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公開日:2023/04/26

修了考査対策記事第2弾「各科目の学習法編」

CPASS運営スタッフの記事

    イントロダクション

    こんにちは!公認会計士・税理士の恩田です。

    公認会計士登録をするためには、公認会計士論文式試験に合格した後、①業務補助要件②実務補習要件③修了考査合格の3つの要件を達成する必要があります。中でも最後の登竜門として修了考査に合格をする必要があります。

    私自身の体験談をふまえて今回は修了考査対策記事の第2弾として修了考査の各科目の勉強方法についてまとめました。あくまでも私個人の主観に基づく内容となっていますのでご参考としてご覧ください。第1弾として修了考査の概要についてもまとめましたのでぜひそちらも併せてご覧ください(記事はこちら)。また、第3弾として修了考査合格後のキャリアについてもまとめましたのでそちらも併せてご覧ください。

    01. 会計実務について

    修了考査の1日目の1科目目に行われる科目です。300点満点となり、全科目中の総得点(1,200点)の25%を占めており、合格を大きく左右する科目であることがわかります。修了考査の受験案内に詳細の記載がありますが、かなり広い範囲から出題がされます。

    詳細は下記リンクをご参照下さい。

    https://jicpa.or.jp/syuryokousa/

    会計実務は論文式試験までに勉強した内容に加えて、IFRS等の今まであまり勉強してこなかった論点についても出題されます。実務でも携わっている方は少ないと思いますので、しっかりとした対策をとって勉強を進めていくことが必要です。

    参考に私の勉強例を記載させていただきます。

    1.論文時の計算力を取り戻す

    会計学は論文式試験に合格するまでに、かなりの時間を費やすことが必要とされる科目です。各種予備校の修了考査対策講座のテキストや問題集を使うのはもちろん、受験生時代のメモ等が残っているテキスト等、自分にとって勉強のしやすいものを使ってまずは計算力を取り戻しましょう。実務ではエクセルを使用した自動計算に慣れてしまっているため、早い段階から電卓を使って計算をする感覚を取り戻す必要があります。特に連結会計や組織再編などの構造論点は過去の出題実績を見てもかなりの確率で出題されているので早いうちから手厚く対策を進めることをお勧めします。

    2.新論点について時間をとって手厚く対策する

    修了考査では論文式試験までは多くの方が対策をしていないIFRSについても出題されます。多くの方にとって初めて勉強することになってくるため講義の消化も視野に入れてしっかりとした対策をとっていきましょう。日本基準との違いを問われることも多いため、そういったことも意識をしながら効率的に勉強を進めることをお勧めします。

    02. 監査実務について

    修了考査の1日目の2科目目に行われる科目です。会計実務と同様に300点満点と全科目中の総得点(1,200点)の25%を占めており、こちらも合格を大きく左右する科目であることがわかります。修了考査はどの科目も問題数が多く、時間が足りなくなることが多いですが、監査実務はその中でもかなり時間との勝負になります。計算問題の含まれる他の科目と違い、3時間論述を書き続ける必要がありますので、精神的にも肉体的にも追い込まれながら試験を受けることになります。

    参考に私の勉強例を記載させていただきます。

    1. 論点を思い出す

    監査実務は監査法人で監査の経験を積んでいる方が1番なじみの深い科目になります。他の4科目に比べて監査法人組が1番アドバンテージの取れる科目です。出題内容に関しては事例問題がメインで論文式試験に比べるとより実務的な問題が多いですが、基本の考え方やベースになる監査基準委員会報告書については変わりません。そのため、まずは論文式試験の知識を思い出す必要があります。修了考査対策講座のテキストをベースに勉強を進めることをお勧めします。

    2.専門用語を使って記述できるようにする

    監査の実務経験があり、実務的な内容が頭に入っていても修了考査はあくまでもペーパー試験です。そのため採点者に伝わるように論述をする必要があります。具体的には監査基準委員会報告書等の文言を正しく使うことを意識して記述を行いましょう。監査法人や所属するチームによって独自の言い回しや言葉使いを使用していることが考えられますが、試験ではあくまでも正しい専門用語を使って論述を進める必要があります。そのため、論点の内容の理解を行ったら専門用語の暗記をすることも意識しながら勉強を進めることをお勧めします。

    3.改正論点を整理する

    論文式試験受験時から監査基準委員会報告書など改正されている論点もあります。それぞれの改正論点について講義やテキストベースで学習して知識のアップデートをはかりましょう。

    03. 税務実務について

    修了考査の2日目の1科目目に行われる科目です。会計実務や監査実務と同様に300点満点となり、全科目中の総得点(1,200点)の25%を占めており、こちらも合格を大きく左右する科目であることがわかります。修了考査はこの税務実務に力を入れて勉強する方が非常に多い印象です。普段の実務で税務を担当する機会が一般的に少なく、修了考査で初めて学ぶことになる新論点も沢山あるからです。また、修了考査は満点の40%に満たない科目が1科目でもあると不合格になる可能性がある試験なのでその観点からもしっかり対策をとる必要があります。

