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公開日:2023/04/13

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【学生非常勤企画】監査法人学生非常勤のリアル~2022年度版~

CPASS運営スタッフの記事

    イントロダクション

    学生の皆さんこんにちは!CPASSスタッフです。

    今回は学生非常勤企画と題して、2022年CPAチューターで、学生非常勤としても勤務していた方を対象に、リアルな働き方をアンケートしました。

    また、筆者自身も学生非常勤として半年間勤務しておりましたので、その経験を元に個人的な感想も記載させていただいております。

    学生非常勤は試験合格後の過ごし方のひとつになると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!

    前回2021年版の記事はこちら

    01. 学生非常勤とは

    学生非常勤とは、大学や大学院の在学中に公認会計士試験論文式試験に合格した方が、学生生活と並行して監査法人で働くこともできる制度です。主に大学3年生や大学院1年生で合格した方々が、学生非常勤として監査法人で勤務しています。

    学生非常勤は、一足先に社会人としての基礎を学ぶことができたり、監査の一巡を早めに理解することができたりと、様々なメリットがあります。

    02. アサイン回数

    監査法人において、アサインとは監査チームの配属割り当てを意味します。学生非常勤に限定すれば、アルバイトのシフトと同様の意味で使われる単語です。
    2021年合格の学生非常勤の皆さんは、週何日くらいアサインが入っていたのでしょうか?

    ——アサインの回数は?

    この結果を見ると、週2〜3日程度を学生非常勤の業務に充てていたことが分かります。

    学生非常勤であっても、正社員の方と同様に法人の始業から終業まで勤務することになります。学生非常勤が入っている日は基本的に大学の授業には参加できないため、学業との両立を考えて週2〜3日程度の勤務にとどめている方が多いのではないでしょうか。

    また、繁忙期だけ多めに勤務したり、前期までは大学の単位取得に専念しつつ後期は学生非常勤でしっかり働いたりと、多種多様な働き方も見受けられました。

    以下、自由回答欄からの抜粋です。

    ・2、3月の研修を受けて以降、あまり学生非常勤には入っていませんでしたが、10月〜12月は週4〜5回程度入っていました。

    ・3か月ごとにアサイン希望を聞かれるので、タイミングごとにアサイン数は変えていました。忙しい時は全く入らないし、暇な時は週5など!

    (筆者補足:法人によって差はありますが、アサイン希望は3か月ごとに聞かれることが多いです。)

    03. 学生非常勤で従事した業務 

    学生非常勤の皆さんはどのような業務に従事していたのでしょうか。

    アンケート結果の前に、まずは学生非常勤に任されることが多い業務についておさらいしてみましょう。

    ・分析的手続

    分析的手続とは、財務情報を評価するために、財務データ間または財務データと非財務データの間にあると見られる関係を推定し、分析・検討する手続のことを言います。学生非常勤では、例えば勘定科目や取引ごとに数値の増減を分析しコメントを付ける作業を行います。

    ・実証手続

    実証手続とは、勘定科目における重要な虚偽記載を発見する目的で行う検証のことをいいます。学生非常勤に任せられる実証手続としては、①自らサンプルを抽出し、そのサンプルに対して証憑突合を行う手続や、②預金や売掛金の残高と確認状との突合や、残高差異の調整、③確認状の回収状況のコントロールや、確認状に不備があった場合の再発送などが挙げられます。

    ・実査・立会

    実査とは、現金や受取手形などの実在性を確かめるために、現物を実際に目で見て確認する手続のことを言います。また、立会(棚卸立会)とは、期末の実地棚卸に監査人が立ち会い、棚卸の手順や数量を確認する手続のことを言います。

    実査・立会は実証手続の一手法ですが、クライアント先に出向いて行う点に特殊性があります。

    ・内部統制監査

    内部統制監査では、経営者が作成した内部統制の評価の結果(内部統制報告書)について検討します。内部統制監査の一環として、母集団の中からサンプルを抽出し、それについて検討することがあります。内部統制監査において、学生非常勤はサンプル抽出や抽出されたサンプルの検討を任されることが多いです。また、その過程でクライアントへのヒアリングを行うこともあります。

    ・開示書類のチェック

    開示書類のチェックとは、有価証券報告書や四半期報告書などの開示書類や計算書類などに誤りがないか確認する作業のことを言います。学生非常勤は、クライアントの開示書類を確認し、誤字や形式面のミスにコメントを付ける作業を行います。

    ・調書の整理

    先輩方が監査手続をスムーズに行えるよう、監査調書の形式などを整理しておくのも学生非常勤の役割のひとつです。

    ・リクルート業務

    学生非常勤は、就活生と年齢・立場ともに近い位置にいるため、リクルート業務でも活躍することができます。

    では、学生非常勤の皆さんは、どのような業務に従事することが多かったのでしょうか?

    ——学生非常勤ではどんな業務を任されていましたか?

    今回のアンケートでは、このような結果になりました。

    やはり証憑突合などの実証手続が最も多く、分析的手続や内部統制監査などに従事した方も多くいらっしゃいました。

    また、リクルート業務やクライアント先での実査・立会など、より深く法人の業務に関与している方もいらっしゃいました。

    筆者はここに挙げられている業務のうち、リクルート業務と実査・立会以外は全て経験させていただきました。監査手続の一巡をなんとなく理解することができ、非常に良い経験になりました!

    04. 学生非常勤を通じて得たもの 

    ——学生非常勤を通じて得たものは何ですか?

