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公開日:2021/05/07

  • ソフトスキル

仕事ができる人に共通する特徴②

藤田耕司さんの記事

私はこれまで経営心理士、公認会計士として、心理と数字の両面から経営改善を行ってきました。
その中で人材育成の仕事をしてきましたが、それは仕事ができる人を増やす仕事でもありました。
そのため、仕事ができる人に共通する思考を分析し、その思考をクライアントの社員に共有することで人材育成の効果を高めてきました。
今回も前回に引き続き、その仕事ができる人に共通する思考の1つについてお話ししたいと思います。

    仕事ができる人の思考プロセス

    仕事ができる人に共通する思考として挙げられるのが、「一手先を読んでいる」ということです。

    仕事ができる人は必ずと言っていいほど一手先を読んでいます。
    この先の展開はどうなるかをイメージし、その状況において滞りなく仕事が進められるように事前に動きます。

    例えば、上司と外出する際には、上司が来るタイミングでエレベーターが開くように先にエレベーターのボタンを押しておきます。

    タクシーを呼んだ際は、上司が乗ったタイミングですぐに出発できるように、先にタクシーに乗って運転手に行き先を伝えておきます。

    営業に行く際には、お客様から質問されそうなことについて予め調べておき、質問されても的確な説明ができるように、加えて関連資料も見せられるように準備しておきます。

    部下に仕事を任せる際には、部下がスムーズに仕事を進められるように参考になるサイトのURLも合わせて伝えます。

    仕事ができない人は、一手先を読むことなく、行き当たりばったりで仕事をします。
    そして、仕事を進めていくうちにその場ですぐ対応できなくて成果を残すことができなかったり、余分な手間がかかったりします。

    仕事の目的を確認する

    そして、更に仕事ができる人はより深く一手先を読みます。
    それは仕事を依頼された際にその目的を確認し、その目的に応じた形で対応するということです。
    私の部下にとても仕事ができる部下がいました。
    その人の例を挙げたいと思います。

    お客様との打ち合わせに際して、「議事録取っておいて」と伝えると、彼は「取った議事録はどう使われますか?」と聞いてきました。
    私は「〇〇チームのメンバーに今日の打ち合わせの内容を共有できるようにしたいと思うんだけど」と伝えたところ、彼は「〇〇チームのメンバーは今回の打ち合わせに至った背景を知らないと思うので、その背景のところから議事録にまとめておきましょうか?」と提案してくれたので、私は「それはありがたい。ぜひ頼むよ」とお願いしました。

    この例では、議事録を取るという仕事に対して、彼はその目的を確認しています。
    そして、〇〇チームのメンバーに共有するという目的をより果たしやすくするために、打ち合わせに至った背景からまとめてくれました。
    もしその目的が私が備忘録として使うということであれば、背景をまとめる必要はなかったでしょう。

    また、「このデータを集計しておいて」と頼んだ時も、彼は「集計結果はどのように使われますか」と聞いてきました。
    私は「講演の時に使うパワーポイントのスライドにその集計結果を載せようと思うんだよね」と伝えると、彼は「分かりました。では、集計結果はエクセルとパワーポイントの両方でお渡しした方がいいですか?」と提案してくれたので、「そうだね。両方もらえるとありがたい」とお願いしました。

    この例でもデータを集計するという仕事に対して、彼はその目的を確認しています。
    そして、エクセルとパワーポイントの両方を提出するという目的に合った形で対応してくれました。

    私はエクセルで提出されるものだと思っていたので、そのエクセルデータを自分でパワーポイントに加工するつもりでしたが、その手間が省けてとてもありがたく感じました。

    一手先を読めるようにするための習慣

    このように仕事ができる人は常に一手先を読んで行動します。
    実際、仕事をお願いしている業者や部下がこういった対応をしてくれたら、「この人は仕事ができる」という印象を抱くのではないでしょうか。
    仕事ができる」という印象と「一手先を読む」という行動は密接に関連しています。

    一手先を読んだ行動をとれるようになるためには、何か事をするにあたっては次の2点について自問自答する習慣をつけることが重要です。

    ・この先の展開はどうなるのか?
    ・これをやる目的は何なのか?

    こういった習慣によって一手先を読んだ行動がとれるようになると、「この人は仕事ができる」という印象を持たれるようになり、上司やお客様からの評価はぐっと高くなります。
    是非、普段から心掛けてみて下さい。

     

    この記事を書いた人

    公認会計士、税理士、経営心理士、心理カウンセラー
    一般社団法人日本経営心理士協会 代表理事
    FSG税理士事務所 代表税理士
    FSGマネジメント株式会社 代表取締役
    著書:「リーダーのための経営心理学」、「経営参謀としての士業戦略」

     

    2004年有限責任監査法人トーマツに入社。監査部門にて7年間、監査業務に従事し、2011年に独立。FSG事務所を開設し、税務業務を行うと共に数字と心理の両面からコンサルティングを行うFSGマネジメント株式会社を設立。
    年商300億円超の企業から個人事業主まで、のべ1,200件以上の経営相談を受け、労務問題から営業、マーケティングなど、幅広い分野で人間心理と数字の両面から経営改善を行う。
    その経営相談事例を基に、ビジネスで成功を再現し、失敗を回避する手法を経営心理学として体系化することで経営指導の成果を大きく高める。
    2015年に一般社団法人日本経営心理士協会を設立し、経営心理学を体系的に学び、「経営心理士」の資格を取得するための経営心理士講座を実施。受講者の成果が口コミで広がり、日経新聞をはじめ複数のメディアから取材を受ける。また、金融庁や一般企業、税理士会等の士業団体などでの研修活動も行い、年間の講演回数は250回を超える。

     

    一般社団法人日本経営心理士協会

     

    https://keiei-shinri.or.jp/

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