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公開日:2022/12/09

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ベンチャーCEOとしてIT業界に変革をもたらす、山田雄一郎(株式会社トリプルアイズ代表取締役)のキャリア!

今回のロールモデルは、今年の5月に上場した株式会社トリプルアイズ代表取締役の山田雄一郎さんです。監査法人に15年勤められたのち、ベンチャーCFOを経て代表取締役に就任というキャリアを歩んでいます。幼少期から育まれたリーダー力と偶然の出会いに導かれたトリプルアイズ前社長とのお話にご注目ください。

    山田雄一郎さんのプロフィール

    山田 雄一郎

    株式会社トリプルアイズ 代表取締役

     1982年生まれ。早稲田大学在学時の公認会計士試験合格を経て、EY新日本有限責任監査法人に入所。監査国際部での監査業務を経て、成長戦略室等にてコンサルティング、プロジェクトマネージャーを歴任。2020年にトリプルアイズ入社。取締役CFOを経て2021年3月代表取締役就任。

    山田雄一郎さんの略歴

    2005年:公認会計士試験合格
    2005年:EY新日本有限責任監査法人入所
    2011年:同所 監査国際部よりアドバイザリー部門(成長戦略室等)に異動
    2020年:株式会社トリプルアイズ入社(8月) 取締役CFO(11月)
    2021年:同社 代表取締役就任

    01. 海外への興味 

    ――会計士試験に合格されて、まずEY新日本監査法人の国際部に入所されたということですが、合格された当時ご自身のキャリアはどのように考えられていましたか?

    グローバルというところは特に意識していて、その中でチャレンジしていきたいと考えていました。国際部では大手グローバル企業や外資企業の日本子会社を担当しました。仕事で海外に行く機会は多くなかったのですが、海外が好きで、東南アジアを中心に一人旅によく出向いていました。会計士試験が終わり合格発表までの間では、頑張った自分を一旦リセットしようと2か月ぐらい色々な国へ行きましたね。

    ――国際部やプライベートで様々なご経験をされたのですね。監査を5年ほどされたのちコンサル部門へ移られたそうですが、その経緯はどのようなものでしょうか?

    監査の仕事ではある程度の規模の会社でインチャージまで経験させていただいたのですが、いざ社外で海外NGOの新規事業の立ち上げを手伝う機会があっても「何もできない。」という感覚がありました。その時に事業側の力を身に付けてみたいなと思い、コンサルへキャリアチェンジすることになりました。

    02. 空港の経営を変える!経営改革コンサル!

    ――コンサル部門には10年ほど在籍されたそうですが、どのような業務をされていたのですか?

    パブリックセクターで省庁や官庁、自治体向けに制度改革や経営改革に関わるコンサルティング業務に携わっていました。大きなプロジェクトとしては、空港の経営改革に関与しました。グローバルの競争が激しくなっている中で、世界中から日本に人を呼び込んで旅行をしてもらい経済を回すためには、まずは日本の入り口を変えないといけないということで、もともと国交省が管理していた空港の経営を民間に移行するといったことをやりました。飛行機の着陸料も国交省が決めていたのですが、民間に変えることで料金を引き下げ、入口を柔軟にすることができます。「官民が利害対立する中、その連携をどのようなスキームで行うか」、「空港の運営権を民間に売却した場合のバリュエーションはどうなるか。会計の基準も作ろう」など、日々新しい仕事や論点にチャレンジしていました。

    ――国と絡んで社会的な意義も影響も大きな仕事をされてきたのですね。そうしたやりがいのある大きなお仕事をされている中、どのようなきっかけでスタートアップ企業や事業会社側に興味が出てきたのですか?

    国や大企業とこの日本を変える大きな仕事をしてきたつもりですが、どこか自分は当事者ではないというところがあり、自分自身でやってみたいと思うようになりました。制度改革や経営改革のようにコンセプトを描くような仕事から、最後それをテクノロジーの力で具現化していく段階の仕事に携わりたいなと、これからの日本を考えた時にそこにはすごい価値があるんじゃないかなと。

    ――自分がリングの上に上がりたくなったということですね。転職されるまでは、どのようにスタートアップを探したり準備したりされていたのですか?

    先輩方や友達の繋がりでCFOが集まるコミュニティーなどには顔を出していました。そうすると色々な話が聞けるので、交流会やコミュニティーを通して人に会いに行くということはしていましたね。監査法人での制度改革コンサルの仕事もとても刺激的で面白い仕事だったので、それと新しい仕事との比較でかなり時間をかけてしっくりくるものを探しました。

    03. トリプルアイズ前社長との出会い、ベンチャーCFOへ

    ――トリプルアイズ前社長との偶然の出会いを教えてください。

    トリプルアイズにジョインする約半年前、知り合いの会計士の方に、突然「2日後に三島に旅行に来ませんか。」と家族旅行に誘われたのです。急だったのですが、日帰りならと家族で遊びに行ったところ、トリプルアイズの創業者である前社長の福原智さんがいらっしゃいました。最初は社長とも知らず、自分の娘とも遊んでくださっていて良い方だなという印象を持っていました。この出会いから色々話をするようになりました。

    ――突然のお誘いに乗ってみたら素敵な出会いがあったということですね。実際にトリプルアイズさんにジョインされたのは何故ですか?

    前社長は本当に情熱で溢れているような人だったので、そこが1つと、ビジョンが一致したことです。IT業界もゼネコン構造みたいな下請け構造があり、それを打破しないと、いくら頑張っても日本が良くなっていかないということで、私の経験からもそこを変えていきたいなと。

    ――情熱とビジョンが一致したということですね。他にもCFOとしてジョインするうえでの立場や、やりたいことも影響したのでしょうか?

