公開日:2024/05/11
荒堀敬子会計事務所 荒堀敬子
Q:これまでのキャリアと現在のお仕事について教えてください!
京都の大学に通っていましたが、大学3年後期に休学し東京のスタートアップでインターンシップを経験しました。そこで、同世代で既に高い専門性を持った方々に出会い、自分自身も何かしら武器を身につけなければ社会の荒波で生きていけないと実感しました。父が会計士だったことや、当時所属していた学生団体で財務諸表を作成していて、事業の内容が数値に現れる点に魅力を感じ会計スキルを伸ばそうと決めました。大学4年生から会計士を目指し、大学卒業1年後に合格、大手監査法人に入所しました。
3次試験(現・修了考査)が終わったタイミングで、かねて興味のあったデザイン思考を学ぶために京都造形芸術大学に2年次編入し3年間通い学士を取得しました。並行して、コンストラクション・マネジメント事業を営む事業会社に中途入所し、主にプロジェクトマネジメントを担当しました。20代後半で転職した当初は顧客や取引先に対するメールの丁寧な言い回し方でダメ出しされる等苦戦した場面もありましたが、最終的には数十人で構成されるプロジェクトを任されるまでに成長しました。
ただ、監査法人時代と比べて年収が下がった中で大学の費用も捻出しなければならなかったこと、長時間勤務と大学の両立というハードな日々が続き、一度人間らしい生活に戻ろうと思い(笑)、会社を退職し再度監査法人に入所しました。その時の同僚と結婚し、夫の留学に付き添う事になり、結婚・留学・第1子妊娠とライフイベントが重なったので、実質1年程で監査法人は退所します。その後、第1子を保育園に預けられるようになったタイミングで私自身も海外進出支援を専門とするコンサルティング会社に入社したものの、海外との取次業務が中心で自身が主体的に関われるタイプの業務ではなかったこともあり数ヶ月で退社しました。
そこから転職エージェント等にも相談しながら次の就職口を探していた際に、たまたまNewspicsを手掛けるユーザベースが常勤監査役を募集していると知り、手をあげたところ採用されました。初めての常勤監査役という役目に自分に務まるのかという不安もありましたが、毎日会社へ行き、上場準備から海外子会社の往査等(上海・香港・シンガポール・スリランカ等)まで、会社と一緒に成長する覚悟で仕事に取り組みました。当時は内部監査専任者がおらず、内部統制構築が後手に回っている状態だったため、社外の立場からではなく自身が社内に入って内部統制構築のために指導的機能を発揮した方が会社のためになると思い、監査等委員会設置会社への移行を提案・先導し、Assurance and Consulting部として内部監査部門を立ち上げより強固な内部統制の構築に向けて奔走しました。
現在は、数社の非常勤監査役・監査等委員取締役を兼務しています。非常勤役員は、より高度な専門性を持ち、物理的な関与期間が短くとも価値のある発言をすることが期待されていると感じます。社外役員という立場上、会社の事業成長のためにあえて批判的立場から意見する事を職責として捉えていますが、経営陣とは”お互いの景色を交換する”心構えで向き合い、より良い未来を一緒に作っていくマインドで接するようにしています。また、指摘事項を見つけた場合でも、ゴールやネクストステップが不明確な指摘は不安だけをあおることになりお互いにとって建設的な話し合いとならないと感じているので、あるべき姿は何か、何が深層原因で改善してほしい事項は何かを能動的にファクトを探りにいったうえで、具体的な改善提案ができるように心掛けています。
Q:お仕事のモチベーション、やりがいを教えてください!
スタートアップ企業で働く魅力として、自分の裁量で変えていける部分が多く、その結果が比較的短期で現れやすい点があると思います。そうした企業の監査役の仕事も、内部統制をこれから構築するステータスにあるため、会社の事業成長のための基盤づくりとしてやれることの幅が広く、モチベーションにつながっていると感じます。監査法人時代のJ-SOXでは財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制を重点的に見ていた一方で、監査役になってからは労務関連の法令や個人情報保護法等、より幅広い部分を見ていく必要があり、業界の書籍を購入し業務上必要な知識を勉強しました。
また、会計のバックグラウンドを保有していることが、監査役選任のポイントになっていることもあり、会計士の資格を取って良かったと感じています。
Q:スキルアップのためにしていることを教えてください!
