公開日:2024/06/05
スタートアップ関連書籍の紹介
こんにちは。
本日はスタートアップへの転職に興味を持っている方向けに、何冊か書籍を紹介できればと考えています。
紹介させていただく書籍は、大きく
① スタートアップにおける実態をイメージするための書籍
② スタートアップで働くことになった際に必要となり得る知識を身につけるための書籍
の2つに分けられます。
後者に関しては、論理的思考力に関する書籍など、一部スタートアップと直接的には関係のない書籍も紹介させていただいていますが、その点はご了承いただけますと幸いです。
① スタートアップにおける実態をイメージするための書籍
まずは①について紹介できればと思います。
私もそうでしたが、仮にスタートアップへの転職希望をお持ちだとしても、なかなか意思決定の参考になるような書籍が見つけられず、苦労されている方もいらっしゃるのではないかと思います。
個人的には、スタートアップでの勤務について詳しく知るためには、実際にスタートアップにて働かれている方に、どのような業務をされているか?スタートアップにて苦労した具体的なエピソードは何か?など、具体的にお話を伺うのが一番良い方法であると考えています。
仮にスタートアップに勤務している知り合いがいないとしても、以前も下記記事にて少し紹介しましたが、
スタートアップへの転職を意識しはじめたきっかけ |CPASS(シーパス) (cpass-net.jp)
エージェントやWantedly経由で気になるスタートアップを見つけ、カジュアル面談することをおすすめします。
一方で直近読んだ書籍で、スタートアップの大変さややりがいが非常に良くまとめられている書籍がありましたので紹介させていただきます。
・経営中毒
経営中毒 社長はつらい、だから楽しい | 徳谷 智史 | 経営学 | Kindleストア | Amazon
全366ページと少々分厚いですが、専門書というよりは著者自身の体験を記載しているような書籍になっていますので、サクサク読める内容です。
著者もエッグフォワード株式会社創業者の方でしてご自身も起業されていますし、何よりコンサルティングを通じて数多くのスタートアップを見てきた方ですので、具体的なエピソードに基づき説得力のある内容になっています。
組織、事業、財務に分けてスタートアップあるあるな問題(資金繰りの問題、組織づくりの問題など)について書かれており、スタートアップ特有の大変さをイメージするには非常に良い書籍だと感じました。
先日の記事でもスタートアップは突発的に問題が起こり得ると記載しましたが、
スタートアップで会計士が携わる業務内容について |CPASS(シーパス) (cpass-net.jp)
当該突発的な問題の内容のうち、典型的なものが非常に上手くまとめられている印象です。
・IPO物語 とあるベンチャー企業の上場までの745日航海記
上場準備はスタートアップに転職した場合必ずと言ってもよいほど隣り合わせになってきますが、監査法人にてIPO部門の所属の経験がない限りはなかなかイメージが掴めない部分も多いかと思います(監査法人勤務だとしても、証券会社対応など一部イメージが掴めない部分もある理解です)。
上記書籍は、とある架空のスタートアップが上場を目指す意思決定をしてから実際に上場するまでを物語形式で紹介していまして、当該紹介と合わせて主要論点の説明も記載がございますので、上場準備って具体的には何をするの?
という状態の方にはおすすめの書籍となっています。
一般的に上場準備は大変なことだらけと言われますが、当書籍を読まれることによって、大変といわれる所以が少しはイメージできるかと思います。
以下②(スタートアップで働くことになった際に必要となり得る知識を身につけるための書籍)について紹介できればと考えています。
下記記事にも記載しましたが、
スタートアップで会計士が携わる業務内容について |CPASS(シーパス) (cpass-net.jp)
会計士がスタートアップへ転職した際に最も関与する可能性が高い業務内容は経理業務と考えていますが、スタートアップ経理業務に関する書籍については、私もしっかり読んだことはありませんが、下記をおすすめいたします。
②スタートアップにおける実態をイメージするための書籍
・図解 スタートアップ企業の経理入門
Amazon.co.jp: 図解 スタートアップ企業の経理入門 : 新井 啓史: 本
一部会計士にとっては初歩的と感じる内容も含まれておりますが、スタートアップにおける経理業務について不安を感じていらっしゃる方は、具体的なイメージをつけていく観点では読まれてみても良いかもしれません。
・起業のファイナンス
Amazon.co.jp: 起業のファイナンス増補改訂版 : 磯崎 哲也: 本
こちらの書籍は、スタートアップ関連書籍といえば真っ先に挙げられるものですので、まずは読まれてみた方が良いと考えています。
具体的な内容に関しては下記の通りとなっていまして
____________________________________________
序章:なぜ今「ベンチャー」なのか?
