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【イベントレポート】第2期 Next-CFO ― 第4回講義の内容を大公開!

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    第2期 Next-CFO イベント概要
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    第2期 Next-CFO イベントレポート第4回(2025年9月14日)

    イベント概要 – Next-CFO

    イベントプログラム第2期 Next-CFO 第4回
    開催日2025年9月14日 14:00-17:00
    開催場所CPASS LOUNGE(シーパスラウンジ)
    〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビル 6F
    概要次世代のCFOを目指す方に、CFOとして必要なマインドセットと、マネジメントの経験を提供すべく、最前線で活躍している豪華20名のゲストから彼らの知見とノウハウを学べる場を提供します。それが『Next-CFO』です。全10回開催
    講師清水 敬太 様(株式会社LOIVE (旧・株式会社LIFE CREATE) 取締役副社長 CFO)
    御林 洋志 様(株式会社Clear 取締役)

    はじめに

    第4回目のセッションに登壇したのは、会計士としてのバックグラウンドを持ち、大活躍中の取締役CFOの二人、株式会社LIFE CREATE の取締役副社長CFO清水 敬太氏と、株式会社クリアの取締役の御林 洋志氏です。そして、モデレーターはCPAエクセレントパートナーズ代表であり、自身も会計士として多くのキャリアを見てきた国見健介氏が務めました。

    第1部:二人のCFOとそのキャリアパス

    セッションは公認会計士としてのバックグラウンドを持つCFOである登壇者2人の自己紹介から始まりました。

    清水敬太氏の軌跡:上場を選ぶのではなく成し遂げる

    清水氏はトーマツに入社し、会計士として監査業務を経験した後、6年間のコンサルティング経験を経て、事業会社経営の世界へとステップアップしました。最初はあきんどスシローで社内改革や上場準備を担い、上場後はCFOとして4年間の経験をしています。その後はドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスという会社にて取締役CFOを3年間務めました。そして現在、清水氏は初めてのスタートアップ挑戦に臨み、2025年4月には見事に上場を果たしました。ここで国見氏から、未上場スタートアップで上場できる確率はとても低い中、上場できた会社を選んだ選球眼についての質問がありました。これに対し清水氏は、上場は自分のミッションであり、上場できる会社を選んだというよりも、上場させることを自分の役割として選んだと語りました。また、清水氏は他の会社からのオファーもあった中、直感を信じて株式会社LIFE CREATEを選びました。

    御林洋志氏の軌跡:スタートアップで日本経済に貢献

    御林氏は2007年に大学在学中に公認会計士試験に合格し、2009年からトーマツでキャリアをスタートしました。特にベンチャー企業向けのIPO支援を中心に業務を行い、そこで初めてスタートアップ業回との接点を持ちます。この経験を通じ、御林氏は「スタートアップの人たちが持つ情熱や挑戦する姿」に魅力を感じ、2年半でトーマツを退職し、シリコンバレーのVCで経験を積みました。その後、2013年からは国内のVCであるグローバルブレイン、アノバカを経て、2021年からクリアに取締役CFOとして参画しました。御林氏は、アメリカのシリコンバレーに行ったものの、「スタートアップ業界を通じて日本経済に貢献する」という信念は変わらなかったと言います。そのため、日本酒というブランドが世界中で飲まれるようになり、世界から認知されるようになれば、間違いなく日本のプレゼンスは高くなると考えています。

    スタートアップの本質的な見つけ方

    二人のキャリアの紹介に関して国見氏は、どの会社を選ぶかにあたって、IPOできるかどうかといった視点ではなく、この経営者と一緒にタッグを組んで、何がなんでもその世界観を実現してやる、と心から思えるかどうかが重要であり、参加者に対して、スタートアップにチャレンジするのであれば、経営者や会社が目指しているビジョンに心から共感できる場所を探すことをアドバイスしました。

    二人のキャリア紹介に続き、ディスカッションは具体的なマネジメントや信頼関係の構築に関する議論へと深く踏み込んでいきました。

    CFOが語る厳しさと信頼のマネジメント

    御林氏は、経営者との1 on 1の時間を大事にしています。具体的には、週に2回程度1 on 1で話す機会を設けて、意思疎通を図り、それぞれが考えている課題や伸びしろ、違和感といった内容について話し合います。それによって信頼関係は構築されていくと考えています。また、何よりも大事なのは、お互いが事業の成功を信じていることだと語ります。一方で御林氏は、会社のカルチャーに過度なリスペクトをしていたため、直近の1年間は、マイルドな言い方をするのではなく、特に成果を出すことの重要性を熱く伝えながらマネジメントを行っています。

