人と繋がり、可能性を広げる場

公開日:2025/11/26

  • イベントレポート

【イベントレポート】第2期 Next-CFO ― 第2回講義の内容を大公開!

「監査法人で経験を積んだ後、どのようなキャリアを描けばいいのか?」「事業会社の経理・財務として、CFOになるための具体的な道筋や求められる力を知りたい」 、このようなキャリアの悩みを抱える公認会計士やビジネスパーソンは少なくありません。CFOへの道は、決して一つではありません。当イベントレポート(連載予定)では、全く異なるキャリアを歩んでこられた最前線で活躍する現役CFOの方々の軌跡を深掘りします。

彼らのダイナミックなキャリアから、これからの時代に求められるCFO像と、公認会計士・ファイナンス人材が自身のキャリアを飛躍させるための本質を探ってみましょう。

    <関連ページリンク>
    第2期 Next-CFO イベント募集特設ページ
    第2期 Next-CFO イベント概要
    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第2回(2025年8月3日)

    イベント概要 – Next-CFO

    イベントプログラム第2期 Next-CFO 第1回
    開催日2025年8月3日 14:00-17:00
    開催場所CPASS LOUNGE(シーパスラウンジ)
    〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビル 6F
    概要次世代のCFOを目指す方に、CFOとして必要なマインドセットと、マネジメントの経験を提供すべく、最前線で活躍している豪華20名のゲストから彼らの知見とノウハウを学べる場を提供します。それが『Next-CFO』です。全10回開催
    講師武地 健太 様(フリー株式会社 常務執行役員 CSO)
    荒井 邦彦 様(株式会社ストライク 代表取締役社長)

    会計士からの二つの頂へ:プロ経営者と創業社長、二人のリアルな軌跡

    2025年8月、未来の経営を担うリーダーたちのための新たな学びの場「NEXT-CFO」プログラム第2回が開催されました。弊社が主催するこのプログラムは、トップランナーたちの生々しい経験や哲学に触れることで、次世代の経営者に求められる本質的な力を学ぶことを目的としています。

    今回のセッションには、日本のSaaS業界を牽引するフリー株式会社の常務執行役員CSO・武地健太氏と、M&A仲介の分野で独自の地位を築く株式会社ストライク代表取締役社長・荒井邦彦氏が登壇しました。モデレーターは、弊社代表の国見健介が務めました。

    お二人はいずれも公認会計士という資格をキャリアの出発点とされていますが、武地氏は戦略コンサルを経てメガベンチャーの経営幹部へ、荒井氏は監査法人から起業家へと、それぞれ全く異なる道を歩まれています。

    そんな対照的なキャリアパスから見えてくるものは何か。成功も失敗も包み隠さず語られた議論は、公認会計士というキャリアが持つ無限の可能性を鮮やかに描き出しました。

    第1部:監査法人のその先へ。二人が見出したそれぞれの道

    セッションは、登壇者お二人の自己紹介から始まりました。
    その歩みからは、公認会計士というキャリアが監査法人という枠にとどまらず、実に多様でダイナミックに広がっていることが伝わってきました。

    武地健太氏の軌跡:「プロフェッショナル」の探求と、夢への共感

    フリー株式会社の武地氏のキャリアは、「プロフェッショナルとは何か」という一貫した問いから始まりました。
    大学時代に教授の勧めで公認会計士の道へ進み、あずさ監査法人でキャリアをスタートされました。しかし、あるプロジェクトでパートナーと監査方針を巡って意見が対立した際に、「ここで止まってしまったら自分が目指すプロフェッショナルにはなれない」と感じたといいます。そこで、より本質的な課題解決のスキルを身につけるため、戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG)への転職を決意されました。

    しかし、コンサルティングの世界は決して甘いものではありませんでした。
    「入社してすぐに『お前はこの会社で一番仕事ができない』と言われました」と武地氏は苦笑しながら振り返ります。会計士としての専門知識はあっても、求められる思考様式やアウトプットの質はまったく異なるものでした。深夜まで働き、何度もダメ出しを受けながらも、必死に食らいついた8年間だったといいます。

