公開日:2024/09/30
PwC Australia 濱田由有子
Q:これまでのキャリアと現在のお仕事について教えてください!
大学4年次の就活で、PwC Japan有限責任監査法人のグローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)採用(※)で内定を頂いてから会計士の受験勉強をスタートしました。大学3年次にインターンをしていた会社でPwCの当時マネージャーの方と知り合う機会があり、PwCという会社の存在を知りましたが、大学在学中に1年間シンガポールに留学し海外志向だったこともあり、グローバルファームであるPwCのカルチャーに惹かれ、就活当初は、PwCコンサルティング合同会社を志望し内定を頂きました。その後、就活を続ける中でPwC Japan有限責任監査法人の独自プログラムであるGLP採用の存在を知り、選考プロセスに進みました。コンサルと監査法人両方から内定を頂いた上で、キャッチアップ力の速さを武器に提案をしていくコンサルよりも、世界のビジネスの中でユニバーサルな言語である”会計”スキルを身につけ、世界で活躍できる会計士を目指す方が自分のキャリア軸にマッチしていると考え、監査法人にトレーニーとして入所しました。
内定受諾後は、とにかく早く実務に出たい思いが強く、1年合格を目指し勉強に専念し、入所年8月の論文式試験に合格し、同年12月からアソシエイトとして部門配属となりました。
部門配属のタイミングで金融事業部を選択することは決めていました。PwC Japan有限責任監査法人の金融事業部は、「①銀行/証券」「②保険」「③資産運用(ファンド)」の3つに大別できます。実は、当初は「①銀行/証券」の部署に関心があり、トレーニー時代の仮部門配属のタイミングでは第1志望にしていたのですが、働いていらっしゃる方々に惹かれ、結果的に「③資産運用」の部署に配属になりました。
今振り返ると、これも運が味方してくれた結果だと思いますが、この部署に入ることで得られたメリットは大きく2つあります。
1つ目は、成長スピードの早さです。ファンド会社個社毎の財務諸表の規模はそこまで大きくなく、若い年次から監査の計画から完了までのサイクルを1人でまわす機会があり、監査の全体像を比較的早い段階から掴むことができました。
2つ目は、業界の特殊性です。ファンドの世界は、内部統制や規制で特殊な論点が多く、経験を積むほど業界のプロとして重宝されます。私の場合、当初からアドバイザリー業務に関心があり、1年目からアドバイザリー業務にも関与させていただきました。
振り返れば、社会人1〜3年目のアソシエイト時代の稼働時間が最も長く、我ながらよくやってたなという気もしています。この時期は、当時の上司からは、”世のため、人のため”と思って業務に取り組むように言われていたものの、若かったこともあり早く成果をあげて認められたい、早く海外で働いてみたい等、自分のエゴのために仕事をしていた部分もあった気がします。
そんな中、3年目でシニアアソシエイトに昇格し、オーストラリアへ出向が決まった頃から仕事観も徐々に変化しました。年齢的にも20代後半に差し掛かり、”情けは人の為ならず”を心から意識するようになり、相手を慮り、周囲の人にとってハッピーなことをしていると、自分もハッピーになると信じて業務に取り組むようになりました。このようなマインドチェンジによりチームのためを思って行動したことはオーストラリアでも好意的に評価して頂けました。
自分の中でやりたいことの軸がはっきりしているのは大事なことです。一方で、数多ある仕事の中で、自分の一過性の損得勘定で”これはやりたい””これはやりたくない”と主張し、無駄な敵を増やすことほど意味のないことはないと思っています。どんな仕事でも一生懸命に取り組むことによって、相手に一緒に働くとプラスの影響があると思ってもらえれば、結果的に自分の人生の豊かさにもつながると思いますし、そこは日本の「三方よし」の精神を意識して過ごしていました。約3年のオーストラリア出向期間中にマネージャーに昇進し、また、プライベートでも婚約者との出会いがありました。
その後、任期を終え、2022年9月に日本に帰国しました。帰国して数ヶ月は、日本の生活も充実していましたし、今後の自分自身のキャリアを考えても慣れ親しんだメンバーに囲まれた日本で暮らすほうが良いのかもしれないと思いながら過ごしていました。他方、オーストラリア出向中に出会った婚約者とは遠距離恋愛となってしまい、このままずっと遠距離で関係性を続けることは厳しいだろうという思いもありました。そんな中、彼がオーストラリアから日本に遊びに来てくれて久しぶりに再会した時に、”やはりこの人がいいな、この関係を犠牲にしたくはないな”という思いが募り、上司とも様々な選択肢を話し合った結果、PwC Australiaでローカル職員になる決断をしました。