第1章:ベンチャーファイナンスの全体像
第2章:会社の始め方
第3章:事業計画の作り方
第4章:企業価値とは何か?
第5章:ストックオプションを活用する
第6章:資本政策の作り方
第7章:投資契約と投資家との交渉
第8章:優先株式のすすめ
第9章:ベンチャーのコーポレートガバナンス
____________________________________________
会社の始め方から事業計画、資本政策など、仮に起業することになった際に必要となる知識について満遍なく触れられています。
当書籍に記載されている内容の全てがスタートアップへ入社した際に必要になるか断言はできませんが、少なくともスタートアップ会計士として基礎知識があった方が良い内容ばかりですので、まずはお読みいただくことをおすすめします。
それぞれの内容について、非常に分かりやすい言葉で記載されていますので、日頃あまり専門書を読まれない方でも読みやすい内容になっています。
なお、当書籍におけるエクイティ・ファイナンスに関する内容の応用版について記載されているのが下記書籍です。
・起業のエクイティ・ファイナンス
増補改訂版 起業のエクイティ・ファイナンス | 磯崎 哲也 |本 | 通販 | Amazon
ファイナンス寄りのキャリアを歩んでいかれたい方は是非ご一読いただきたいと考えていますが、冒頭にも記載しました通り、内容自体は比較的応用編ですので、まずは概要のみ理解し、実際に実務に携わりそうになったタイミングでしっかり読みこむ形でも問題はないと考えています。
なお、資本政策関連ですと、下記もおすすめさせていただきます。
・実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦
実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦 | 山岡 佑 |本 | 通販 | Amazon
こちらの書籍は、実際にIPOまでたどり着いた会社6社について、創業からIPOまでの資本取引を1件1件解説したものになっています。
資本政策はやり直しがきかない非常に重要なものであるにもかかわらず、専門知識が求められるものですので、仮に資本政策に強くなると、社内外問わず重宝される人材になれると考えています。
当書籍は実際の著名な会社を基に具体例にしつつ執筆された書籍となっていますので、そういった観点ではイメージがつきやすいものになっています。ただ難易度自体はある程度高いので、上記にて紹介させていただいた、起業のエクイティ・ファイナンスを辞書的な位置付けで使用しつつ読み進めていかれてもよいかもしれません。
毛色は上記と少し変わってきますが、スタートアップの事業成長には必ずといってもいいほどマーケティングが関連してきますので、事業寄りのポジションを目指される方は、マーケティングの基礎知識をインプットしておいて損はないと考えます。
過去の記事と内容は重複してしまいますが、マーケティング入門書としては下記2冊をおすすめいたします。
・マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいか分からない人へ 西口一希 著
マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ | 西口 一希 |本 | 通販 | Amazon
なお、そもそもマーケティングとは何かピンとこない方もいらっしゃると思いますが、上記書籍には、「お客さまのニーズを洞察し、お客さまが価値を見出すプロダクトを生み出すこと。さらに、その価値を高め続けて継続的な収益を生み出し、その収益を再投資して新たな価値をつくり続けること」と定義されています。具体的には、様々なデータを基に「どのような商品(What)」を「どのようなお客様(Who)」に「どのような方法(How)」で、販売していくかの戦略を考えていきます。
私も当書籍を読んで、マーケティングに対する基礎的な理解を深めました。
・USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 森岡毅 著
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 | 森岡 毅 |本 | 通販 | Amazon
当書籍の著者は、USJや西武園ゆうえんちの再建を手掛け、直近はお台場のイマーシブ・フォート東京や、沖縄に建設予定のテーマパークであるジャングリアを手掛けている株式会社刀の代表取締役CEOの森岡さんなので、読んでみると面白いかもしれません。
こちらの記事をお読みいただいている方の中には、スタートアップへの転職も興味あるが、ベンチャーキャピタルへの転職にも興味をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そのような方向けに、下記書籍を紹介させていただきます。