    武地氏がコンサルティングという厳しい世界で生き残り、成長できた理由は二つあったといいます。一つは、「諦めずに、できるまでやりきる」という愚直なまでの執念。そしてもう一つは、「顧客の懐に入る」という自身の強みを見出したことでした。

    「ロジックだけでは動かないクライアントに対して、人間的な信頼関係を築き、変革を後押しすることができた。それが自分の価値だと気づいたんです」と、武地氏は語ります。

    そして次の転機となったのが、freeeへのジョインでした。創業者の佐々木氏から声をかけられた際、武地氏はなんと財務諸表すら見ずに参画を決めたといいます。「理由はシンプルです。『スモールビジネスを世界の主役に。』というミッションに心から共感したからです。」そこには、コンサルタントとして外部から企業を支援するのではなく、事業の当事者として夢を実現したいという強い想いがありました。CFOとして入社した後は、事業責任者を経て、金融子会社の立ち上げ、そして現在はM&AとAI新規事業の責任者を務めていらっしゃいます。

    荒井邦彦氏の軌跡:起業家精神とM&Aのダイナミズム

    一方、株式会社ストライクの荒井氏のキャリアは、学生時代から抱いていた「いつか起業したい」という想いを原動力に歩まれてきました。荒井氏が公認会計士を目指した理由について、「ビジネスをやる上で数字に強くなりたかった。それと、就職活動をしなくて済むから(笑)」と語ります。その言葉には、自らの道を切り拓こうとする独立心と行動力が滲み出ていました。

    EY新日本監査法人で勤務していた当時、荒井氏はあるクライアント企業が毎年のようにM&Aを行っている姿を目の当たりにしました。
    そこで感じたのは、M&Aが持つ圧倒的なダイナミズム――億単位の資金が動き、人の心が揺れ、会社の未来が劇的に変わっていく――という現実、そしてその背後にある仲介会社の大きなビジネスチャンスでした。
    「これだ。この世界で勝負したいと思いました」と荒井氏は振り返ります。

    監査法人を退職後、彼はストライクを創業します。しかし、当初は大きな壁にぶつかりました。
    「営業経験が全くなかったんです。」 会計士として「先生」と呼ばれていた立場から一転し、頭を下げて仕事をお願いする日々。ゼロから顧客を開拓する苦労を味わいました。

    それでも荒井氏は、その壁を一つひとつ乗り越え、ストライクをM&A仲介業界で確固たる地位を築く企業へと成長させ、上場へと導きました。
    そして会社の成長とともに、彼の視点も大きく変化していきます。

    「最初は自分ひとりのモーターボート。今は450人を乗せたタンカーの操縦です。舵の切り方も、見える景色も全く違うんです」。
    創業者としてのパッションを、いかにして組織の成長エンジンへと転換させていくか――。
    荒井氏の挑戦は、今もなお続いています。

    第2部:役割が人を育てる – 成長の修羅場とリーダーシップ

    二人のキャリア紹介に続き、ディスカッションはそれぞれの組織における具体的な役割やリーダーシップの在り方へと深く踏み込んでいきました。
    そこから見えてきたのは、CFOや経営者が単なる管理者ではなく、組織の成長を導く“コンパス”としての役割を担っているという事実でした。

    失敗から学ぶマネジメントの本質

    武地氏は、freeeでCFOから事業部長へと役割を移した際に経験した「人生で三本の指に入る大失敗」について語りました。
    「コンサルタントとして完璧な戦略を描いたつもりでした。でも、現場では全く思う通りにならなかった。夜も眠れないほど悩み、気づいたのは、自分がいかに現場を理解していなかったか、そしてメンバーの力を引き出せていなかったかということでした」と振り返ります。

    この経験は、彼のマネジメント観を根底から変える転機となりました。
    個人の優秀さで引っ張るのではなく、多様な専門性を持つメンバーを信頼し、任せ、彼らが最大限に力を発揮できる環境を整えることの重要性に気づいたのです。

    そして、未知の領域であるAI新規事業を率いる現在も、その哲学は変わりません。
    「専門家には敵わない。だからこそ、僕はビジョンを示し続け、チームが同じ方向を進めるようにすることに全力を注いでいます」と語りました。

