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【イベントレポート】第2期 Next-CFO ― 第3回講義の内容を大公開!

日曜の夜にも関わらず、会場は未来のCFO、そして経営者を目指すビジネスパーソンたちの熱気に満ち溢れていました。会計士や事業会社の財務・企画担当者たちが集う学びとネットワーキングの場「Next CFO」。その第3回は、キャリアの頂を目指すすべての参加者にとって、ご自身の現在地と進むべき未来を鮮烈に照らし出す、まさに羅針盤のような一夜となりました。

登壇されたのは、対照的なキャリアを歩みながら、共に圧倒的な実績を積み上げてこられた二人のトップランナーです。

一人は、Dual Bridge Capital代表パートナーの寺田修輔氏。シティグループ証券を経て、事業会社じげんのCFOとして企業価値を飛躍的に向上させた方です。現在は合計時価総額5,000億円を超える企業群のミダスキャピタルグループ内で、ベンチャーキャピタルファンドを経営されています。

もう一人は、株式会社mov取締役CFOの諸見里卓氏。大手監査法人からキャリアをスタートし、事業会社へ転身。現職のmovでは、コーポレートの立ち上げから、50億円以上の資金調達、M&Aなどを主導し、叩き上げで取締役へと駆け上がった方です。

本レポートでは、ご自身のキャリア、CFOに求められる真の能力、そして経営者としての覚悟を語り尽くした、白熱のセッションの模様をお伝えします。

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    第2期 Next-CFO イベント募集特設ページ
    第2期 Next-CFO イベント概要
    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第2回(2025年8月3日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第3回(2025年8月24日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第4回(2025年9月14日)

    イベント概要 – Next-CFO

    イベントプログラム第2期 Next-CFO 第3回
    開催日2025年8月24日 14:00-17:00
    開催場所CPASS LOUNGE(シーパスラウンジ)
    〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビル 6F
    概要次世代のCFOを目指す方に、CFOとして必要なマインドセットと、マネジメントの経験を提供すべく、最前線で活躍している豪華20名のゲストから彼らの知見とノウハウを学べる場を提供します。それが『Next-CFO』です。全10回開催
    講師寺田 修輔 様(株式会社Dual Bridge Capital 代表パートナー)
    諸見里 卓 様(株式会社mov 取締役CFO 兼コーポレート本部長)

    第1章:二人の軌跡 ― なぜ彼らはCFOを経て「経営」の道を選んだのでしょうか

    寺田氏:「非連続な成長」を追い求める探求心

    「自分で事業をやったことがないのに人の経営に口出しするのはどうなのか」。投資銀行で株式調査業務に没頭した20代、こう感じた寺田氏は、事業の当事者になるべく、29歳で上場企業であるじげんに入社されました。その後CFOに就任され、M&A戦略を統括し、時価総額を1,000億円押し上げるなど、企業価値のグロースドライバーになれることを自ら証明しました。

    しかし、1社にコミットする中で、彼は自身の本質的な欲求に気づきます。「非連続に物事が変わっていく時に一番、血湧き肉躍るというか、生きてる実感をする人間なんです」。1社だけでなく、複数社の非連続な成長に関わりたい。その思いが、ミダスキャピタルへの参画へと繋がりました。

    現在はミダスキャピタルグループ内のVCであるDual Bridge Capitalを経営しています。「ビジネスパーソンを引退するかクビになるまでやり続ける」。彼の言葉からは、ご自身のミッションと組織のミッションが完全に一致した「覚悟」が伝わってきました。

    諸見里氏:「CFOになりたい」憧れから始まった、信頼を勝ち取る道

    一方の諸見里氏は、「大学生の頃からずっとCFOになりたかった」と明確な目標を語ります。その原点は、株式会社スクウェア・エニックス代表も務めた松田洋祐氏への憧れでした。

    在学中に公認会計士試験に合格し、新卒で有限責任監査法人トーマツでIPO支援やM&Aアドバイザリー業務に従事。その後、「事業会社側でやりたい」という気持ちから、株式会社Cygamesへ転職し、コーポレート本部のマネジャー兼子会社監査役として、CVC投資や予算管理、M&Aなどの経営企画業務に従事しました。

    十分に経験が積めたと考えたタイミングで転職活動を行い、株式会社movへ参画。movに参画後、コーポレートの立ち上げ、シリーズA、Bの資金調達を主導し、累計50億円超の資金調達などを実現しました。シリーズBでは、日本国内で初となる国内4キャリアのCVCからの同時調達、M&Aによる企業価値向上の実現など、多くのコーポレートアクションを主導しています。2021年に管理部長として入社し、2023年に執行役員CFOに就任、2025年には取締役CFOに就任しました。「覚悟をもってmovのCFOとしての責務を果たす」というコミットを決め、その覚悟を示しました。

    第2章:CFOの真価 ― ファイナンス知識を超えた「経営者」の条件

    お二人のキャリアパスは、CFOという役割が単なる財務の専門家ではなく、紛れもなく「経営者」であることを示唆しています。

    「企業価値」という絶対軸と、「場を掌握する力」

    寺田氏は、CFOが直面する最も困難な課題として「ピープルマネジメントと社長との相性」を挙げました。特に、経理や法務など、自分より専門性の高いメンバーを率いる難しさを乗り越えるために徹底したのが、「意思決定の拠り所を『企業価値だけ』に置くこと」でした。

