科書的な話ではなく、現場の“本音”やリアルなエピソードをたっぷりお届けします」ファシリテーター・丸尾氏の軽やかな一言で、会場は一気に和やかなムードに。

登壇したのは、証券、信託、印刷の各業界から、IPOの第一線で活躍するトッププロフェッショナルたち。彼らはそれぞれ異なる角度から起業家や企業の成長を支え、市場の未来を形づくってきました。

このセッションでは、そんなプロたちのリアルな声を通じて、IPO支援の“今”と“これから”が浮き彫りになります。

 

登壇者の横顔──多様な経験が交差するステージ

まずは、登壇者一人ひとりの自己紹介からスタート。

池川氏は、「未上場企業の経営体制やバリュエーション、開示、社外説明力といった領域を中心に、企業の個性とタイミングに合った支援を行っています」と語ります。14年にわたる経験の中で培ったのは、型にはまらない“オーダーメイド支援”の哲学です。

続いて池村氏は、「証券代行、資産運用、個人資産の管理。この三本柱を軸に、上場準備企業や起業家を多面的に支援しています」と紹介。単なる金融機関にとどまらない、信託銀行ならではの“厚みあるサポート”が印象的です。

倉本氏は、地銀・大手・ネット証券すべてを経験。「リテール部門でのIPO委託販売代金は、なんと業界シェア6割近く。特に若年層からの関心が高まっていることを実感しています」と語り、“今のマーケット”に向き合うリアルな視点を披露します。

そして堀江氏は、業界の“生き字引”的存在。「うちは印刷会社と見られがちですが、実はディスクロージャーの専門家集団。IPO準備から上場後の開示、人材支援まで、伴走型で支援しています」裏方ながら、“縁の下の力持ち”としての誇りがにじみ出ます。

 

それぞれが描く、IPOのリアル

セッションが進むにつれ、各登壇者の“IPOとの向き合い方”がより鮮明に。

池川氏は、「IPOは、関わる全員が夢に向かって本気になる尊い仕事」と力強く語ります。
「たとえばタイミーさんを支援したときは、“夢しかなかった”ところからのスタートでした。でもそれが実現していく、その過程すべてが自分たちの糧になるんです」と、証券会社の醍醐味をにじませました。

 

池村氏は、株主名簿管理からCFOの資産支援までを担う信託銀行の役割を紹介。

「昔は紙の株券を手作業で管理していましたが、いまはすべてがデータ。変化を楽しみながら、企業の“知のプラットフォーム”として貢献したい」

起業家の人生に寄り添う姿勢が、言葉の端々に表れていました。

 

堀江氏は、「IPO準備は中学受験に似ています。でもそのための“参考書”や“家庭教師”は売ってません」と笑いを誘いながら、「本気で支援できる会社は国内でも数えるほど。特に“決算難民”になったとき、当社の人材ネットワークが頼りになるんです」と、まさに“縁の下のプロ”としての矜持を見せます。

 

キャリア・人材市場の変化にも注目

セッションは人材の話題へ。

池村氏は、「今や銀行もキャリア採用が当たり前。新卒一括の時代は終わり、多様な背景を持つ人材が組織を強くしている」と指摘。

倉本氏も、「IPO部門に若手や学生からの志望が増えている。CFOや起業家を目指す人にとって、IPO業務は最高の“修業の場”。一生モノの知識とネットワークが得られます」とエールを送りました。

堀江氏は、「うちは待遇では大手に敵わないかもしれませんが(笑)、ゼロから一緒に準備して、上場の瞬間を迎える…それは何にも代えがたい感動です」と、経験者ならではの想いを語り、共感のうなずきが広がります。

 

スモールIPO問題とスイングバイIPO──転機を迎える市場

議論は“スモールIPO”や“スイングバイIPO”といった、いま注目のトピックへ。

池川氏は、「規模の大小より大事なのは“上場後の成長力”」とし、「実際、IPOはその時点で収益にならない。企業の成長とともに金融支援を継続することで、ようやくリターンが見えてくる」と証券会社の現実を明かします。

池村氏は、「グロース市場のIPO企業のうち、5年以内に追加資金調達できたのはわずか5%。情報発信力が足りていない」とし、信託ならではの支援策を紹介。

倉本氏も、「“上場=達成感”で満足するのではなく、そこをスタートにできるかどうかが分かれ目」と語り、堀江氏も「地方のスモールIPOから、大きな社会現象が生まれた例もある」と、規模を問わない“成長の可能性”に言及しました。

 

まとめ──リアルと情熱にあふれた“勇気のセッション”

このセッションを通じて、もっとも強く伝わってきたのは、登壇者たちの“人”としての熱量と、“現場”のリアルさです。

IPOは、書類や手続きだけで完結するものではありません。そこには、起業家や経営者の想いがあり、支える人たちの覚悟と挑戦がありました。

「志があれば、どんなキャリアからでもこの世界に飛び込める」
「IPOは社会へのスタートであり、成長の始まり」

そんな登壇者たちの言葉に、会場の多くが背中を押されたことでしょう。

このセッションは、日本のIPO市場を支える“見えないエンジン”たちの物語。
冷静さと情熱をあわせ持ち、静かに未来を動かしているプロたちの姿が、そこにありました。

 

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