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公開日:2025/07/04

  • 税務

税理士法人小野会計/小野貴子

  • #40代
  • #日本大学出身
  • #群馬県出身
CAREER HISTORY

     

    ①「好きなもの」でファーストキャリアを決断した代償

    祖父・父が税理士という税理士一家の一人娘として群馬県で生まれました。結果的に3代目に就任することになるものの、幼い時は両親から家業を継ぐようプレッシャーをかけられたことはなく、一度きりの人生だから好きなように生きるよう言われていました。そんな自由を尊重してくれる家庭で育ち、中学・高校時代はロックバンドの追っかけに熱中していました(笑)。そうすると、必然的に周囲に音楽関係者が増えてきます。大学時代に、音楽関係者の友達から新しい音楽レーベルと事務所を設立するのでマネージメント業務を担当してくれないかとスカウトされます。当時は、好きな業界に裏方として貢献できることに何よりのやりがいを感じ、仲間の誘いに乗りました。

     

    そんなこんなで、ファーストキャリアはアーティストマネージャーという肩書でスタートさせたものの、ありとあらゆる業務(経理、物販の管理・発注、機材車の運転、スケジュール調整、宣伝・販促戦略等…)を担当し、とにかくなんでもやりました。また、音楽業界のビジネスの性質上、「楽曲制作→アー写、フライヤー、MV撮影→ライブ・CD、グッズ販売」のように、売上が計上され入金されるより前にキャッシュが必要になる場面が大半で、資金調達のために出資者へプレゼンをすることも私の仕事でした。サポートするバンドはどんどん大きくなり、大手レコード会社からメジャーデビューも果たします。ツアーで全国を飛び回る日々は刺激的で充実していたものの、ふと冷静になった時に”いったい私に何が残るのだろう…””これからのキャリアはどうなるのか?”という不安に襲われることがありました

     

    「好き」の気持ちが最優先で、給与や労働環境等の待遇面は全く考慮しないでキャリアを選んだので、お金がなく六本木のBarでアルバイトをしていた時期もあります。祖父や父の姿を間近で見て、誰よりも独立への強い憧れがあったはずなのに、全く体現できていない自分自身への苛立ちもありました。大学生の頃の私はキャリアを狭い視野で見すぎていたと、今振り返ってみれば若気の至り故の行動だったと反省していますし、このせいでスタートダッシュが遅れ、その後しばらくの間辛酸をなめる時期が続いたこと(②で後述)は、これまで本当に親しい人にしか開示していなかったので、この記事を読んで意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)

     

    ②摂食障害・鬱発症からの背水の陣で臨んだ税理士試験

    音楽業界での仕事は体力的にも大変でしたが20代前半はアドレナリンで何とか乗り切ることができていました。一方で、20代後半に差し掛かったタイミングで仕事もプライベートも何もかも上手くいかず苦しむようになります。さらに拍車をかけるように、10代の思春期の頃からルッキズム(外形至上主義)的思考に支配されていたのですが、この時も”痩せれば万事上手くいく”という思い込みが行き過ぎてしまい摂食障害になってしまい、その後、栄養不足から鬱も発症してしまいました。これを機に、流石にもう限界だと思い、音楽業界からも身を引きました。

     

    当時は結婚適齢期ということもあり、結婚をして家庭に入るのが一般的な風潮としてありましたが、私は”まだ何者にもなりきれていない”という焦燥感から経済的独立を達成するためにも税理士資格を取得するために受験生として勉強をスタートする決意をしました。上述したとおり、スタートダッシュを失敗したという後悔から遅れを取り戻すのに必死で、大学院での講義、論文の執筆、税理士試験の勉強、会計事務所での実務経験を全力で両立しました。死に物狂いで勉強して働いて、その結果2019年に念願叶い税理士登録することができました。この時期は必死過ぎてあまり記憶がないですが、誰よりも支えてくれた両親に心から感謝しています。

     

     

    ③税理士一家3代目として群馬・東京オフィス設立

    私の性格上、自分から能動的に動きたいタイプなので、いずれ独立して自分の事務所を構えることは心に決めていました。先代から70年以上続く個人事務所を税理士法人小野会計として法人化し、2021年に群馬オフィス、2025年に東京オフィスを設立しました。

     

    先代から事務所を引き継いだ当初は、あまりにもガラパゴスな事務所で…笑 どうやって事務所内を変えていくべきか本当に悩みました。 経営なんてしたことがない、組織の作り方どころかマネジメントなんて何もわからない状態からのスタートでした。現在は、税理士の先輩方が主催するコミュニティを活用し、会計事務所の経営について日々勉強中です。とにかく柔軟に取り入れて自社に落とし込む。トライアンドエラーの毎日です。ガラパゴス事務所から脱却するべく、システムのDX化やAI等とにかく新しいものも柔軟に取り入れるように意識しています。70年も続く会計事務所の風土を改革するのは容易ではなく、こうした新しいものの導入に対して反発を食らうこともありますが、インセンティブ報酬を導入する等事務所の方針と社員のモチベーションが同じベクトルを向くように工夫しているところです。古との戦いです。最近ではAIの進歩がめまぐるしいので、AIを社内の業務や仕組みに取り入れることができている否かで、将来、会計事務所の間で格差が生じると考えています。毎日ChatGPTやGeminiなどAIに触れるようお願いして業務ではなるべくAIに考えてもらう、やってもらうことを意識して事務所内でも周知しています。AIを活用して業務の効率化・スリム化を行うべく、日々AIと格闘中です。また、経営者としてあるべき姿も模索中ですが、「識学」×「共感型」のリーダーを目指しています。一見相反する二つの考え方ですが目指す場所は同じです。人間なので感情や共感は必要とする一方で、曖昧さを最小限にし、明確にルールで動く組織を目指しています。柔軟に両方の考えを取り入れ、事務所内を俯瞰して社内の課題を早期発見・対応できるよう心がけております。さらに社内の組織化・仕組み化を図るべく、社内の経営指針書の策定、周知を進めています。自分で考えて、仲間と協力しながら動くことができる自立型の人材を育成していくことが目標です。少しずつですが、みんなが変わりはじめ手ごたえを感じています。