    参考に私の勉強例を記載させていただきます。

    1. 論点を思い出す

    法人税・消費税・所得税は論文式試験の受験時に学習した知識の復習になります。論文式試験で租税法が得意だった方はその知識を思い出すことでフォローが出来ますが、5月短答から8月論文に合格された方など、租税法に多くの時間をかけることができなかった方はしっかり時間をとって勉強する必要があります。出題方法は各税法について横断的な出題がされることもあり、1つの取引を様々な税法の切り口で見られる力が必要となってきます。また、法人税については論文式試験に比べて申告書の作成等より実務的な内容が問われるので、本表及び別表同士の繋がりを意識した勉強を行うことをお勧めします。

    2.新論点の対策

    修了考査では論文式試験ではなじみのない地方税・相続税・国際課税等の範囲からの出題もされます。これらは論文式試験では出題されないためなじみが薄く、内容も複雑なため補習所で行った学習のみでは十分に理解しきるのは難しいです。そのため予備校の講義をベースにしっかり対策されることをお勧めします。税法の細かい規定等覚えることは限りなく存在する科目なので出題頻度を踏まえて強弱をつけて勉強を進めることが必要になります。予備校の修了考査対策講座を受講されている方は過去問分析のデータがもらえると思いますので、そちらを参考に勉強を進めることをお勧めします。

    04. 経営実務について

    修了考査の2日目の2科目目に行われる科目です。200点満点となり、全科目中の総得点(1,200点)の約17%を占めています。経営実務は例年通りですと、論文式試験の経営学や管理会計論に近い問題と IT・コンピュータに関する問題の2つの大問で構成されます。前者はなじみのある論点が多いですが、後者の IT・コンピュータは初見となる論点がほとんどなのでしっかり対策をとることをお勧めします。

    参考に私の勉強例を記載させていただきます。

    1. 論点を思い出す

    1つ目の大問の計算問題は論文式試験の際に勉強した債権債務の回転期間分析等をはじめとした収益性分析や安全性分析が出来るようになれば十分です。各財務指標の計算式の暗記やそれに伴う論述問題の練習がメインになります。論述問題として計算した比率にもとづいた企業分析も出題されるので、分析結果について様々な角度から記述ができるようになっておく必要があります。また、比率分析等の出題がメインになることが多いですが、近年M&Aやコーポレートガバナンスについても問われたことがあるので基本的な計算方法や単語や論述の暗記もしておくことをお勧めします。

    2.新論点の対策

    IT・コンピュータに関する理論は実務で触れたことがある方も少なく、まず内容の理解が必要になってきます。講義回数も多くはないのでしっかりと消化をして理解をしながら勉強を進めることをお勧めします。IT委員会の実務指針や研究報告はかなりの分量になるため、他の科目とのバランスも考えて強弱をつけた勉強をすることをお勧めします。

    05. 職業倫理について

    修了考査の2日目の3科目目、最後に行われる科目です。100点満点となり、全科目中の総得点(1,200点)に占める割合は8%と低いですが、試験時間が1時間と短く、知らないと答えられない問題も多くあり知識不足だと足切りになる可能性も多いため、しっかり対策をとる必要があります。

    論点を思い出し語句や言い回しを暗記する

    公認会計士法や倫理規則等からの出題が多く、論文式試験で勉強した内容もかなり多いですが、単語の記述や記号問題も出題されるため専門用語の暗記も念頭に置きながらしっかりと対策をすることをお勧めします。また、講義回数も少ないので予備校の講義はしっかり受講し、模試の内容についても出題されたものについてはしっかり暗記することをお勧めします。

    06. 最後に

    2回にわたって修了考査の勉強方法を紹介しました。修了考査という名前の通り、公認会計士に必要とされる幅広い能力が網羅的に出題される試験であり、膨大な学習量が必要になります。

    公認会計士試験の最後の登竜門である修了考査合格を果たすとキャリアの幅がぐっと広がります。監査法人や税理士法人のプロフェッショナルファームはもちろん、ベンチャー企業でのCFOや投資銀行やPEファンド等の金融系での活躍まで幅広いキャリアが待っています。皆様が修了考査を乗り越えて様々な業界でご活躍されることを願っています。
    第3弾として修了考査合格後のキャリアについてもまとめましたのでぜひそちらも併せてご覧ください。

    この記事を書いた人

    「人と繋がり、可能性を広げる場」CPASSを運営するスタッフ達です。CPASSメンバーは、20~40代まで幅広い年齢層の公認会計士達を中心に、キャリア支援のプロフェッショナルなど様々なバックグランドを持つメンバー達で構成されています。「絶対に会計人達の役に立つ情報発信する」、「CPASSにしか出せない価値を提供する」をミッションとして集まった熱いメンバー達です。CPASS独自の視点からの見解を是非、楽しんでください。

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