現在は、PwC Australiaで、シニアマネージャーとして、主に以下2つのロールを担っています。
1.金融業の豪州現地企業、グローバル企業、日系企業さんへの監査、保証業務、規制対応アドバイザリー
2.Japan Service Deskにおける、豪州の日系企業向けの事業運営支援
管理職につくことを躊躇なさる女性の方も多いと耳にすることがあります。早くプロモーションすることのいい面と悪い面を語るのはおこがましい部分もありますが、せっかくの機会なので少しだけ触れたいと思います。
まず、メリットとしては、職階が上がると視座がをあげることが求められ、これまで見ていた景色を俯瞰することができます。社内のチームビルディングでも創意工夫の余地が広がりますし、クライアントとの交渉の場面でも頼りにされる機会が増えます。シニアマネージャーとなり、これまで以上に、社内からもビジネスを作る役割を求められるようになっていると感じており、例えば、直近でもサステナビリティの分野でプロポーザルのリクエストを受けたのですが、そのような場面に立ち会うと、ビジネスを作っている感覚を身に染みて実感します。他方で、パートナーの直下が自分であるからこそ、業務提供のクオリティの要であるというプレッシャーとは常に隣合わせです。担当案件の品質について本当に大丈夫と確信が持てるまで不安を取り除く作業を続けないといけないと思っているところです。
オーストラリアでは、部下も現地の人で、後輩指導という面では日本に居た時に比べて難易度がより増していると思います。管理職という立場上、自分で手を動かす前に本当に自分でやるべき作業かを吟味し、下の人に任せられると判断すれば、なるべく権限移譲するようにしています。その際に、自分の期待する作業レベルをどこまで明確に伝えられるかは非常に重要なスキルで、実際に手を動かしていなくても作業の全体像を理解して言語化できることが上の立場には求められていると感じています。また、オーストラリアでは日常の雑談も重んじる傾向にあり、日々のコミュニケーションを大切にしてチームメンバーから人として信頼できると思ってもらえたり、心理的安全性を確保できるように心掛けています。
(※)世界を変革するグローバルリーダーを育成するために、公認会計士資格早期取得、早期の海外駐在経験、執行役との定期面談によるリーダーシップ能力の向上などをサポートするPwC Japan有限責任監査法人独自のプログラム。採用者は、公認会計士試験合格まではトレーニーとして学習に専念。
Q:お仕事のモチベーション、やりがいを教えてください!
日々の業務の中で、会計士試験の勉強や実務で培った会計知識が自分の軸となり、社内外で誰かの役に立っていて「正しいこと」をしている、と思えるのがとても嬉しいです。嘘をつくことやはったりが苦手なので、「正しさ」を追求することがクライアントや社会のためになるというのは、すごく心強いことだなと思っています。
これまでの人生を振り返ると”点”と”点”が線でつながる瞬間がいくつもあり、どんな経験にも意味はあるのだ、実感しています。2010年代頃から東南アジアの経済成長が取り上げられ、そのハブ的存在の地位を確立しつつあったシンガポールに大学時代に留学したことで「日本と海外の架け橋になりたい」という夢が見つかりました。”サステナビリティ”というテーマに興味があり、留学から帰国後、同分野に精通した会社でインターンをしていた時にPwCの存在を知り、GLP採用で会計士になりました。その後、会計士として実務に出て、オーストラリアで働く機会を得ましたが、オーストラリアでは日本に先行してサステナビリティ開示が広範に義務化される予定になってきており、サステナビリティの開示に関するお問い合わせを多く受けるようになっています。サステナビリティ開示も単位がお金ではないだけで、「データを集めて正しく開示する」というプロセスは会計監査に通ずるところがあり、見積りの考え方や内部統制の知識も必要なため、サステナビリティの専門家だけでは対応できない、会計士だからこそ発揮できるバリューがあると思っています。
Q:スキルアップのためにしていることを教えてください!
