公開日:2021/05/07
ベンチャー業界の様々な舞台で大活躍されている最強会計士、石倉壱彦のキャリア!
経営者、投資家として様々な舞台で大活躍されている石倉壱彦さんは、今までどのようにしてキャリアを歩まれてきたのでしょうか。転職の契機から当時の思いまでを赤裸々に話していただきました!
石倉壱彦さんのプロフィール
石倉 壱彦
株式会社WARC 共同創業者 取締役
株式会社アカツキ Investment&Co-Creation担当 執行役員「Heart Driven Fund」責任者
公認会計士、税理士
2005年に公認会計士試験に合格後、あずさ監査法人に入社、7年間グローバル企業の監査、アドバイザリーに従事。
2012年に退職、サイバーエージェントを経て2013年よりアカツキ経営管理部長、2014年に監査役として、東証マザーズ、東証一部への上場に貢献。
2015年に3ミニッツ取締役CFOに就任し、事業の立ち上げに従事し、グリーとのM&Aを成功させる。
2017年にWARC設立、取締役に就任。2018年にアカツキ監査役を退任し、半年の空白期間を経て、アカツキHeart Driven Fund責任者として、Investment&Co-Creation担当執行役員に就任。
石倉壱彦さんの略歴
2005年:あずさ監査法人において、国際部にて監査業務やアドバイザリー業務等に従事。
2012年:独立。サイバーエージェントを中心に複数のベンチャー企業の支援に従事。
2013年:アカツキ経営管理部長就任し、大型ファイナンスやIPO業務に従事。
2014年:アカツキ監査役として同社の東証マザーズや東証1部への上場に貢献。
2015年:3ミニッツ CFOに就任、事業の立上げや組織設計に従事し、グリーとのM&Aを成功させる。
2017年:株式会社WARCを設立、取締役に就任。
2018年:アカツキ監査役を退任し、執行役員に就任。投資チームであるHeart Driven Fundのパートナーに就任。
01. キャリアの変遷、展望
ーー監査法人時代の業務はどのようなものでしたか?
2005年にあずさ監査法人に入社してから、かれこれ7年間在籍していました。監査法人時代は「グローバルに仕事をしたい!」という思いから国際部に所属していました。当時はJ-SOX開始時期で、その導入支援や、大手グローバル企業の監査、リファーラル、IFRSアドバイザリーなどをしていました。
正直、とても楽しい7年間でした。入った当時はすぐに辞めようと思っていましたが、仕事自体も充実し、素晴らしい仕事仲間に囲まれ、環境に恵まれていたので、結果的に長く居ることになりましたね。ネガティブな理由で辞めるというよりは、次にチャレンジしたいという思いから転職を決意しました。
ーー監査法人からの転職の契機について教えてください。
元々国際部で監査していたこともあり、グローバルに対する思いが強かったので、外資系コンサルや投資銀行に就職しようと思っていました。
しかし、想定外にも修了考査に2回落ちてしまったんです。正直、自分でもあり得ないなと思いました。(笑) 当時、往査先で固唾を呑んで合格発表を見守られていたのを今でも覚えています。その中で自分のキャリアを見つめ直すきっかけができました。
シニア、マネジャーと順当に昇格しようとしていく中で、自分がどのようにバリューを発揮できるか、自分が「楽しい」と思える仕事ができるかどうか、を考えたときに、周りの人達と同じ戦い方をしてはダメだなと思いました。
英語や会計など、何かしら勉強しようと思いましたが、先輩後輩が優秀な中で、違う土俵で自分なりの戦い方をすべきだと考え、サイバーエージェントへの転職を決意しました。
ーー事業会社(サイバーエージェント)ではどのように働かれていたのでしょうか。
同じ戦い方をしないためにも、競合が少ない急成長しているマーケットに入って、ガッツリ勝負をしたいなと思いました。当時は新規で出てきたテック系のマーケットはゼロスタートが多かったので、その先駆けであるサイバーエージェントに就職する決意をしました。
5月末に監査法人を辞めたのですが、6月1日の入社初日に、「最速で海外子会社を3社作ってくれ」と突然ミッションを与えられました。衝撃でしたね。(笑)
当時のサイバーエージェントには40~50社の子会社があったのですが、その中で、急成長しているソーシャルゲーム事業の子会社7社の経営管理を3人で回すことになりました。経営管理は経理、財務、から税務、事業計画の作成や予実管理、資金繰り管理まで全部を担当していたので本当に大変でしたね。監査法人での経験だけでは、具体的に何をすればいいのか全くわからなかったので、一から調べました。
今の時代にはそぐわないですけど、その2年間は、24時間365日がむしゃらにやる気持ちでいました。振り返ってみれば、ここでの経験は本当に大きかったですね。7社同時並行で経営管理を進めていたので、急成長している会社から赤字で潰れそうな会社まで、様々な形の会社を目の当たりにできたのは非常に大きな経験でした。
ーーそこからベンチャー企業(アカツキ)に転職し上場まで果たしていますが、どのような契機で転職されたのですか?