    「自分は企業価値を最大化することが仕事であり、全体最適を見てそれだけを拠り所に決めていく。これを毎回丁寧に説明することで、組織もそれを理解し、人もついてくるようになりました」。

    「IPOのためにこれが必要」という言い方だけでは、社員はついてきません。会社のビジョンや企業価値といった誰もが納得できる軸を示し、その場のステークホルダーに応じてメッセージを最適化する「場を掌握する力」こそが、経営者には不可欠だと寺田氏は強調しました。

    「領域を絞らない」― 信頼を勝ち取るための越境

    諸見里氏もまた、CFOの役割はファイナンスや、財務経理に留まらないと説明します。「特に会計士で、CFOに向かない人は、自分の役割を得意領域に絞ってしまう傾向にある方です」。彼自身、経営企画、財務経理にとどまらず、法務知財、HR、広報などコーポレート全体を管掌し、すべての領域で価値を出し続けることで、社内外のステークホルダーからの信頼を勝ち取ってきました。

    「CFOになると領域は関係ありません。企業価値向上に資する行為であれば、全部やらないといけない立場になりました」。会計士という専門性に安住せず、常に領域を越え、会社全体の課題を自分ごととして捉える。その愚直なまでの当事者意識が、彼を経営者へと押し上げたのです。

    第3章:白熱のQ&Aセッション ― リアルな悩みにトップランナーが答えます

    イベント後半は、参加者からのリアルな質問にお二人が答えるQ&Aセッションが行われました。

    Q. どうすれば昇進できるのでしょうか? 成果と「視座」の重要性

    「昇格の経緯」を問う質問に対し、諸見里氏は率直に答えました。「スキルの高さや、実務で結果を出し続けた成果であることは当たり前として、何よりも全社視点で、企業価値向上にコミットできるという、視座が役員のそれになり、信頼されたからだと思います」と諸見里氏は語ります。

    寺田氏も「社長とどれだけ同期できるか、視座がすり合ってくるかは非常に重要です」とご自身の経験を重ねました。成果を出すことは最低条件であり、その先の経営層へと上がるためには、会社全体、そして長期的な時間軸で物事を捉える「視座」の獲得が不可欠であることが、お二人の言葉から浮かび上がりました。

    Q. M&Aはどう始めるべきでしょうか? 「喉から手が出るほど欲しい会社」はありますか

    「M&Aの始め方」について、数多くのM&Aを手掛けてきた寺田氏の回答は、明快かつ本質的でした。「M&Aはただの手段です。経営戦略が主で、投資戦略は従です。この主従関係を絶対に逆転させてはいけません」。

    まず徹底的に経営戦略を突き詰めれば、「喉から手が出るほど欲しい会社がバイネームで必ず出てきます」と寺田氏は言います。そうなれば、やるべきは「直接その会社に会いに行って資本提携のご提案を差し上げる」ことです。戦略なきM&Aは失敗します。全ての原点は、自社の経営戦略をどれだけ深く、解像度高く描けているかにかかっているのです。

    コミュニティが未来を創ります

    あっという間の3時間が過ぎ、イベントは幕を閉じました。寺田氏が語った「場を掌握する力」、諸見里氏が体現した「領域を絞らない覚悟」、そしてお二人に共通する「経営者の視座」。多くの視点が得られる講義となりました。

    もしあなたが、ご自身のキャリアに停滞感を感じていたり、次のステージへの具体的な一歩を踏み出せずにいるのでしたら、ぜひ次回の「Next CFO」に足を運んでみてはいかがでしょうか。この熱気あふれるコミュニティの一員となることが、あなたの成長の最初のきっかけになるかもしれません。

    Next-CFO 登壇者紹介

    寺田 修輔
    Terada Shusuke
    株式会社Dual Bridge Capital
    代表パートナー
    <プロフィール>
    東京大学経済学部卒業。
    2009年よりシティグループ証券株式会社にて株式調査業務や財務アドバイザリー業務に従事し、ディレクターや不動産チームヘッドを歴任。
    2016年に株式会社じげんに入社し、取締役執行役員CFOとしてM&Aを中心とする投資戦略、財務戦略、経営企画の統括や東証1部への市場変更、コーポレート体制の強化を牽引。
    2020年7月より株式会社ミダスキャピタルに取締役パートナーとして参画、2023年4月Dual Bridge Capitalの代表パートナーに就任。
    諸見里 卓
    Moromizato Suguru
    株式会社mov
    取締役CFO 兼コーポレート本部長
    <プロフィール>
    早稲田大学在学中に公認会計士試験に合格。
    2015年に有限責任監査法人トーマツのTS事業部に入社し、複数企業へのIPO支援、会計監査、M&A関連の財務アドバイザリー業務などに従事。
    2018年に株式会社Cygamesに入社し、コーポレート本部にてマネージャー兼子会社の監査役として、M&A、CVC投資、事業計画策定、予実管理などの経営企画業務に従事。
    2021年12月に株式会社movに入社。シリーズA/Bの資金調達や、M&A、IPO準備などを主導し、コーポレート本部を管掌。2023年8月に執行役員CFOに就任。2025年8月に取締役CFOに就任。知的財産アナリスト。

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    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
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    代表 国見健介からのメッセージ(動画)

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