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公開日:2025/09/12

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【関西会計士のロールモデル】監査法人から独立、そして再び組織のトップへ。「関西Big1」構想、ユニヴィスグループ岩橋さんのキャリア

はじめに

本インタビューは、ユニヴィスグループ大阪支社長兼名古屋支社長として活躍されている岩橋氏に、会計士というキャリアを選んだ経緯から現在の活動、そして未来を担う若手会計士へのメッセージまで、じっくりとお話を伺いました。

会計士を目指したきっかけ

――岩橋さんが会計士を目指したのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?

実は、小さい頃は勉強が苦手で、高校までは地元・尼崎(兵庫県)でラグビーに明け暮れていました。そんな中、大手メーカーの営業職だった父がリストラに遭い、孫請けの運送会社に異動したことで収入が大幅に減った経験から、「自分は何か手に職をつけなければいけない」と子ども心に強く思うようになりました。

大学進学後、偶然受けた簿記の授業で公認会計士の道を知り、「これだ!」と直感しました。そこからはラグビーで培ったストイックな精神で、毎日10時間、1日もサボらず勉強を続け、大学在学中に公認会計士試験に合格しました。大学4年生のときで、経済的にも留年は許されない状況だったので、とにかく必死でしたね。

監査法人での経験

――会計士試験合格後、トーマツを選んだ理由を教えてください。

トーマツを選んだ理由はとてもシンプルで、お世話になった先輩がいたからでした。

ただ、配属されたチームが米国会計基準やIFRSを扱う英語中心の環境で、当時の私のTOEICは250点。正直、結構大変でしたね。日中は先輩に怒られてはリカバリーの繰り返し、夜は先輩方やクライアントとの飲み会で親交を深める日々。早朝や土日も含め、周りの同期よりも2倍くらいは働いていたと思います。

そんな日々を続けていたら、3年目くらいでやっと「一人前」と認められるようになりました。監査って「感謝されない仕事」とよく言われますよね。でも、実際に企業の期待を超える仕事ができると、クライアントから感謝される瞬間がありました。逆に言えば、感謝されないのは企業の期待を超えられていないから。若手の自分には経験が不足していましたから、とにかく必死に勉強しました。クライアントの方々が自分よりもずっと優秀だと考えて、会計基準や監査法人内のデータベースをひたすら調べて事例をインプットし続けました。そうやって、「企業が困った時に頼られる存在」を目指していましたね。

独立とのきっかけ

――その後、独立を決意した理由は何だったのでしょうか?

トーマツでの経験は非常に充実していて、将来はパートナーを目指して頑張っていました。ただその中で、「一度は決算書を作る側も経験してみたい」という思いが強くなっていったんです。

入社5年目、担当していたプロジェクトがひと段落したタイミングで、ちょうど日東電工株式会社の会計部への出向募集があり応募しました。若くて元気で、しかもIFRSができる人を求めていたようで、運よく選ばれました。

日東電工では、連結決算やIFRS 16の導入、特命プロジェクトの対応などを、プレーイングマネジャーとして遂行しました。とてもいい経験でしたし、出向終了後も関係が続く素晴らしい仲間とも出会うことができました。

そしてキャリアの面で大きな転機となったのは、出向中に起きたコロナ禍でした。働き方が一気にリモート中心となり、私の強みである「対面のコミュニケーション」が活かしづらい環境になったんです。その時に「もう一度キャリアを考え直そう」と思い、トーマツには戻らず、独立の道に進むことを決めました。

独立時の経験

――独立時は、公的産業支援機関「岸和田ビジネスサポートセンター」(通称キシビズ)のセンター長としての仕事がメインだったと聞いていますが、どのような経緯でしたか?

はい。2021年7月に独立開業し、会計コンサルや税務の仕事もしていましたが、仕事の大部分はキシビズでの活動でした。

日東電工時代、リモート環境で時間的な余裕ができたこともあり、先輩会計士だけでなく、さまざまな分野の方々100人ほどにお話を聞かせてもらいました。その中で「お金をかけずに知恵とアイデアで中小企業を成長させる」という小出宗昭さんの考え方に強く共感し、一緒に仕事をするチャンスをいただいたんです。最初は見習い研修生からスタートし、その後、小出さんと岸和田市が設立した公的産業支援機関・キシビズにセンター長として参画しました。

キシビズでは3年間で600社を超える中小企業の課題解決に携わりました。中でも印象的だったのは、大阪・泉州の桐たんす屋さんのケースです。着物などの保管に使われてきた桐たんすは、ライフスタイルの変化により需要が減少していました。そんな状況の中で、高級桐材の特性(調湿・防虫・耐火)が革製品の保管に適していることに着目し、エルメス・バーキンなどの高級革バッグ専用の桐たんす『La Carre(ラ・キャレ)』を開発。百貨店を中心に販売され、売上アップにつながりました。

約3年の契約期間を全うし、コロナが落ち着いたタイミングで後任に業務を引き継ぎました。そして「次はどんなチャレンジをしようか」と考えていた時に、ユニヴィスグループ代表の森さんと出会い、さらに挑戦の幅を広げるためにユニヴィスグループにジョインすることを決めたんです。

現在の活動と将来ビジョン

――現在、ユニヴィスではどのような活動をされていますか? また、今後のビジョンは?

2024年4月にユニヴィスグループに参画し、大阪・名古屋拠点の立ち上げと事業責任者を担っています。M&Aや会計コンサルティングを中心に事業を展開していて、常駐型のハンズオン支援を強みとしています。

私自身はこれまで営業経験があまりなかったのですが、私たちの強みを改めて分析し、「管理部門が不足している企業」にターゲットを絞ることで成果を上げることができました。その結果、メンバーも50名近くにまで増えています。

これから数年以内には、超属人化した強いチームをいくつもつくりたいと思っています。メンバーが独立しても十分通用する力を持ちつつ、組織としてのメリットも享受できるような「関西Big1」の組織です。大阪・名古屋を中心に、社内起業が次々と生まれるような環境をつくっていきたいですね。

若手会計士へ伝えたいこと

――最後に、若手会計士へメッセージをお願いします。

キャリアに不安に感じるなら、まずは今の仕事をやりきってみてほしい。やりきっていないから悩むんです。やり切った先に、次にやりたいことがおのずと見えてきますし、やりきることで勘の精度も高まります。

迷ったときは、わくわくする方に飛び込んで、責任をもってやりきること。やり切ったら必ず新しいものが見えてきます。そして会計士という資格があれば、失敗してもまた挑戦できます。

私自身もこれからまだまだ新しい挑戦をしていきます。一緒に頑張っていきましょう!

~fin~