公開日:2021/05/28
20代で上場企業取締役!CFOにこだわらない小出孝雄(株式会社マイネット取締役)のキャリア!
株式会社マイネットの取締役として活躍している小出孝雄さん。小出さんのこれまでのキャリアの軌跡と今後の展望、会計士という資格を取って良かったことについてお話しいただきました!
小出孝雄さんのプロフィール
小出 孝雄
株式会社マイネット 取締役
1992年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
大学在学中3年次に公認会計士試験合格。複数社でのインターンを経て、大学卒業後、有限責任監査法人トーマツにて、会計監査やIPO支援業務に従事。
その後、月間7,000万PVのキュレーションメディア運営のカウモ株式会社に経営企画・管理の責任者として参画。
その後、フリーランスでのスタートアップへの資金調達、経営企画支援を経て、2017年マイネット(一部上場:3928)入社。投資・M&A・アライアンスの推進及び戦略策定・事業計画策定・KPI設計等の経営戦略業務を牽引。
2019年3月マイネット・ストラテジックパートナーズ取締役に就任。
2020年3月27歳でマイネット取締役に就任。
小出孝雄さんの略歴
2013年: 公認会計士試験に合格。
2015年: 有限責任監査法人トーマツに入社。
2016年: カウモ株式会社に入社。
2017年: 株式会社マイネットに入社。
2019年: 株式会社マイネット・ストラテジックパートナーズ取締役に就任。
2020年: 株式会社マイネット取締役に就任。
01. キャリアの変遷、展望
ーー論文式試験合格後から社会人になるまではどのように過ごされていたのですか?
新卒で監査法人に入る予定だったので、監査法人ではできない経験をしたいと思い、ベンチャー支援をしているデロイトトーマツベンチャーサポートでインターンをしていました。PowerPointやExcelにベンチャーの情報をまとめる業務や、ベンチャー企業のプレゼンテーションイベントである「Morning Pitch」の運営をやっていました。「Morning Pitch」では、起業家の話を生で聞けたので、とても良い経験になったと思っています。
ベンチャーの方々が、社会的価値を作りより良い未来を作ることを目標に、とても楽しそうにしていて、ベンチャーやスタートアップにより興味が湧きました。
ーー監査法人時代の業務はどのようなものでしたか?
トーマツではトータルサービス事業部で会計監査業務やIPO支援業務に従事していました。その傍ら、当時からスタートアップの事業に携わりたいと思っていたので、平日夜や土日に無償でスタートアップのお手伝いをしていました。立ち上げたばかりのスタートアップで、集客のためのメディア構築だったり、メディアに載せる記事を書いたりしていました。
ーー1年3カ月で転職を決断した経緯を教えてください。
公認会計士になっていなくても、会計士試験に合格していれば問題ないと思い、修了考査に合格する前でしたが、スタートアップに飛び込んでみることにしました。その決断に恐れはなかったのですが、さすがに親からの反対はありましたね。(笑)
また、働く時間というのは人生において大きな割合を占めていますし、20代でどれだけ成長できるかが今後の長いキャリアで重要だと思っていて、身が入っていないことをやっても学習速度は上がらないので、自分が一番やりたいことをやろうと思い、決断しました。監査法人は悪いところではなかったのですが、自分の興味がベンチャーやスタートアップに向いてしまっていました。
ーー転職先のカウモではどのような業務をしていたのですか?
カウモでは、上場準備や計数管理、事業計画作成、投資家向け資料作成、月次報告資料作成を主にやっていました。監査法人選定、ショートレビュー対応、資金調達についても自分が中心になって進めていましたね。
トーマツでの業務やスタートアップのお手伝いで得た経験をフックにして、ゼロから学びながら取り組んでいきました。
ーーその後フリーランスを経て、マイネットに入社した経緯を教えてください。
フリーランスの時には、サイバーエージェントとスタートアップ2社から仕事を受注していました。サイバーエージェントでは子会社の月次決算の締め作業、スタートアップ2社では資金調達や経営管理体制の仕組み作りを行っていました。
お金はしっかりもらえますし、クライアントから感謝されるのでやりがいはあったのですが、新たなスキルを増やしづらい環境ではあると感じていたんです。
当時24歳だったのですが、その時点では既存のスキルで勝負していくよりも、スキルのタグを増やして、いろいろな分野で戦えるようにするフェーズだと思い、「フロント業務ができる」というスキルのタグが欲しくて、マイネットにジョインしました。
ファームも候補に挙がりましたが、スタートアップとフリーランスの働き方を経験した後に、ファームの働き方に戻すのはきついと思い、結果的にファームと同じぐらい優秀な方がいる事業会社を選択しました。
ーーマイネットではどのような業務に携わっていたのですか?