サイバーエージェントは子会社を沢山作って、若い経営者が会社を経営していたのですが、仕事を進めていく中で経営者とたくさん話す機会が増えてきて、経営に身近に触れるようになりました。今までは会社の意思決定をサポートする立場でしたが、そこで初めて自分で意思決定をする業務をやってみたいと思うようになりました。
当時2013年は、スマートフォンを軸としたサービスが次々と生まれ、ベンチャー界隈が盛り上がり、VC(ベンチャーキャピタル)が積極的に投資する流れが出てきたので、ベンチャー企業でチャレンジしようと思いました。
アカツキに入ったのは、創業者2人が本当に魅力的で、会社のビジョンや目指すべき方向性を聞いて、自分もそれに挑戦してみたいと思ったからです。
また、ソーシャルゲームの領域が一気に伸びていく転換期だったので、そのようなタイミングで渦中にいられると成長できるなと思っていました。
当時のアカツキは売上がほとんど立っておらず、従業員が20人もいない状況でした。そこからの3年間も本当に大変でした。アカツキは3月決算なのですが、12月の入社後すぐに、その期の帳簿を期首から引っ張り出して、経理を全部やり直すところから始めました。
当初は、キャッシュがかなりカツカツだったので、銀行融資から地道に始めていきました。その後、ゲームタイトルが1つヒットしたころからようやく雰囲気が変わり、15億円の資金調達に成功しました。投資家への成長ストーリー説明やファイナンスにおける交渉力を学べたことは良い経験となりました。
アカツキが上場するまでで感じたのが、サイバーエージェントなどの大きな事業会社と違い、ベンチャーにはその会社独特のカルチャーがあり、経営方針も違うということと、 初めて経営に携わるというのは本当に大変だということです。テクニカルな点で、問題は無かったですが、経営陣と同じ目線で議論することやそれに基づいて意思決定する一連の仕事が本当に難しかったです。
ーーアカツキから創業間もない3ミニッツにジョインしていますが、どのような経緯があったのでしょうか。
友達から「すごく面白い魅力的な人」と紹介されたのがきっかけでした。ちょうど3ミニッツを創業したタイミングでお会いし、最初の1年間は社外取締役を務めていましたが、その後は取締役CFOとしてジョインし、経営管理やファイナンスに加え、コーポレートプランニングから採用まで何でもやりました。時には、代理店に営業をかけ広告事業の仕事をしたり、メディア事業の編集長ロールをやったり、がむしゃらに何でもやっていました。(笑)
急成長する一方で、先行投資をするビジネスモデルだったので、キャッシュが常にギリギリの状況で、資金繰りを把握するのが日課になっていました。正直辛かったですね。
3ミニッツでは計4年間働きました。監査法人の退職から6年間くらい休みなく働き切ったので、半年くらいは休もうと思い、旅に出ることにしました。
ーー半年の休息期間では何をされていたのでしょうか?
