
公開日:2021/05/13
公認会計士がフリーランスとして活躍するために
株式会社みのり会計の記事
フリーランス増加時代の意味すること
2020年1月から広がった新型コロナウィルスによって世の中、全く様変わりです。この状況がまだ2~3年は続くと言っている人も多く、アフターコロナはどんな世の中になっているのでしょうか。経済成長が鈍化、何れ衰退していくという悲観論もあり、大手企業ですら終身雇用制度を守れるかわからない時代になりつつあります。
アメリカでは、ITインフラの充実を背景にフリーランスが活躍しやすい時代となっているようで、日本においても、ランサーズ(4484)やクラウドワークス(3900)が株式公開し、業容を拡大しており、本格的なフリーランス時代の到来を予感させます。考えてみれば、自分の得意とする仕事を、自分のペースで受託し、生計を立てていけるなら、それは素晴らしいことですよね。サーフィン好きの人であれば、PCとWi-Fiがあれば、オフィスを離れてサーフトリップをしながらの生活だって可能ですし、女性プロフェッショナルも、結婚、妊娠、出産という人生の転機となるライフイベントをも経験しながらキャリアを継続することが出来るのです。
そう、実力があるなら。
キャリアチェンジに備えて実力を
当然、「実力」をつけるためには、勉強/実務経験/修行をしなければいけない時期があります。公認会計士にとっては、結構長い時間が必要となり、表面上は、短答式試験、論文式試験、監査法人での2年間の実務経験、そして修了考査を経てからの資格取得のプロセスがその期間です。また実質的には、その期間において、自分に合った業務、興味を持てる業務に巡り合うことや、苦労して新たな業務に挑戦すること、ロールモデルとなる先輩と出会うこと、自分のライフスタイルを確立すること等がその後のプロフェッショナルとしての実力向上につながっていくことになります(ここ、キャリア形成上は、とても大切な時期なのです)。
また、監査法人での働き方も時代が変わり、今はパートナー職といえども必ずしも憧れのポジションではないとのことです。歴史を紐解けば、中小監査事務所の合併によって集約が進んできた日本の監査法人もほぼ大手の再編が完了し、働く方の年齢構成も寸胴型であった時代から、今後は、欧米のそれと同様にピラミッド型の組織になっていくのでしょう。監査法人に残りたくても残れない時代が来ると言っても過言ではありません。
公認会計士にとってリスクはコントロール可能な範囲
そうなると、監査法人からのキャリアチェンジが傍流から本流になっていくのですが、そのキャリアチェンジのリスクは皆さんがかつて経験し、乗り越えてきた公認会計士試験へのチャレンジに比べれば大したことではない筈です。
大手監査法人が採算性を重視し、クライアントの選別を進めている一方で、準大手監査法人が新規クライアント獲得に積極的になっていたり、株式公開業務に特化した監査法人やミドルサイズの上場会社をターゲットとした監査法人が誕生したりと、監査業界も新たな時代に突入しています。従前であれば、監査業務に従事するのであれば大手監査法人で、といった風潮がありましたが、今後は監査業務においても自分に合った分野、興味のある分野で更に力をつける事も可能になってきたということですね。
また、コロナ禍においても、新規公開会社数は一時的に減少した時期もありましたがその後は比較的堅調に推移している様子でベンチャー企業のCFO等、管理系の求人も底堅いイメージです。当然、公開準備の過程においては、ガバナンスを強化するために、監査役会設置会社等へ組織変更することが一般的ですし、上場している会社もガバナンスコードへの対応が求められており、社外役員への独立会計士の就任等、活躍の場面は多様化しつつあります。つまり、コロナ禍においても「人手不足」の状態は未だ当分続くということです。
ですから極論としては、キャリアチェンジして、ダメだったなら更にキャリアチェンジしたって良いのです。今の国内環境で公認会計士の資格と実務経験/実力があったら、食いっぱぐれはあり得ません。言い換えるならば、キャリアチェンジのリスクはコントロール可能な範囲にあるのです、国家資格は有難いですね。
信頼出来る人的ネットワークを
また、違った観点からの話になりますが、専門学校で共に学んだ友人や、大手監査法人勤務時代の先輩/同期/後輩は、プロフェッショナルとしてのかけがえのない財産であることをお伝えします。新しい仕事に就きたいと思っている時、ベンチャー企業のCFOに就任して監査が必要になった時、独立開業して積極的に顧客開拓している時、会計・税務でテクニカルな疑問にぶち当たった時等々、本当に親身になって相談に乗ってくれる人がいてくれれば、貴方のプロフェッショナルとしてのキャリアはより一層充実、豊かなモノになると思います。是非、今の職場を含めて、経験される各職場で良い人的関係を築いていくことを心がけて下さい。
以上のように、時代背景や公認会計士を取り巻く環境の変化、職を失うリスクの低さなどを考えると、本当に実力のある人や信頼できる人的ネットワークがある方であれば、公認会計士がフリーランスとして生きていくことは十分に可能であり、むしろ加速していくことが予想されます。引き続き、この場をお借りしながら、公認会計士がフリーランスとして活躍していくコツをお伝えできれば幸いです。
この記事を書いた人
株式会社みのり会計は、2005年1月に設立された登録型プロフェショナルファームの老舗です。
独立した公認会計士120名以上とアライアンスを組みながら、M&Aコンサルティング、上場企業開示支援、株式上場支援、IFRSアドバイザリー、各種保証・証明・調査等を行っています。お取引先は、監査法人、上場企業、上場準備企業と幅広く、様々な形でご要望にお応えしてまいりました。CPASSでは、公認会計士がフリーランスとして活躍していくための注意点やノウハウについて、随時、発信していきたいと思います。
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