入社当初はゲームソフトのM&Aをしていました。本業の成長に繋がる業務に携わることで、自分が一つ一つやっている案件がどれだけ企業価値や売上に繋がっていくのかを肌で感じながら、各クライアントと協議して進めていました。
1年半経ったあたりで、ゲームソフトのM&Aと並行して、カウモやフリーランスで得たスタートアップのネットワーク経由で投資やM&Aの案件を紹介してもらい、それを会社で行っていきました。徐々にこちらにシフトし、ゲーム以外への投資とM&Aの部隊を立ち上げることになり、そちらの業務に9ヵ月ほど携わっていました。
投資やM&Aの業務は楽しかったのですが、本業が赤字になってきてしまい、管理体制の構築や事業再生にも携わることになりました。少人数で事業再生のプロジェクトを進め、大胆なコストカットや利益率改善、管理会計の仕組み作り、業務フローの再構築、全社的なリストラクチャリング、ゲームタイトルのポートフォリオの入れ替えに取り組んでいきました。
それと並行して自分主導で大型M&Aも進めていたので、とてもハードでしたが、なんとか成果を出すことができ、それが評価された影響なのかはわからないですが、2020年3月に取締役に就任することになりました。
ーー今後の展開について構想を教えてください。
マイネットは2019年の営業利益がマイナス7億円だったのですが、2020年の営業利益は11億円となり、利益率の改善はできました。
今後は売上のさらなる成長と時価総額の向上に取り組んでいきたいと思っています。投資家の方にどのような会社なのかをしっかり知ってもらい、良い会社だと評価してもらえるような状態にしていきたいと思っています。
02. 仕事する上で大事にしていること(仕事論)
ーー仕事する上で大事にしていることを教えてください。
まず、1つ目が、「価値に対するインパクトベースで自分のリソース配分をする」です。
常に全社の目線で見て、最終成果が大きいところにリソースを割くことが大事だと思っています。今自分がやっていることがどれぐらいの価値を出していくのかを考えながら取り組み、高い価値がある方に全力投球することを意識しています。
次に、2つ目が、「インパクトが大きな仕事に300点の成果を出しに行く」です。
常に100点を取るより、普段は80点で、インパクトが大きな仕事に300点を出す方が社会貢献としても大きいですし、会社への影響も大きいと思っています。
基本的に100点を取ってインパクトが大きな仕事で300点を取るという形が取れるのならいいのですが、人間のリソースやエナジーには限界があり、現実的には難しいので、メリハリが大事だと思っています。
普段80点を取るという点も大事です。80点を取っていないと、300点の仕事が回ってこなくて、機会をもらえないからです。
次に、3つ目が、「人に向かわず、事に向かう」です。
改革を起こすときには、既得権益を脅かすことになるので、不利益を被る人は必ずいると思いますが、その「人」のことだけを見ていたら、何事も進まないと思っています。「事」を見て、それが企業価値、社会的価値、本質的価値が出るかどうかで考えるようにしています。
「事」を達成するために、「人」に向いてしっかりコミュニケーションを取ることは大事だと思いますが、「人」の利益最大化から始めてしまうと、組織としてやっていることが良くない方向に行ってしまうので、まずは「事」から入るようにしないといけないと思っています。
最後に、4つ目が、「想像力、地力、投下時間の掛け算を意識する」です。
想像力とは、ゼロベースで「これがあったらいいよね」とか、「前提よりもこっちの方がいいのではないか」と考えられる力のことを指しています。
想像力を意識しないまま、自分の地力を鍛えて時間を投下して成果を出すというような形になりがちなのですが、これだと時間が無駄に多くかかってしまいますし、成果が最大化されないと思っています。
03. 会計士という資格を取って良かったこと
ーー会計士という資格を取って良かったことを教えてください。
まず、1つ目が、「会計をフックにいろいろなチャレンジができる」です。
新たな場所に行ったときに、会計知識はあるので、一定の信頼は得られますし、その信頼があるからこそ新しいことにチャレンジする機会も多くもらえると思っています。
また、会計知識はいろいろな分野に紐づいているため、他の分野での成果も出しやすいと実感しています。
次に、2つ目が、「心のセーフティネットを持てる」です。
会計士に合格しているだけで、失敗しても大丈夫という気持ちになれます。いざとなったら、フリーランスもできますし、監査法人に戻ることもできますので、メンタル面での大きな支えになっていると思います。
最後に、3つ目が、「営業利益とキャッシュフローの差が直感でわかる」です。
営業利益とキャッシュフローの差は一つ一つ緻密に計算していかないとわからないのですが、会計士だと肌感覚で、「このタイミングでキャッシュが出ていくな」とか、「キャッシュフローにこういう影響があるから資金調達が必要だな」とかを直感的に考えることができるんです。
そもそも、PLとキャッシュフロー計算書の違いがわかるのも大きいと思います。
小出孝雄さんのTwitterアカウントはこちら
https://twitter.com/takoidet
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