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公開日:2025/08/24

  • イベントレポート

【カンファレンス2025イベントレポート】上場後に活躍するCFOの実態に迫る

ファシリテーター

丸尾 浩一(株式会社Major7th 代表取締役)

 

スピーカー

清水 敬太(株式会社LIFE CREATE 取締役副社長 CFO)

寺田 修輔(株式会社Dual Bridge Capital 代表パートナー)

安田 昌史(GMOインターネットグループ株式会社 取締役グループ副社長執行役員・CFO(公認会計士)グループ代表補佐)

栁澤 孝旨(株式会社ZOZO 取締役副社長兼CFO)

 

熱気と笑顔で始まる“上場後CFO”のリアル

セッションの幕開けは、ファシリテーター・丸尾氏の一言から。
「大企業の上場後に本気で伴走するCFOたちの話を、こんなに間近で聞ける場って、なかなかありませんよ!」
満面の笑みとともに放たれたその言葉に、会場もじわりと熱を帯びます。

登壇者の自己紹介がはじまると、いきなり重みのあるキャリアが続々と飛び出します。
まず登場したのは、スシローやドン・キホーテなどの巨大企業で上場後の成長を支えてきた清水氏。 「IPOやその後の成長を現場で経験してきました。皆さんにとって面白い話ができれば嬉しいです」控えめながらも、静かな熱量を感じさせるコメントに、自然と引き込まれていきます。

続いて寺田氏は、銀行→CFO→ファンド代表という異色のキャリアを軽快に紹介。
「いまは2000億円を運用しながら、現場でもプレーヤーとして動いています」 “百戦錬磨のファンド代表”らしい余裕のある語りに、空気がピリッと引き締まります。

安田氏は、25年一筋で歩んできたCFOキャリアを振り返りながら、 「“走るCFO”と呼ばれてます(笑)。少しでも夢やリアルを届けられたら」とニコやかに語り、会場を和ませます。

そして栁澤氏は、「銀行、コンサル、証券を経て、2006年にZOZOへ。当時70人だった会社が、今や1800人・時価総額6000億円に」とさらりと振り返ります。
社長交代や株価上昇といった“山も谷もある”リアルな現場経験に、会場も一気に引き込まれました。

まさに、濃厚すぎるキャリアが一堂に会した豪華セッション。期待は否応なく高まります。

 

IPOはゴールじゃない。真の勝負は“その後”にある

「IPOは通過点。本当の腕の見せどころは、上場後の時価総額をどう伸ばすかにある」
丸尾氏の問いかけに、清水氏はにっこりとうなずきながらこう語ります。

「スシローは1000億で上場し、4年で6000億へ。ドンキも1兆3400億から2兆円に。
投資家目線で未来の成長を描き、それを裏切らない形で実績にすることが大切です」

――毎四半期、誠実に約束を守る。それを積み重ねていくうちに、自然と「あのCFOはやる」と評価されるようになる。
そんな“愚直さの力”を清水氏は静かに伝えます。

寺田氏は、「ファンド主導とオーナー主導では、CFOの振る舞いも変わるのでは?」と問いかけます。清水氏は即答で、「ファンド主導なら数字に“エッジ”を効かせてプレゼン。でも結局“実現”しなきゃ意味がない。オーナー主導ならビジョン重視だけど、収益との接続は薄くなりがち。そこを“翻訳”するのがCFOの役割」と切り返します。

ビジョンと現実、数字と物語。その間を軽やかに行き来する“翻訳と実行のプロ”こそ、いま求められるCFOの姿なのです。

 

上場グループ経営のリアル――親子上場と“フェアネス”の葛藤

議論は“グループ経営”や“親子上場”のリアルへと深まっていきます。

安田氏は「GMOが10社も上場している理由」について、「資本流出という“コスト”を超えるだけの成長があると判断したから」と明快に説明。「経営者の“血と肉”である株式をどう使うか」が、まさに経営そのものだと語ります。

「SOの公平性はどう担保しているのか?」という踏み込みに対しては、「一定のルールのもと、成長のための資金活用なら積極的にやります」とリアルな現場のスタンスを共有。

栁澤氏は、自社プラットフォームを活かした“スイングバイIPO”の事例を紹介。「資金は出すけど、主導権は相手に委ねた。その結果、3年でIPOにこぎつけた」とし、ブランドと成長の両立を見事に果たした成功ストーリーを披露しました。

 

株主還元と自己株買い――“未来に投資”と“還元”のバランス感覚

大企業のCFOにとって避けられないテーマ――それが「株主還元」です。

栁澤氏は「5年で総還元80%(配当70%、自己株買い10%)」を実行した背景として、「大規模投資を一通り終えた今だからこそ、キャッシュを株主に返す時期。必要があればまたファイナンスを」と語ります。

“成長投資⇄還元”を柔軟に切り替える。その舵取りこそ、CFOの見せ場だと会場に伝わってきます。

安田氏も「状況を見ながら、比重を臨機応変に変えています」と、やわらかい語り口でコメント。「CFOって、感覚と戦略のバランスが大事なんですよ」とでも言うような、納得の表情でした。

 

M&Aの“攻め方”、そしてCFOという生き方

話は自然と、M&Aや資本政策へ。

寺田氏は「アクティビストの動きや、同意なき買収が増えている今、ちょっとの油断が命取り」と警鐘を鳴らします。「経営判断の質とスピードが、これまで以上に問われる時代。自己株買いやファイナンスも“攻めの武器”としてフル活用すべき」とも。

丸尾氏が「現金を貯め込みすぎず、ちゃんと動かして企業価値を上げるべき」と加えると、寺田氏は大きくうなずき、「株主が望んでいるのは“動く経営”です。躊躇せず俊敏に動けるCFOが今の時代に求められています」と熱を込めて語りました。

 

“CFOの実態”は「変化と成長を、全力で楽しむこと」

後半戦、テーマは「CFOの本質」へ。

「CFOは経営そのもの。予定通りなんていかない。それでも“変化”をどう楽しめるかが鍵」
そう語るのは安田氏。CFO歴22年の経験を、しみじみとした口調で振り返ります。

「心と体を元気に保つこと、それが長くCFOをやっていくコツ」との言葉に、思わずうなずく参加者もちらほら。

寺田氏は、「IPOは通過点。その後こそが勝負。しかも人材は足りていない。だからこそ、今から挑戦する価値がある」と、未来を見据えたメッセージを投げかけました。

 

経営を“動かす”CFOの生き様――主役は、あなたかもしれない

セッション終盤、清水氏は「たった一手のタイミングで、大きく経営の結果が変わる時代。だからこそ戦略眼が大事」と語り、寺田氏は「“上場ゴール”なんて時代は終わった。CFOとして試練を乗り越える、その先に面白さがある」と語気を強めます。

「上場子会社のCFOは夢もある。でも現実もある。だからこそ“成長を最大化する仕組み”を僕たちは作り続ける」安田氏の言葉は、その場にいた誰もに「経営者視点」を突きつけたようでした。

 

“CFO新時代”の生き方に学ぶ、ワクワクと勇気

最後に会場を包んだのは、「CFOって、こんなにおもしろい仕事なんだ!」という驚きと、 「変化を恐れず、経営のど真ん中で結果を出す。その気概が未来をつくる」という熱意でした。

数字とビジョンをつなぎ、株主に応え、リスクをとり、判断し続ける――その積み重ねが、いつしか“未来”を形づくっていく。

“管理部門”という言葉では収まらない。 新時代のCFO像が、ここに確かにありました。

 

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