    清水氏が経験した会社では、従業員数が非常に多く、スシローではアルバイトも含めると約3万人、ドン・キホーテでは約1万7千人ほどの従業員がいました。そのような会社では強いカルチャーが出来上がっているため、もちろんリスペクトも必要ですが、厳しいことも含めて伝えることも必要であり、相手に対して一緒に事業を成功させようとしている気持ちを伝えることが重要であると語ります。

    国見氏も、経営チームが一枚岩になってベストを尽くしたい時に、信頼関係がなければベストを尽くすことができないと語ります。そのため「この人なとなら背中を合わせてやっていける」という社長を選ぶことが重要になります。

    第2部:経験や視点、インプットのしかた

    休憩を挟んだ後、ディスカッションは参加者からの質問パートに移りました。

    会場の参加者から、「会計士出身だと、事業やマーケティング、営業の経験がないですが、どのようにそういった視点や経験を養われたのですか」という、会計士出身者に特有の課題に関する質問が投げかけられました。

    CFOたちが語る経験の積み方

    この問いに対し、清水氏は自身の経験から具体的な答えを示しました。
    「これらの視点や経験を1番得たのは戦略コンサルにいた時でした。戦略コンサルにいた6年間で積んだ事業サイドの経験が役に立っています。また、本を読むことや友人の会社の相談に乗るなどの色々な経験が経営に役立つと思います。」

    一方、御林氏は、より違った視点からこの問題に切り込みました。
    「会計士の人が圧倒的に当事者意識を持って何かに向き合い続けていれば、しっかり身につくと思っています。自分自身も4,5年間スタートアップと向き合い続けた結果、自分のレベルが少しずつ上がっているなという感覚もあります」。どれだけ自分に厳しく、本気で経営に向き合い続けるかが大事なことであると語りました。

    また国見氏も、「マーケティングだろうがM&Aだろうが、やりながら学んでいけばいい」という考えであり、一方で仮にキャリアをやり直すのであれば、戦略コンサルを3年ぐらい経験すればよかったとも語りました。

    さらにディスカッションは経験の積み方や学び方という観点から発展して、インプットに関するテーマとなりました。

    インプットの重要性と実践方法

    国見氏はインプットに関して、読書の重要性を強調します。「学ぶ時は本を読みまくること、読書量が1流と2流を分けると信じています」。また、経験のある人からノウハウを学ぶことについても言及しました。

    さらに御林氏、「経営チームとして事業に向き合っているとアウトプットの機会は無限に存在するので、だからこそインプットというものはすごく重要だと思っています」。その方法としては国見氏と同様に、読書や人から学ぶこと、さらにはChatGPTを利用するなどして、経営に関することだけでなく、経営と関係のない分野に関するインプットも心掛けていると語りました。

    第3部:CFOにとっての金銭的なモチベーション

    会場の参加者から「収入やキャピタルゲインの面でも、CFOの魅力はあると思いますが、そんなお金の面でのモチベーションはお二人にはありますか。また、お金に関するモチベーションでは上手くいかないと思われたことはありますか」という質問が投げかけられました。この質問に対しては、登壇した三人の回答は一致していました。

    CFOにとってのモチベーション

    まず御林氏「お金が自分のモチベーションの根源になったことは、これまでのキャリアで1回もないし、今も全くないです。自分がしっかり成長して、会社が大きくなっていくことに貢献できれば、お金というものは一番に紐づきやすいものではありますが、それがモチベーションの中心になることはありませんし、お金がモチベーションとなっている人を採用したいとは思わないです」と主張しました。

    次に清水氏も「僕もお金がモチベーションになったことは1回もないと言い切っていいかなと思います」と語りました。何かを選択する時にはお金ではなく、その生き方に自分が満足するのかで判断します。また、自分のやりたいことにしっかりとコミットしてやっていれば、結果としてお金は付いてきやすい仕事だと思うので、お金は心配せず取り組むことをアドバイスしました。

    最後に国見氏も「お金をモチベーションにしてしまうと、最終的に自分も周りの人も不幸になる」と考えていました。人間の幸福感は、お金ややりがい、未来への期待感やワクワク感、さらには他者への貢献や人間関係などのトータルでありますが、お金を優先してしまうと、他を犠牲にしてしまうことが多くなるため、お金は手に入ってもすごく幸せにはなれないことを主張しました。

    第4部:登壇者それぞれの失敗談と教訓

    会場の参加者から「これまでの1番の失敗を教えてください」という質問が投げかけられました。これに対して3人はこれまでの失敗談や、そこから学んだことなどを話し合いました。

    ブレーキを踏むことの重要性

    御林氏は2022年のタイミングで、売上至上主義から利益創出を重視する戦略に切り替えたタイミングが一番困難であったと語りました。この時期は資金調達を行い、ブランド投資やグローバル投資と言われる先行投資を行った直後でした。しかし2022年には目標とした金額に到達することができず、戦略を見直さないとキャッシュが尽きてしまうような状態になってしまいました。御林氏は「どれくらい先行投資を絞るべきかを含めて経営者と話して、それを社員に伝達していくということをやっていたのが1番辛かった」と話しました。結果的にその時下した結論は先行投資をゼロにするというものになりました。この経験から、御林氏はブレーキの重要性を感じたと言います。事業の現在価値をしっかり把握することや、ワーストのシナリオを考えて意思決定することの重要性を肌で感じ、自分自身の志向はより強くなったと話しました。