    組織の成長痛と経営者の覚悟

    荒井氏は、企業の成長ステージによって変化する経営者の役割について語りました。
    「創業当初は、自分が一番の労働者。でも、人が増えるにつれてリーダーになり、やがて組織や文化という“仕組み”をつくる側に回らなければならない」と話します。

    そして、現代的なテーマである“リモートワークか出社か”という問いに対しても、彼は明確なスタンスを示しました。
    「うちは原則出社です。なぜなら、人間は動物だから」。
    カリスマ経営者が会議室に入ってきた瞬間に空気が変わる、あの非言語的な熱量。
    困難な課題にチームで立ち向かう一体感。
    それらは、画面越しでは決して伝わらないものだといいます。

    「僕たちの仕事は、0から1を生み出す創造的な仕事。そのためには、顔を突き合わせ、互いの熱を感じることが不可欠だと信じています」と荒井氏は語りました。

    この意見に、武地氏も同意を示しつつこう付け加えます。
    「ただし、パフォーマンスを出せていない時は来てほしいと伝えています。何かがうまくいってないのであれば、働き方を見つめ直すことは大事だと考えています」。
    働き方の選択肢は尊重しながらも、成果という結果には厳しく向き合う。
    そのバランス感覚こそが、柔軟でありながら強い組織をつくり上げているのです。

    第3部:会計士の未来 – 守りから攻めへの進化論

    セッションの終盤では、議論は自然と「これからの会計士、そしてCFOに求められるもの」へと収束していきました。
    二人の言葉は、参加者一人ひとりにとって、自らのキャリアを見つめ直す大きなきっかけとなったに違いありません。

    役割に閉じこもるな、当事者たれ

    2名の登壇者は共通して、「自分の役割を限定しないこと」の重要性を強調しました。
    荒井氏は、「自分以外の誰でもできる仕事は、どんどん任せるべき。経営者は、自分にしかできない付加価値の高い仕事に時間を使うべきです」と語ります。

    一方、武地氏も「重要なのは、自分が今“マネージャーモード”なのか、“ファウンダーモード”なのかを常に意識すること。守りを固めるべき時もあれば、自ら現場に飛び込み、0から1を生み出すべき時もある」と述べ、状況に応じた役割の使い分けの大切さを説きました。

    そして、キャリアの選択に悩む参加者へのメッセージとして、二人の言葉はさらに熱を帯びました。
    「どの道を選んでも、それを“正解にする”のは自分自身の努力。転職して最初の半年は、誰だって『前の会社の方が良かったかも』と思うもの。でも、そこで諦めずにやり抜いた先にしか成長はない」と武地氏。
    「結局、他人の人生を生きることはできない。自分自身が納得できるキャリアを、自分の足で歩んでほしい」と荒井氏は力強く語りました。

    おわりに:会計士は、最強のパスポートである

    今回のセッションが示したのは、公認会計士という資格が、決して監査法人という一つのゴールで終わるものではなく、むしろ多様な山頂を目指すための「最強のパスポート」であるという事実でした。

    武地氏のように、プロフェッショナリズムを極め、巨大組織の戦略を担う道。
    荒井氏のように、自らリスクを取り、ゼロから事業を創造する道。
    そのどちらもが、公認会計士という揺るぎない専門性を基盤として拓かれています。

    重要なのは、そのパスポートを手に「どこへ向かうか」という意志と、選んだ道をがむしゃらに突き進み「正解にしていく力」です。
    二人のトップランナーの言葉は、参加者一人ひとりの心に火を灯したことでしょう。

    懇親会に移行すると、参加者たちはセッションで生まれた疑問や共感を胸に、憧れの登壇者である武地氏・荒井氏を囲み、よりパーソナルで、より深い問いを投げかけていました。
    その熱心な姿からは、彼らが単なる聴衆ではなく、未来の経営を本気で担おうとする当事者であることが伝わってきました。