    こちらの回答で最も多かったのはお金です。

    一般的なアルバイトと比較すると、学生非常勤はかなり高いお給料をいただけるため、とても贅沢な学生生活を送れるのではないでしょうか。斯く言う私も、たくさん旅行に行ったり美味しいものを食べたりと、学生非常勤のお給料で大学生活をエンジョイしていました(笑)。

    また、タスク管理力マナーという回答も多くみられました。

    たとえ学生非常勤といえど、複数の会社にアサインされたりクライアント対応をしたりと、一社会人としての能力が問われる場面は多くあります。そのような環境に早いうちから身を置くことで、職業的専門家としての素養が養われるのではないでしょうか。

    以下、自由回答欄からの抜粋です。

    ・1番のモチベーションはお金だった。

    ・先輩からもクライアントからも社会人1年目として扱われたため、社会人としてのタスク管理力や質問力を身に着けようと必死だった。

    05. 学生非常勤のメリット

    ——学生非常勤のメリットは何だと思いますか?

    こちらの回答で最も多かったのは「社会人としての経験やマナーを早いうちから積めること」です。

    学生でありながら、一足先に社会人のキャリアをスタートさせることができるのは大きな魅力だと感じました。一方で、学生気分が抜けないままでは監査チームの先輩方に迷惑をかけてしまうため、学生から社会人への意識改革は絶対に必要だと思います。

    また、「法人やチームの雰囲気を早くから体感できること」「チームのメンバーと仲良くなれること」も多く挙げられています。

    常勤としてフルタイムで働き始める前から、法人の組織風土を体感し、監査チームの皆さんとコミュニケーションすることができるのも、学生非常勤ならではの魅力だと思います。

    以下、自由回答欄からの抜粋です。

    ・学生非常勤は監査チームに余裕がある時(閑散期)にチームにジョインできるため、先輩方とのコミュニケーションが取りやすい。

    ・学生非常勤は人数が少ないため、先輩方に覚えていただきやすい。

    ・単発のアサインが多く、様々なチームに参加してチームごとの雰囲気を知ることができた。

    06. 学生非常勤のデメリット

    こちらの回答で最も多かったのは「学生生活の一部を失ってしまうこと」でした。

    前述の通り、学生非常勤ではアサイン日は常勤の方と同様の働き方なので、半分社会人のような生活を送ることになります。

    個人的には働く時と遊ぶ時とでメリハリをつけられて楽しかったのですが、やはり皆さん学生生活を失っているという感覚はあるのかもしれませんね。価値観は人それぞれですが、一生に一度しかない「人生の夏休み」をどのように過ごすか、一度立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。

    また、「チームの人とコミュニケーションが取り辛いこと」をデメリットに挙げていた方も多くいました。

    学生非常勤は年度の途中からチームにジョインする場合が多いため、人間関係の構築が少し難しいという面もあるのかもしれません。

    以下、自由回答欄からの抜粋です。

    ・リモートよりも出社した方がチームの方と仲良くなれて楽しかった。

    ・平日に遊ぶことが減ってしまった。

    ・(アサインの申請が3か月ごとのため)自由にアサイン日を変更できなかったのが辛かった。

    07. これから学生非常勤として働く方へメッセージ

    ——学生合格者に学生非常勤を勧めますか?

    こちらの回答は「はい」が多数派となりました。

    社会人としてのマナーや監査の全体像、法人の雰囲気を早いうちに知ることができるという点で、学生非常勤を勧める方が多いようです。

    以下、自由回答欄より、学生合格者へのメッセージです。

    (肯定派)

    常勤切り替えの前に監査法人の雰囲気を感じておきたいのであれば、学生非常勤をやってもいいかもしれません。まずは、学生非常勤経験者に色々話を聞いてみることをおすすめします!

    ・学生非常勤には色々なメリットがあり、①有給がもらえる②年次が2年目になる(※)(基本給アップ!)③研修時の給与が時給でもらえる、などがあります。ぜひ参考にしてください!
    (※学生非常勤でも昇格要件を満たせば次の年に年次が上がる法人もあります)

    ・一通りの監査手続を理解したり、チームの方との人間関係を築いたりするのは、早ければ早いほど良いと思うのでおすすめです!

    (否定派)

    ・仕事は社会人になってからいくらでもできるというのは日々感じるので、学生非常勤をやらずに学生生活を楽しむのもとてもいいと思います!

    ・社会人としてのマナーを学びたいのであれば、学生非常勤ではなくインターンという選択肢もあると思います!悔いのない選択ができるよう応援しています!

    (アドバイス)

    ・学生非常勤をやるならば、1年を通して、コンスタントにアサインを入れて働いた方がいいと思います!

    ・学生気分では学生非常勤は務まらないので、学生非常勤をやるなら社会人という意識を持つのがいいと思います!

    いかがだったでしょうか。

    様々なアンケートを通じて、学生非常勤のリアルな声をお届けいたしました。

    大学・大学院生活は一生に一度しかないものですので、どのように過ごすかをしっかりご自身で考えて、悔いのない選択をしていただければと思います。

    こちらの記事が、皆さんの選択の一助となれば幸いです!

    この記事を書いた人

    「人と繋がり、可能性を広げる場」CPASSを運営するスタッフ達です。CPASSメンバーは、20~40代まで幅広い年齢層の公認会計士達を中心に、キャリア支援のプロフェッショナルなど様々なバックグランドを持つメンバー達で構成されています。「絶対に会計人達の役に立つ情報発信する」、「CPASSにしか出せない価値を提供する」をミッションとして集まった熱いメンバー達です。CPASS独自の視点からの見解を是非、楽しんでください。

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