     

    仕事上の一番の喜びは、やはりお客様の役に立つことができ感謝されることです。弊社は「お客様と共に成長」を理念として、①税務顧問②財務サポート③補助金・融資サポート④リスクマネジメントサポート⑤DXサポートを柱に、特に最近は①税務顧問以外の「付加価値業務」に注力し、中小企業の財務サポートを強化しています。税務顧問を主軸としていますがさらなるアップセル、クロスセルのご提案は大変喜ばれます。過度な節税ではなく、あくまでも金融機関目線での財務の改善と強化を図り、お客様と共に成長をしていくことを目標としています。同時に、こうした付加価値業務を弊社の社員全員ができるようになれば組織として一歩先のステージに行けると思うので、代表だけの高付加価値業務ではなく、社員全員で売り上げをあげていけるような社内改革や教育を充実し未来志向型の組織を作っていきたいと思っています。

     

    ④今後のビジョン 

    私は会計に、税理士資格に救われたと思っています。紆余曲折あり資格の取得は遅くなってしまったものの、税理士になったことでキャリアの再スタートができました。特に税理士の資格は働きながらでも目指すことができます。過去は変えられない。問題児だった20代、修行期間の30代を経て、40代のこれからの10年が本当の勝負だと思っています。東京オフィスの設立は、税理士登録をした時からの念願でゼロからのスタートです。今後は未経験者の採用・教育にも力を入れて東京オフィスの更なる業務拡大を目指していきたいです。

     

    沢山のご相談を受けてきた中で、特に女性起業家の支援に力を入れています。そのきっかけは、女性起業家の方から女性税理士を求めているというお声をたくさんいただいたことです。税理士業界の平均年齢は60歳以上、しかも男性社会ということもあり、若い女性起業家の方にとって、年上の男性の税理士に質問するのは心理的ハードルが高い。そのような女性起業家の方へ向けて税金や会計についての情報発信をしています。また、日本でも女性起業家の支援は 「低利融資+補助金」「専門アクセラ(支援プログラム)」「女性VC」「ビジコン」「両立支援助成」 という多層メニューが整ってきました。起業するにはお金が一番の課題になるので、助成金・補助金、融資などお金に関する知識の共有、財務面での提案・指導を行っています。日本では女性起業家のロールモデルが不足しており、女性起業家の育成・支援は重要な政策課題であるため、私自身もその一助となれるよう今後はそうした女性起業家に対する支援により一層注力していきたいと思っています。

     

    また、昨今、士業においてもSNSは欠かせない営業ツールであり、私自身もSNSブランディングの重要性を感じているところです。そんな中、XやInstagramの他、最近はYouTubeにも勇気を出して挑戦し始めました。講師としても活動しています。そして、会計を完全無料で学べるCPAラーニングでも新NISAやiDeCoの講座を担当しておりますが、初めてカメラに向かって喋った時に想像以上に難しく、話し方の教室にも通いましたが、アウトプットの機会を増やすべく取り組んでおります。前述したようにSNSで発信をしてもっとたくさんの女性起業家さんに見つけていただけるよう、今後さらなる支援の輪を広げていくことが目標です。何かしらを端緒に私のことを知ってもらえると嬉しいなと思っているので、今後も発信活動には力を入れていきたいです。


    他方で、気が付けば仕事一辺倒になりがちなところ、プライベートの充実も仕事の充実に密接に関係していると思っているので、休日の過ごし方も意識していきたいです。代表の心身の充実が事務所の成長に繋がると思っています。プレイヤーとして自分の背中を見せることも必要ですが、私の心の余裕が事務所内の雰囲気にも繋がるので、最近は自分の言動についてより気を付けています。いつでも余裕をもって社内を俯瞰できるように心がけています。幼い時から大好きな宝塚歌劇団の推し活はもちろん、最近のマイブームは吉方位旅行です。自分にとって良い方角に身を置くことでパワーをもらえる気がしています。

     

    Favorite
    Hobby:#宝塚歌劇 #旅行
    Motto:#過去は変えられない。今と未来は変えられる。

    HP:税理士法人 小野会計
    YouTube:税理士小野貴子の税金ちゃんねる

    PRIVATE PHOTOS

    仕事アイテム

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    自分の名前が刻印された「ジャーナルノート」。仕事のタスクやその時の感情、目標などを書いて自分の頭の中を言語化・整理することを心掛けています。時には自分で自分を褒めたりもしています。

    リラックスアイテム

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    毎日癒しを与えてくれる愛犬「ウィル」。いつも寄り添ってくれる相棒です。

    プライベート 

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    関西まで遠征して観劇するくらい大好きな宝塚歌劇!私のパワースポットです。

    この記事を書いた人

    2019年会計士試験合格後、監査法人で監査・アドバイザリー業務に従事。2023年よりCPASSに参画し、女性会計人材向けのイベント企画・運営、CPASS for Womanのディレクションを中心に担当。山口県出身。女性や地方勢に向けて会計士の魅力をPRしていきたいです!