    Next-CFO 登壇者紹介

    武地 健太
    Takechi Kenta
    フリー株式会社
    常務執行役員 CSO
    <プロフィール>
    常務執行役員CSO
    先祖代々会計一家の出身。
    あずさ監査法人・ボストンコンサルティンググループを経てfreeeにCFOとして参画。
    現在はCSOとしてM&A活動を所管。
    多くの経営者と会い、グループジョイン後の統合をする中で改めてマネジメントの奥深さに興奮する日々。
    荒井 邦彦
    Arai Kunihiko
    株式会社ストライク
    代表取締役社長
    <プロフィール>
    一橋大学商学部卒業後、太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に公認会計士として入社。
    仕事の中で出会ったM&Aのダイナミックさに惹かれ、この領域での起業を決意する。
    1997年に株式会社ストライクを設立し代表取締役社長に就任。以来、数多くのM&Aを成約に導いてきた。
    2016年6月に東証マザーズに株式上場、翌年6月に東証一部(現東証プライム市場)へ市場変更。
    近年はベンチャー企業のM&Aにも取り組んでおり、出口戦略としてのM&Aが増えることにより、ベンチャー企業のすそ野が広がることで日本経済に活力が出ると期待している。

    参加者の声

    40代
    独立会計士
    武地さんが、管理側だけでなく事業側にいた経験の有無で全然違うと仰っていたのが、
    事業側も長かった自分にとって、とても励みに感じました。
    また皆さまが明るく振る舞うことの重要性を言及されており、
    たまに明るさを能天気と勘違いされることがあるので、引き続き明るく頑張っていければと思いました。
    貴重なお話をありがとうございました!
    40代
    事業会社
    部長
    本日もありがとうございました。

    登壇者のお話、自身の考え、新たな課題や新たなアクションをメモをしながら聞いており、本日はA4用紙6枚にもなりました。
    インプットだけをする場ではなく、内省しながらアウトプットの場として活用できてるのはとても良い時間です。
    利益度外視な料金で素敵な場をご用意してくれてることに大変感謝です。
    40代
    法律事務所
    マネジャー
    会計士出身の経営者が、とても素直に経験と気持ちを語ってくれたのがよかったと思います。数々の名言を教えていただいたので、復習したいと思います。
    30代
    事業会社
    経営監査部
    本日のNext-CFOプログラムに参加させていただき、誠にありがとうございました。

    武地さんのご講演では、「できるまでやる」という姿勢や、ご自身の強みを見極めて活かしていく重要性について、非常に深く心に残りました。
    また、荒井さんのお話では、上場前後における経営者の視点や意思決定の変化、そしてM&Aの市場動向について、実務に即したリアルな知見を得ることができ、非常に参考になりました。

    本日のセッションを通じて、CFOとして求められる視座の高さと、組織・個人の成長に必要な考え方を多く学ばせていただきました。貴重なお時間を割いてご登壇いただいた武地様、荒井様に深く感謝申し上げます。

    引き続き、Next-CFOプログラムの学びを日々の実務に活かしていけるよう、行動に移してまいります。

    <関連ページリンク>
    第2期 Next-CFO イベント募集特設ページ
    第2期 Next-CFO イベント概要
    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第2回(2025年8月3日)

    【第2期 募集中】

    本レポートで紹介した「Next-CFO」プログラムは、現在、第2期受講生を募集中です

    今の仕事に“閉塞感”を抱えている方、リーダーとしての視座を得たい方にとって、このプログラムは必ず転機になります。

    少人数制につき、定員に達し次第締切となります。ぜひお早めにお申し込みください。

    参加者分布

    代表 国見健介からのメッセージ(動画)

    <関連ページリンク>
    第2期 公認会計士2.0 イベント募集特設ページ
    第2期 公認会計士2.0 イベント概要
    第2期 公認会計士2.0 イベントレポート第1回(2025年7月13日)
    第2期 公認会計士2.0 イベントレポート第2回(2025年8月3日)

    第2期 Next-CFO イベント募集特設ページ
    第2期 Next-CFO イベント概要
    第2期 Next-CFO イベントレポート第1回(2025年7月13日)
    第2期 Next-CFO イベントレポート第2回(2025年8月3日)

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