次は何をしようかなと考えているとき、最初は成長マーケットで起業しようと思っていました。当時はブロックチェーンやVR系が流行っていたので、その事業をしようと思っていたり、様々な会社からCFOポジションのオファーもいただいていたりと、かなり悩みましたね。
本当に、悩みすぎて人生で初めて血尿が出たんですよね。仕事してないのに。(笑)
「自分が何をやりたいのか」ということを振り返った時に、一生かけてやるものは何なのかと熟考していたのですが、そのタイミングでは、「事業としてやりたいことは無いんだ」という結論になりました。そこからは「やりたいものが見つからない」自分を、少し許せるようになりました。
一方で、今までの経験を振り返っていく中で、圧倒的な突き抜けた発想をした経営者と新しい事業を作っていくことがとても楽しいことなんだなと改めて再確認できました。経営者の圧倒的な発想を形にして、事業や組織を大きくしていくことは自分の得意分野でしたし、自分が成長できると感じたので、経営者を支えることを仕事にしようと思いました。そこから現在の仕事である、Heart Driven Fundでの投資や、WARCでのベンチャー支援をするようになりました。
02. 仕事する上で大事にしていること(仕事論)
ーー仕事する上で大事にしていることを3つ教えてください。
1 結果が出るまでやり切る
公認会計士、プロフェッショナルとしても大事なことだと思いますが、結果が出るまでやり切ることを意識しています。石倉個人として仕事をもらうキャリアは、会社の看板がないので、個人の「信頼」が命になります。うまくいかないときもありますが、結果を出すためには全力を尽くすことを常に意識していますね。
「信頼」を勝ち取る為に「やり抜くこと」が本当に大事だと思います。
2 チャンスがあったら何でも引き受ける。
自分自身の経験からも言えることですが、チャンスがあったら何でも引き受けたほうがいいと思います。
アカツキで仕事を始めたのも、多くの経営者が集まるイベントで偶然出会い、「オフィスに来てください」と言われて、遊びに行ったのがきっかけでした。会社名すら知らなかったですが、オフィスも工夫されていて、面白い組織を作ろうとしている人だと感じて、一緒に働くことにしました。
3ミニッツの時も、アカツキでかなり忙しかったときに、「面白い人がいる」と紹介され、30分だけお茶したことがきっかけで、仕事が始まりました。
経験上、チャンスに飛び込むことで次が広がると思っています。失敗したら失敗したでOKというオープンマインドで臨んでいますね。当然、失敗したらどうしよう、と思うことはあります。未知なる領域にチャレンジすることはとても不安になりますが、それをどう打破していったかが今後に活きてくると思いますね。
3 誰と働くかを大事にする。
自分が「仕事をしたい」と思える人と働くことです。若い頃は大きいネームバリューがある会社であれば、大きくて楽しい仕事ができると思っていました。自分はキャリアを歩む毎に段々と小さい組織に移っていますが、段々とより良い経験ができていると感じています。
組織のために働くことももちろん大事ですけど、「この人のために働きたい」とか、「自分が関わっている仲間を絶対に幸せにする」という想いが、仕事をする上での原動力になると思います。特に最近は、よりそのように思うようになりましたね。
03. 会計士という資格を取って良かったこと
ーー今までキャリアを歩んできて会計士になって良かったと感じることを教えてください。
1 汎用性が非常に高い
自分自身、事業会社、ベンチャー、起業と様々なフェーズの組織で働いてきましたが、会計税務などの専門知識は、どのフェーズの組織でも必要とされてきたので、汎用性がとても高いと感じています。選択肢の幅が圧倒的に広がるので、どんな環境でも仕事ができるチャンスがあると思います。
2 キャリアの可能性が広がる。
専門性を貫いていく中で、他の分野にも領域を広げるには、自分を律し歩みを進める必要があります。ですが、例えば会社から問い合わせがあったときに分からない会計基準を調べたりしますが、会計士にはこのような「調べる→フィードバックする」という専門家マインドのベースがあると思います。なので、自分次第で可能性をいかようにも広げられると感じていますね。
3 会計士としての社会的信頼
名刺に「公認会計士」と書いてあると、初対面で信頼してもらえます。もし自分に資格が無かったら、胡散臭い人になっていたかもしれないです。(笑)
また、信頼してもらえるので、仕事をお願いされやすくなり、多くのチャンスがいただけます。もちろん最後は実力ですけど、仕事をしやすい環境が作れるのは会計士の利点だと思います。
株式会社WARCのWEBサイトはこちら↓
https://corp.warc.jp/
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