公開日:2021/09/06
経営コンサルティング業務を経てスタートアップに挑む、長瀬健(株式会社wevnal)のキャリア!!
今回のロールモデルは、株式会社wevnalの長瀬健さんです。監査法人⇒コンサルティング⇒スタートアップというキャリアを歩んでいます。経営に対する思いやスタートアップの魅力について熱く語っていただきました。ぜひご覧ください。
長瀬健さんのプロフィール
長瀬 健
有限責任あずさ監査法人 アソシエイト
株式会社経営共創基盤 マネージャー
株式会社wevnal 執行役員管理部長
1987年生まれ、慶応義塾大学経済学部卒
大学在学中に東京CPAにて公認会計士試験に合格。新卒であずさ監査法人に入所後、飲料メーカー・自動車部品メーカー等、大手企業から中堅中小企業の会計監査に従事。2014年に株式会社経営共創基盤に転職し、製造業を中心に再生案件・中計策定・新規事業立案などのコンサルティング業務に関与すると共に、計画策定後の実行フェーズではハンズオンでクライアントと伴走し、戦略の実行を支援。その後、2020年に現在の株式会社wevnalに参画し、執行役員として採用から戦略までコーポレート全般を担当。
長瀬健さんの略歴
2008年:公認会計士試験論文式試験合格。
2011年:有限責任 あずさ監査法人に入所。
2014年:株式会社 経営共創基盤に転職。
2020年:株式会社 wevnalに転職。
01. キャリアの変遷、展望
――監査法人時代の業務はどのようなものでしたか?
あずさ監査法人に在籍していたのは3年ほどでしたが、中小企業の監査から大手の監査まで、幅広く業務に携わることができました。僕が入社した2011年当時の監査法人は、まだガッツで働く風潮が残っていたこともあり、たくさん仕事をさせていただける環境でした。社会人としての基礎をかなり鍛えて頂きました。
実際に監査に携わってみて思ったのは、「案外、内部の管理が行き届いていない上場会社も存在するんだな」ということでした。この経験が転職のきっかけとも関わっています。
――転職を決断した経緯を教えてください。
監査を通して、そのような企業をサポートしたいという思いが強くなる一方で、独立性を求められる監査法人で出来ることの限界のようなものを当時は感じていました。丁度、3年目が経過して無事公認会計士の資格が取れたタイミングであったこともあり、より企業の内部に入り込んでサポートできる企業に転職しようと決意しました。
――IGPIを選んだ理由について教えてください。
せっかく企業の中に踏み込んでサポートをするのであれば、大きな課題を抱えているクライアントと向き合っているところに転職したい。そう考えて、転職先としては再生に強いプロファームを中心に探していました。コンサルやPEファンドを何社か受け、その中でも魅力的に映ったIGPIに転職しました。
――IGPIではどのような業務をしていたのですか?
入社当初から数年は、製造業等の再生案件を担当していました。そこでは会計士の強みを活かし、主に財務モデリングや数値計画の策定に関与していました。未上場会社だと場合によっては財務数値に歪みがあることもあり、その調査を踏まえて数値を適正化し事業計画に反映することも経験しました。再生案件で担当する企業は財務的に厳しい状況にあるわけですが、明日がどうなるかもわからない資金繰り状況の中で仕事をしている方々の表情というのは中々堪えるものがありましたね。
経営次第で従業員や取引先が露頭に迷ってしまうという状況を垣間見て、経営の大切さを改めて感じさせられたのは何よりも替え難い経験でした。
マネージャーに昇格してからは、財務側から事業側、数値策定から戦略策定にシフトしていき、終盤では戦略策定後の実行をハンズオンで伴走する役回りを担っていました。
僕は戦略を現場もシェア出来る絵作りのようなものだと捉えています。当たり前の話ですが、良い戦略があれば会社が良くなるということはないです。現場が戦略を理解し、実行することが何よりも重要です。策定された戦略を事業計画に落とし込み、それを現場とシェアするためのKPIとして展開し、PDCAを通じて進捗を図り、場合によっては迅速に軌道修正を図る、こういった一連の流れを丁寧に作り込むことを心がけていました。
――IGPIでの経験を経て、ベンチャー企業で挑戦しようとした理由について教えてください。
IGPIはコンサルの中でも当事者意識をとても重要視しているコンサルティングファームです。ただ、自分の中で、どこまでいっても”外の人間であることには変わりないな”という気持ちはどこかにずっとあったんですね。それが、ハンズオンで実行支援をしてより強くなり、やはり、当事者として働くには、“中の人間になる”必要があると思ったことが事業会社へ転職しようと思った理由です。
あと、経営のインパクトの大きさを実感したということも理由の1つです。経営者の意思決定一つで良くも悪くも現場が変わってしまう。そうであるならば、経営者と近い距離で働けるベンチャーで挑戦しようというのがベンチャー企業への転職を決意した理由です。
――そこには長瀬さん自身のキャリアに対する葛藤があったのですか?
監査法人やIGPIでいろいろな経験をさせて頂いたのですが、「長瀬ってこういう人」という紹介が難しいなと感じてたんですね。色々経験してきたけど、エッジのある武器がないなと。何か強い武器が欲しいなという思いはありました。
公認会計士としての強みとIGPIで戦略や事業に携わった経験を活かした仕事、その解のひとつがベンチャーでのCFOキャリアでした。CFOは最高財務責任者ですが、財務だけでなくその背景にある事業にも精通することが求められる役割で、自分のこれまでのキャリアが活かせるのではないかと考えました。
――ベンチャー企業を選ぶことは結婚相手を選ぶことと同じくらい大変なことだと思うのですが、どのように選んだのですか?