人として信頼されるために自身の考え方に軸を持つことが重要なので、最近は哲学や社会学・歴史といった人文系の書籍を読むことが多いです。日々の業務の中で、事業や対峙している人に愛情を持ち、少し違う角度から目の前のことを捉えなおすような質問をすることで、事業推進側の方々に新しい視点をもってもらいたいと思っています。
また、年齢を重ねてもエネルギーレベルを高く保持することが、物理的・精神的な余裕を生み出すと思うので、体調管理のためにジムに行ったりサプリメントを取ったりしています。
ただ、私自身はスキルアップ(Input)と仕事(Output)の時間を切り替えている意識は薄く、プライベートの時間でもふと仕事に関するアイデアをもらったりするので、日々できることを積み重ねている感覚です。
Q:自分へのご褒美は何ですか?
アニマルセラピーの効果があると知り、数年前から長女と一緒に乗馬をたしなんでいて、スキルがあがったときに乗馬グッズを購入することをご褒美にしています。ちなみに、次のご褒美は鞍です(笑)。
Q:仕事とプライベートそれぞれ目標や夢を教えてください!
仕事面においては、今後も企業が上場後も成長を続けられるように会社の基盤整備を支援していきたいと思っています。昔は”こういう仕事””こういうポジション”と明確な目標を持っていましたが、最近は流れに身を任せ、ご縁があったところを大事にするというスタイルに変わりつつあります。そのために自分にできること、得意なことを周囲の人に伝える等、発信していく姿勢は大事だとは思います。
プライベートでは、2児の母でもあるので子供の自立を願っています。私自身が仕事をする上で意識している部分と重なりますが、以下の3つを守れる人になって欲しいと思います。
1.優しい想像力を働かせる(他人の気持ちが分かる人になってほしい)
2.チャレンジする(やるならとことんやる)
3.自身への信頼を高める(自分で決めた事を守る)
Q:育休復帰後の働き方の工夫を教えてください!
2人目出産時はグロース市場上場会社(ユーザベース)の常勤監査役をしており、取締役会の出席回数が足りない等でプライム市場上場に差し支えがあったら困るので、臨月に入ったタイミングで出産日別のシミュレーションを3パターン程作成し、どのタイミングであれば誰に何を引継するか共有するようにしていました。結局、オフィスで破水、タクシーで病院に行き、出産後数日で退院し、翌々日からオンラインで取締役会に参加していました。仕事も出産後1ヶ月はリモートでしていましたが、オフィスの近くにあったプライベートの保育園に預けることができたので昼休みに授乳に通いながら勤務しました。社員ではないので、育休は取得していません。
今は上の子が小学校4年生、下の子が6歳になりましたが、子どもが帰宅してから就寝までは、仕事の手を休めて子どもに向き合い一緒に過ごすようにしています。ですが、仕事が終わらない時は、早朝や子どもが寝た後に仕事を再開することも珍しくありません。
それでも、先代の女性たちの努力により、働く女性の地位が上がってきたことを踏まえると小さい子どもがいることを盾にしたくないですし、監査役に任命していただいた以上は覚悟を持って仕事に取り組むことが大事だと思っているので、間接的にでも後に続く女性のために繋がる働き方をしたいと思います。
アドバイスする相手を、「育児と仕事の両立に不安を感じているものの、ご自身のキャリアをあきらめたくない方」という前提を置かせていただくと、自分のありたい姿について何も伝えなければ、パートナー側からすると”何も言わない=無言の同意”と受け取ってしまい、時にネガティブサプライズになってしまうこともあるので、まずは、両立させるというスタンスを周りの方に伝えることが必要だと思います。(例えば、ご両親が近くにいる場合は手伝ってほしい前提で産みたいと伝える、周囲のサポートが享受できる環境下に無い時はコストがかかる旨を伝えておく等)私自身も現在は離婚して地元に戻り実母を頼る事が多いですが、離れていた時は利用できるサービス(自治体のファミリーサポート、病児保育等)や家事を外注にかなり頼ってました。
Favorite
Book:#奴隷の哲学者 エピクテトスの人生の授業
Movie: #ビリーブ 未来への大逆転(米国の女性最高裁判事の半生を描いたもの)
Apparel Brand:#Kayme
Motto:#自分でコントロールできることに集中する
PRIVATE PHOTOS
仕事アイテム
タンブラー:お茶を入れてリフレッシュしてます
付箋:細かいタスク管理
Alexa:時計と音楽を聴くために活用してます。
リラックスアイテム
ふるさと納税でsix-pad foot fit plusをゲットし、足裏をマッサージしてます。
プライベート
乗馬:最近4級を取得したので、倶楽部以外で馬にのる外遊が楽しみです!
キャンプ:得意料理は鶏の丸焼きです!
この記事を書いた人