    CFOは仕事の幅がかなり広いのですが、私はファイナンスやバックオフィスよりもマネジメント寄りのところでしっかり事業自体に関与したいという思いがありました。前社長がエンジニアということもあったので、企業内部の資金回りだけでなく経営側として事業も一緒に作っていけるんじゃないかと、そのあたりも一致していたので、もうここだと思い飛び込みました。

    ――ここで、トリプルアイズさんが現在行っているビジネスを説明していただけますでしょうか?

    大きく3つの仕事がありまして、まずAI顔認証、画像認識を使ったサービスで、勤怠やマーケティングに活用されています。そして、従来型のシステム開発AI研修のサービスも行っています。エンジニア未経験の方でも、ひとつずつステップアップして、AIエンジニアを目指せるような研修サービスを提供しています。

    ――結果としてCFO就任から半年後くらいにはCEOになるという想定外のことが起こったと聞きましたが、その経緯はどのようなものだったのですか?

    2021年3月に前社長の福原が急性大動脈乖離で急逝してしまいました。45歳という若さでした。当時は上場の準備をしていたので、 社長に何かあった時のために代表者の序列がつけられていました。そこで私が選任されていたのです。ただ、いざそうなったときに、役員のなかでも一番若くて入社も浅い私が社長になるということで本当に良いのかを、役員陣でしっかり確認しました。朝訃報の電話を受け、同日の昼のことです。そういった経緯があり私が社長になることになりました。そこから週明けの月曜日に社員や取引先の方々にどう伝えるべきか考え、その後1か月は新社長として様々なところへ挨拶に回りました。もう上場がなくなってしまうのではないか、エンジニアが退職するのではないか、というところから信頼を一つ一つ得ていきました。

    04. 信頼を得るために大切にしていること、まとめる力

    ――経営陣も10名、メンバーも200名程度いらっしゃると当然いろいろな考えの方がいるなかで、急に自分がまとめ上げていくということはかなり大変なことだと思うのですが、そうした不幸があったにも関わらずどのように一致団結して上場まで達成されたのでしょうか?

    上場というのは前社長の悲願でしたし、それを皆で一致団結して追いかけようということだったので、私としてはチームとしてゴールを追いかけていくところが非常に大事なところだと心がけていました。前社長は創業から13期目で亡くなったのですが、上場に備えて権限移譲をするなど整備が進んでいたので、混乱を抑えられたところも大きいと思います。

    ――本当に残ったメンバーでしっかりやっていくというのはすごいことですね。実際に社内の方の信頼を獲得していくために意識して取り組まれてきたことはありますか?

    なるべく正直にオープンにいることを意識していました。社長だとかEY出身だとかではなく、「山田はこんな人間です」というなるべく自然体な部分を出していこうと思い、社内向けのYouTubeを作成したり、山田のつぶやきチャットというルームで家族との日常を公開したりしています。

    ――CEOから社長になられて、社長業としては現在どのようなことをされているのでしょうか?

    社内に関しては、直接話すことのできないメンバーには動画やチャットに自身をさらけだすということをやっており、200人のうちの十数名の役員メンバーとは月1で合宿をやっています。そこで意見をぶつけ合いながら議論しています。業績を含めてしっかり結果を残すため、互いに切磋琢磨し合う時間です。社外に関しては、トップ営業や事業提携、資本提携、メディアやIR関係、何かトラブルが起きたときの対応などを行っています。私が何かを決めているというよりは、自分が情報を一番得るところにいるのでそれを整理して、皆の意見をまとめて導いているといった感覚です。

    ――前社長からすれば、自分の会社は家族のような存在だと思いますが、残ったメンバーがしっかり引き継いで進んでいることは、本当に嬉しいことでしょうね。

    本当に情熱的でIT業界を変えてやるというビジョンのもと必死に走り続けて、たくさんの挑戦と失敗があり、上場に向けて権限移譲の必要性などを色々肌で感じてやられていた方だったので、創業期から共にしてきたこの会社は本当に家族のような存在だったと思います。

    ――山田さんはすごくリーダーシップをうまく発揮されているなと思うのですが、どのようにそういった力を養われてきたのでしょうか?

    幼い頃を振り返ると、小学校を4回転校し、その都度変化に対応する必要があったことや、サッカー部に所属しチームで勝ちにこだわった経験が活きていると思います。当時においても利害も正義も役割も違うので、それをまとめてゴールに向かうというのが原体験としてありました。また、コンサル時代には省庁や民間など交えて利害調整の嵐でしたし、ある団体の不祥事をきっかけに改革のため役員として入ったこともありました。そこでも色々な方から学ばせていただきながら、自分の信念が固まっていきました。

    05. 山田雄一郎さんの今後のビジョン・若手会計士に伝えたいこと

    ――トリプルアイズさんとして今後実現していきたいビジョンはありますか?

    人工知能(AI)やテクノロジーはこれから爆発的に伸びると思っており、その中で画像認証や顔認証をしっかり社会に実装するということをやり切りたいなと思っています。これからさらに新しいテクノロジーが生まれると思いますが、皆さんの身近なもの、手に取れるものにしていきたいですね。

    ――素敵ですね。最近はCFOを目指す会計士の方は増えてきましたけど、事業会社でCEOとして活躍する会計士も増えていくといいですね。

    本当にそうですね。会計士という資格は、この資格自体が他の資格と比べてかなり幅広いキャリアを描けるものだと実感しています。経営という観点からみても、幅広い領域を経験できる「会計士」は大きなポテンシャルがある資格だと思いますね。


    株式会社トリプルアイズのHPはこちら https://www.3-ize.jp/

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