    生き方に照らし合わせた意思決定

    一方で、清水氏の一番辛かった経験は、会社が上場する直前で清水氏本人が、上場を止めてしまう可能性のある発見をしてしまったことです。仮に自分が公表しなければ上場ができるという状況でありましたが、清水氏はその事実を公表しました。その決断に至った理由に関して、「公表しないことは、自分自身の生き方としては違うだろうし、CFOがそういった人間であれば会社にとっても最終的にネガティブに働くだろうと考えました」と語ります。経営をしていると、様々なハードシングスがあるなかで、自分自身が問われる局面は来ると思いますが、その時には、自分がどう生きたいかを考えて意思決定することをアドバイスしました。

    苦難の時こそ学ぶことができる

    最後に国見氏も2010年から2015年の未就職者問題が発生して、会計士市場が1/3になったタイミングを失敗談として挙げました。当時、国見氏は状況を改善するために、活動量を増やし、社外との関係を広げようとしていましたが、現場が苦しんでいるときに社外に目を向けることによって、結果的に社内メンバーからの信頼を失ってしまいました。この経験から、優先順位を間違えてはいけないということが大きな学びになったと言います。さらに、国見氏は「実は上手くいかなくなる予兆は、調子が良いときから少しずつ起こっている」ということにも言及しました。調子がいい時ほど、自分に厳しくやっていくという価値観をこの経験から得ることができたと語り、苦難の時にこそ一番学ぶことができることを主張しました。

    おわりに

    「NEXT-CFO」第4回セッションは、CFOという役職が果たす組織での役割や、難しさを浮き彫りにしました。

    清水氏は、スシローやドン・キホーテで培った経験を経て、スタートアップLIFE CREATEを上場へ導いた自身の軌跡を通じて、「上場できる会社を選んだのではなく、上場させることを選んだ」と語りました。また、困難な状況でも自分の生き方に照らして正しい決断をすることを語りました。
    御林氏は、シリコンバレーでのVC経験を経て「スタートアップを通じて日本経済に貢献する」という軸を貫き、スタートアップの挑戦と情熱を自らの使命としてきました。また、信頼に基づく経営と、当事者意識を持って挑み続ける姿勢の重要性を語りました。

    彼らに共通していたのは、「お金」を目的とするのではなく、経営者や事業への共感を大事にしてきたということです。
    CFOにとって真に重要なのは、経営チームと信頼で結ばれ、同じ志を共有しながら事業を前へ進めることだと強調されました。

    Next-CFO 登壇者紹介

    清水 敬太
    Shimizu Keita
    株式会社LOIVE (旧・株式会社LIFE CREATE)
    取締役副社長 CFO
    <プロフィール>
    ’00年 公認会計士2次試験合格
    ’01年 一橋大学経済学部卒
    監査法人(’01-’12年)を経て’12年に外資系PEファンドが買収した株式会社あきんどスシロー(当時名)に経営参画。執行役員(経営企画)として業績改善を果たすと共に上場プロセスをリードし、’17年3月に東証一部(当時)に上場(同年の最大級案件)。
    以降はCFOとして中期戦略策定、IR、社債発行、M&Aなどを推進。
    ’21年より株式会社パン・パシフィックIHに参画(取締役兼執行役員CFO)。
    会社初の中期戦略策定や予算管理プロセス導入、M&A、社債発行などの資金調達(累計2000億超)、800億円規模の自社株買い、などを推進し営業利益1000億円や時価総額2兆円を達成。
    ’24年より現職。25年4月に東証グロース市場上場を果たす。
    御林 洋志
    Mihayashi Hiroshi
    株式会社Clear
    取締役
    <プロフィール>
    大学在学中に公認会計士試験に合格。
    2011年より有限責任監査法人トーマツへ入所し、上場企業の法定監査、未上場企業の株式公開支援業務に従事。
    2013年よりグローバル・ブレイン株式会社にて、キャピタリストとしてスタートアップへの投資・支援に従事。 その後、2016年よりシード・アーリーステージに特化したベンチャーキャピタル、株式会社KVP(現 株式会社ANOBAKA)の立ち上げからパートナーとして参画し、20社を超えるスタートアップへの投資・支援を実行。
    2021年1月よりラグジュアリー日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」、日本酒専門メディア「SAKETIMES」を運営する日本酒スタートアップ株式会社Clearへ入社し、同年6月より取締役。

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    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
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