・ベンチャーキャピタルの実務
ベンチャーキャピタルの実務 | グロービス・キャピタル・パートナーズ, 福島 智史 |本 | 通販 | Amazon
当書籍は、国内最大級の独立系ベンチャーキャピタルである、グロービス・キャピタル・パートナーズの方々が執筆された書籍でして、内容は下記の通りです。
____________________________________________
はじめに
Prologue ベンチャーキャピタルとは
Chapter1 ソーシング
Chapter2 投資検討
Chapter3 経営支援
Chapter4 エグジット
Chapter5 ファンドマネジメント
Chapter6 ファンド管理
Chapter7 ファンドレイズ
Chapter8 新しい潮流
Chapter9 ベンチャーキャピタリスト十二訓
____________________________________________
ベンチャーキャピタルにおける実務について、一般的に業務内容として紹介されることの多いソーシング・投資検討・経営支援だけでなく、
エグジットやファンドマネジメントについても丁寧に記載されているため、ベンチャーキャピタルにおける業務内容をイメージされたい方にとっては最もおすすめの書籍となっています。
また、とのある日のメンバーの具体的なスケジュール等も記載されていますので、よりベンチャーキャピタルでの働き方をイメージするには持ってこいの書籍となっています。
経営企画やマーケティングなど、事業系のポジションを検討されている方は、論理的思考力系の書籍についても是非読まれた方が良いかなと考えています。
事業系のポジションに従事していると、答えのない課題(とある商品はお客様にどのような価値を提供でき、どのような方からニーズがあるか?等)について考える機会が多々あります。
会計監査に従事していると、例えばですが2つの会計処理からより適切なものを考えるなど、ある程度答えの方向性が見えることも多いかと思いますが、実際の事業においてはそのようにはいきません。
答えのない課題を解決していく際に、問題解決のお作法を知っているのと知らないのでは大きな差となってきますので(かくいう私も、戦略コンサルティングファーム等での経験があるわけではないので、まだまだ修行中です)、下記の書籍をお読みいただいた上で、実際の業務で使えるよう実践を積んでいくことをおすすめします。
・世界一やさしい問題解決の授業
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく | 渡辺 健介, matsu(マツモト ナオコ) |本 | 通販 | Amazon
こちらは絵本形式で書かれていることもあり、名前の通り非常に読みやすい書籍となっています。読みやすいにもかかわらず、マッキンゼー出身の方が執筆されていますので、内容自体も非常に信頼できるものとなっています。
・仮説思考
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 | 内田 和成 |本 | 通販 | Amazon
・論点思考
ボストンコンサルティンググループで長らく日本代表を務められていた、内田さんの書籍でして、上記2冊とも非常に有名な書籍です。
一般的に仮説思考は、問題解決をいかに効率よく効果的に解くかについての思考法、論点思考は答えるべき問いを見つけるための思考法と言われますが、言わずもがなどちらも大事ですので、是非一度読まれてみると良いかと思います。
今回の記事では、スタートアップ関連の書籍を何冊か紹介させていただきました。
スタートアップへの転職について悩まれている方は、まずは冒頭2冊を読まれてみると良いと考えています。3冊目以降は、私個人のスタートアップでの経験を基に何冊か書籍を紹介させていただきましたが、実際にスタートアップにて働かれている方も含め、何かしらの参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
この記事を書いた人
慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士試験に合格後、2017年2月より有限責任監査法人トーマツへ入所し、会計監査業務、内部統制監査業務、定期採用関連業務に従事。その後2020年7月より、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社にて企業価値評価業務や会計監査支援業務、財務分析業務等に従事。
2022年4月より株式会社Clearにて経営企画業務、その他コーポレート業務全般(経理、労務、財務、法務)に従事。
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