英語の勉強は長年継続しています。教科書ベースの勉強はあまりしていないものの、必要に応じてオンラインの英語レッスンを受講しています。また、娯楽の範囲内でもありますが、英語の映画やドラマを鑑賞したり、ポッドキャストを聞く習慣は日常的に取り入れています。
また、PwCAustraliaに現地就職するにあたって、U.S.CPAの全科目に合格しました。理由としては、日本の公認会計士資格でも十分なのですが、現地の公認会計士資格(※)があったほうが、社内外からより信頼してもらいやすいと思ったからです。
(※相互承認制度を利用すればU.S.CPAから豪州会計士の資格を得ることができます)
Q:自分へのご褒美は何ですか?
旅行です。直近では、2023年12月にニュージーランド、2024年6月にペルー、エクアドル、チリに行きました。行く国々で新しい文化、歴史、自然に触れることで新しい視点とエネルギーをもらえるのが楽しいです。
ニュージーランドでは、美しい山々の中にある永久凍土と氷河の景色に感動した一方で、目の前でどんどん溶けていく氷河を目にして、私自身が社会に還元できることついてすごく考えさせられました。南米の旅行では、ガラパゴス諸島の自然も守っていけるようにしたいという想いも新たにしました。また、旅行中、南米の歴史や社会構造について複数の書籍を読んでみたことで、植民地時代の現在にまで残る功罪、現在の経済政策・政治が人々の生活に与える大きさを改めて感じました。
普段、専門的なことに触れているからかもしれませんが、世界の広さとエネルギーに触れることで自分のちっぽけさとそんな自分にできること、を考えさせてもらえる感覚が妙に好きです。
Q:仕事とプライベートそれぞれ目標や夢を教えてください!
就活生時代は「日本と海外の架け橋になりたい」と思っていましたが、現在はそこから少し進展し、「架け橋」というよりは「日本・世界をつなぐハブ」のような存在になりたいという表現の方がしっくりくるようになりました。仕事面では、自分の知識や専門分野外のことも含めて「人と人」「人とサービス」をつなげることを通して、誰かの、あるいは社会の問題を解決することを成し遂げたいです。
プライベートでは、前段にも出ましたが、オーストラリア出向中に出会った彼と最近婚約しました。妊娠・出産はまだですが、いずれは育児と仕事の両立もしたいと思っているものの、具体的な計画は不透明であり、不安はあるというのが正直なところです。それでも、オーストラリアでは、キャリアもあきらめることなく育児をする方々が男女問わず非常に多いので、きっとどうにかしようとすればどうにかなるんだろうと、Hopefulではあります。
まだおこがましいですが、いずれは、日本人女性の、ひいてはアジア系女性のロールモデルの1人になれるといいな、と思っています。オーストラリアは国際色豊かな住みやすい国ですが、アジア系女性がマイノリティであることは事実です。私自身、オーストラリアに行く決断は自分の意志でしたものの、やはり異国の地で移民として暮らすことは不安も大きかったのも事実で、そんな時に先輩方のアドバイスがあればどんなに心強かっただろうと思います。日本で生まれ育って、海外に渡り、日々悩みつつもキャリアもライフも楽しむ、という姿を発信する機会を作り、誰かの参考になれば良いなと思っています!
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ノート。基本はオンラインで情報を管理するようにしています。でもアイディアをまとめたいときや、頭の中がいっぱいになったときは、ノートに書き出して視覚化したほうが、結局すっきりするなと思っています。
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カフェでまったり♪
オーストラリアはカフェ文化が豊かなので、休日はカフェでまったりすることが多いです。
プライベート
「自分へのご褒美」の質問でも回答しましたが、旅行に行くのが一番の息抜きです。この写真はペルーでの1枚。
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