ベンチャー転職するにあたって、友人や面談等で20~30人くらいに会いました。その中で魅力的な企業からお声がけを頂いたこともありました。ただ、「一緒に死ねるか?失敗しても後悔しないか?」ということを判断軸においていたこともあって、面接という短い時間でのその判断は難しいなとも感じていたんです。
そんな感じで悶々としていたところ、wevnalのCOOでCPAの先輩でもある西田さんに相談したのが1つのきっかけになりました。西田さんから「とりあえずwevnalに遊びに来てみないか」とお誘い頂いたんです。ベンチャーの雰囲気を実際に見てみるかくらいの軽い気持ちで週一くらいで遊びに行っていたんですが、西田さんが成長している姿や従業員の姿をみて、この人たちとだったら一緒に死ねるかなと思ってwevnalで働くことを決めました。
――実際にwevnalで働いてみて、いかがですか?
日々成長を実感していますね。コンサルティング会社のときは長期的な時間軸で物事を考えることが多かったのですが、ベンチャー企業の場合は前提条件が日々変わっていく中で短期間での意思決定や行動の修正が求められる。なので、取り組みのスタイルもコンサル時代から変わりましたね。長期軸と短期軸を両立する感じで。
あと、ベンチャー企業はとにかく何でもやります。僕自身は管理業務に携わっていますが、それ以外にもエンジニアの採用や資金調達にも携わっています。頭で考えて身体を動かす、というよりも、身体がまず先に動いてその後に頭が付いてくる、という今までにない感覚で仕事をしています。
――今後の展開について構想を教えてください。
やはり、wevnalを成長させていくための1つの手段としてIPOを達成したいなと考えています。今は会社の成長に集中しているので、その後については漠然としたイメージしか抱いていないのですが、いつか“モノづくり”に関与したいなと思っています。前職時代からプロダクトに目を輝かせているエンジニアの姿を見て“モノづくりはやっぱり良いな”と思いがあるんです。だから、長期的にはモノづくりに携わってみたいですね。
02. 仕事する上で大事にしていること(仕事論)
――仕事する上で大事にしていることを教えてください。
1つ目は、経営と現場、あるいは、戦略と実行を連携させるということです。
僕はイソップ寓話の「3人のレンガ職人」の話が好きで、旅人がレンガ職人3人に「何をしているのか」と問いかけると、「レンガを積んでいる」、「金を稼いでいる」、「歴史に残る大聖堂を作っている」と違う答えが返ってくるといった話なんですが、企業経営にも通じる話だと思っているんです。「歴史に残る大聖堂をつくる」という美しい戦略が作られていても、現場がそれを理解して実行できなければ意味がない。逆に、経営と現場が近い企業というのは強いですね。上位の戦略を現場に落とし込む、神は細部に宿るじゃないですが、そこを丁寧に作りこむということを強く心がけています。
2つ目は、動的に捉えるということです。
今、ロジカルシンキングって非常に重視されていますよね。でも、ロジカルシンキングはある瞬間をスナップショットで切り取って構造化し整理したものなんで、そこで捨てられてしまっている重要な要素もあるんです。現実世界では戦略と組織が相互に補完しあってるし、市況の変化やその組織特有の要因によって様々な影響を受けながら経営がなされている。そのような複雑な要素が絡んでいるからこそ、企業ごとに異なる戦略と実行方法が求められると考えています。ロジカルシンキングのような静的な思考でとらえきれない時間軸の変化や企業固有の要素を、そぎ落とさずに動的に捉えるということを大事にしています。
3つ目は、舞台に責任を持つということです。
物事を達成するために大事なことは、“役者”と“脚本”だと思っているんです。僕自身は主役キャラではないと思っているので、作品に責任を持つ舞台監督の気持ちで経営に関与しています。舞台監督のように、どういう役者にどういう脚本を演じてもらうかということをよく考えていますね。主役たる企業組織が輝けるような脚本=戦略を舞台監督として責任をもって演出=実行するということを強く意識してます。
03. 会計士という資格を取って良かったこと
――会計士という資格を取って良かったことを教えてください。
1つ目は、良い課題に出会えることですね。僕は良い課題が人を育てると思っています。会計士は業種や役職といった観点からも、キャリアの幅が広いので良い課題に出会う機会が多いと思います。
2つ目は、会計士同士のネットワークが広く強いということですね。同期と情報交換をしたり悩みを相談し合える点です。CPAネットワークだからこそ繋がれるという良さは30代を超えてから改めて実感していますね。
3つ目は、インテグリティを培うことができたということです。会計士は高潔さのようなものを求められる職業だと思うのですが、それが今の私のマインドセットに良い影響を与えてくれたと感じています。目の前の仕事に対して誠実であるからこそ信頼され、その結果として会計士の活躍の場が広がっているのではないでしょうか。
あと、会計士に素敵な女性が多いことですね。実は妻も会計士で、家では厳しく監査をしてもらっているのですが(笑)、妻自身も誠実な女性で、パートナーとして素敵だなと思っています。
株式会社wevnalのWEBサイトはこちら
株式会社wevna
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